Vol.160-4
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回は9万9800円(税込)から購入できる「MacBook Neo」の話題。教育市場での普及を目指す狙いと、他のMacBookとの違いを解説する。
今月の注目アイテム
アップル
MacBook Neo
9万9800円~
13インチのLiquid RetinaディスプレイとA18 Proプロセッサーを搭載し、高度なAI性能を実現。アルミ製ボディは軽量で、最大16時間の駆動が可能だ。カラーはブラッシュ、インディゴ、シルバー、シトラスの4色が揃う。

3月第1週には、MacBook Neoだけでなく複数のアップル製品が発表された。他のMacについても、「MacBook Air(M5版)」と「MacBook Pro(M5 Pro/M5 Max版)」が発表されている。
MacBook Neoは低価格製品だが、MacBook AirやMacBook Proは違う。MacBook AirはM5版になって、最も安価なモデルが2万円値上げ、M5 Pro版も4万円の値上げとなっている。
これは単純な値上げではない。ストレージが倍増しているからだ。MacBook Airでは最低容量が256GBから512GBに、MacBook Pro(M5 Pro版)では512GBから1TBへ、そしてM5 Max版では1TBから2TBへと変わった。この増量を考えると、実質据え置きもしくはやや値上げという水準に落ち着く。
とにかく安く買いたかった人にはマイナスかもしれないが、ストレージ増量は基本的にはお得だ。そういう意味では、MacBook Neoとそれ以上の製品の間が広く設定され、上を選ぶか下を選ぶかが明確に分かれたと考えるべきかもしれない。
こうした選択の理由は、メモリーやSSDに使うフラッシュメモリーの価格が高騰しているためでもある。容量が増えることは価格高騰と逆行するように見える。だがこれは、商品在庫の観点で言えば、容量の少ない製品を作らないということになり、それだけ在庫を減らせる。小容量製品のためのパーツを用意しなくてよくなるので、製造効率が上がるのだ。パーツ単価上昇で値上がりを防げない以上、“値上げをしつつお得感を出す”といううまいやり方だ。
その一方、公式サイトのラインナップではある変化が起きている。超大容量製品や低価格オプションがひっそりと姿を消したのだ。
Mac Studioの「メインメモリー512GB構成」が選べなくなっているほか、MacBook Pro(M5 Pro/Maxモデル)においては、かつて存在した小容量の「256GB/512GBストレージ構成」が廃止され、最低でも1TBからのスタートとなっている。
これはおそらく、大容量メモリーの調達が難しいことと、調達したとしても顕著な値上げになることから選択された可能性が高い。
アップルとしては一般向けの製品は大幅値上げを避けつつ、大量のメインメモリーやストレージを搭載した製品では調達の事情を考えた上で提供可能な範囲で価格を定め、販売していることになる。
昨今はAIのローカル活用を目指し、128GB以上のメモリーを搭載したMacを求める開発者も増えている。しかし現在、Mac Studioの最大構成は256GBに制限され、かつて存在した512GBという圧倒的な選択肢は提供できなくなっていることはある種の機会損失である。
だが、事情はWindowsにおいても同様だ。むしろ高性能GPUの調達も難しい分、ハイエンドWindows PCの購入には逆風が吹いている部分もある。 メモリー高騰は最短でも2027年後半まで続く