EVでも「走りのホンダ」は健在、注目の「Super-ONE」に試乗したらテンションが上がった!

ink_pen 2026/4/28
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EVでも「走りのホンダ」は健在、注目の「Super-ONE」に試乗したらテンションが上がった!
会田 肇
あいだはじめ
会田 肇

カーライフアドバイザー。カーナビやドライブレコーダーなど身近な車載ITグッズのレポートを行う他、最近はその発展系であるインフォテイメント系の執筆も増えている。海外で開かれるモーターショーや家電ショーにも足を運び、グローバルな視点でのレポートに役立てている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

2025年のジャパンモビリティショーのホンダブースに注目の一台(関連記事)がありました。「Super-ONE(スーパーワン) プロトタイプ」です。それが5月下旬、ついに市販化されることが決定。今回は、軽EVである「N-ONE:e」をベースにしながら、軽自動車の枠を超えて“Aセグメント小型EV”となったこのモデルの試乗レポートをお届けします。

試乗した場所は、千葉県袖ケ浦市にある「袖ケ浦フォレストレースウェイ」。試乗ではホームストレート省略のうえで、途中にパイロンスラロームを特設したコースを5周するという方法が採用されました。

与えられた試乗車の前後フェンダーを見れば、走りのパフォーマンスを追求したモデルであることは明らか。一言で表現すれば、かつての「シティ・ブルドッグ」や「初代シビック」を彷彿とさせる「手の内で転がせる快感」に満ちた一台ということができます。

強烈な加速の伸びを発揮する「BOOSTモード」

さて、このSuper-ONEの走りで最も注目したのは、ボタンひとつで“性格”が豹変する「BOOSTモード」の搭載です。

ステアリングにある「BOOST」ボタンを押した瞬間、ベース車であるN-ONE:eが軽自動車の枠内に制限されていた47kW(64PS)から、70kW(95PS)へ出力が約1.5倍もアップ。1,090kgというEVとしては異例の軽さも手伝い、その加速の伸びは強烈で、まさに“パワー解放”と呼ぶにふさわしい圧倒的パフォーマンスを見せてくれたのです。

↑Super-ONEを試乗する筆者。低重心設計のEVならではのコントロールのしやすさを実感できた。

しかも、このBOOSTモードでは、 加減速やパドル操作に合わせて「擬似的な変速ショック」があるのと、アクティブサウンドコントロールシステムによる排気音に似せた「野太いサウンド」が響きます。パドルシフトを操作すれば、なんとダウンシフト時のブリッピング(回転合わせ)まで再現しているではないですか! これによって電気モーターで走っていることを忘れさせるほど、リズム感のある走りが楽しめたのです。

↑荷室のフロア下には13.1Lもの容積を持つサブウーファーをインストール。これがアクティブサウンドコントロールのリアルな排気音再現に一役買っている。

ここで意外な役割を果たしていたのがBOSEのサウンドシステムでした。サウンド設計こそホンダ側で担ったものの、リアルな排気音を実現するためにBOSEによる13.1Lの大容量サブウーファーを荷室フロア下にインストール。これにセンタースピーカーを含む計8基のスピーカーを組み合わせ、より自然で力強いサウンドと音場をもたらしたのです。

↑Super-ONE専用の、8基のスピーカーを組み合わせたBOSEサウンドシステムが搭載された。写真はダッシュボード中央に配置されたセンタースピーカー。

Super-ONEに用意されたドライブモードは、BOOSTモードを含めて全5種類。「ECO」「シティ」「ノーマル」の3つはベース車のN-ONE:eにも搭載されていたもので、ここにSuper-ONEでは「スポーツ」「BOOST」モードの2つが追加されたというわけです。

ちなみに「シティ」モードは、N-ONE e:でいう「シングルペダルコントロール」に相当する制御となり、街乗りでブレーキを踏む回数を減らすのに最適なモードといえます。

↑シフトボタンはN-ONE:eと共通だが、右側のドライブモードに新たに「スポーツ」が加わり、「BOOST」モードだけステアリングから操作する。

ワイドトレッドがもたらす「無敵の安定感」

Super-ONEは、ハンドリングも素晴らしいものでした。フェンダーのワイド化に伴って50mm広げられたトレッド+185/55R15サイズの「ヨコハマ・アドバン フレバ」の組み合わせにより、コーナリング性能はまさに別次元にまで引き上げられていたのです。さらにバッテリーをフロアに積載したことによるEV特有の低重心に加え、足回りが強化されたことで、タイトなコーナーでもロールが抑えられ、地面に吸い付くように曲がります。

↑タイヤは市販モデルのヨコハマ・アドバン フレバで、幅広サイズの185/55R15を履く。

また、コイルやダンパー、パワーステアリング制御がSuper-ONE専用チューンになるうえに、フロントハブの剛性をアップし、リアトーションビームも強化されているとのこと。つまり、これらの対応によって、軽自動車サイズでは「おっとっと」となるような速度域でも、Super-ONEはビシッと姿勢を乱しません。まさに「シャシーが勝っている」状態で、安心してアクセルを踏み込めたのです。

↑シャシー性能の高さがスラロームでも大いに力を発揮。不安なくコーナリングに入っていけた。
↑単にサイズを拡大しただけでなく、シャシーも徹底的に強化。遊ぶことに真剣に向き合ったホンダらしさを感じさせる一台に仕上がった。

この安定感はまさに無敵そのもの。そこからはかつて1980年代を席巻した“ボーイズレーサー”の世界観が蘇る、そんな思いにさせてくれたのでした。

もちろん、これは路面状態が良好なサーキットでの話。一般道に出たときにまったく同じかといえばそうではないでしょう。特に乗り心地となると、引き締められた足回りが悪影響を与える可能性は否定できません。この日走行したリアの落ち着き具合から推察するに、それほどマイナス要因とはならない気はしますが、そこは公道での試乗を待ちたいと思います。

所有欲を満たすディテールとインテリア

内外装のデザインからもつい思わず気持ちが昂ぶってきます。設定されたボディカラーは、試乗した新色「ブーストバイオレット・パール」を核として全5色。大型リアウイングやディフューザー、15インチの専用大径ホイールが、ただのコミューターではない「スポーツカー」としてのオーラを放っており、そこからは所有欲がおのずと高まってきます。

↑右が急速充電口で、左が普通充電口。Super-ONEの海外での展開を踏まえ、左側は少し大きめの開口部となっている。

インテリアもドアを開けた瞬間、ワクワク感があふれ出てきます。シートはN-ONE:eに採用されたものをベースに、サイドボルスター形状と内部硬質パッドを加えることで高いサポート性を実現。ブルーを非対称に組み合わせたデザインもSuper-ONE専用としました。また、ダッシュボードには新たに横方向にブルーのイルミネーションを加えてレーシーな雰囲気を演出しているのも見逃せません。

↑前席はN-ONE:eのシートをベースに、サイドボルスター形状と内部硬質パッドを追加して高いサポート性を実現した。
↑N-ONE時代からその使い勝手の良さが高い評価を得ていた、後席シート座面のチップアップ機構を装備した。
↑分割可能な後席シートだけに、チップアップ機構との組み合わせにより多彩な使い方ができる。
↑後席シートは座面がフォールダウンするため、折りたたむとフラットなカーゴルームが提供される。

それと見逃してはいけないのが、BOOSTモード時で切り替わるメーターの専用モードです。表示カラーが紫系となり、下半分にバッテリー温度計/仮想タコメーター/パワーメーターを視認できる3連メーターを表示。これはかつてガソリン車で流行った電圧計や油圧計をモチーフとしたものなんだそうです。こうした気遣いもうれしいですね。

↑BOOSTモード時はメーターが紫系に切り替わり、下半分には専用の3連メーターが表示される。
↑インフォテイメントシステムは9インチHonda CONNECTディスプレイを搭載。OSにはGoogleを採用した。

EVになっても“走りのホンダ”は健在

一方で基本的なパワートレーン系はN-ONE:eと共通としている部分が多いです。バッテリーの総電力量は29.6kWhで、三元系リチウムイオン電池を採用。さらにモーターとインバーター、ギアボックスを一体化したeアクスルの採用などもN-ONE:eと同じです。

ここでちょっと惜しいと思ったのが航続距離。Super-ONEではN-ONE:eより20km短い274kmとなっているのです。これはN-ONE:eより60kgほど増えた車重やワイドフェンダー化による空気抵抗増、幅広タイヤによる転がり抵抗増などが影響した結果だということ。エアコンなどを使うことも想定すると実質200km強の航続距離になりそうで、この範囲内での楽しみ方を考える必要は出てきそうです。

↑左からホンダアクセスのHonda純正アクセサリー搭載車、標準車、無限仕様モデル。

それでもこのクルマの価値は「どこまで行けるか」ではなく、「どれだけ楽しく走れるか」にあります。EVになっても「走りのホンダ」は健在。便利さや効率だけでなく、運転して思わずニヤけてしまうような刺激を求める人に、これ以上ない選択肢となるのは間違いないでしょう。

撮影/松川忍

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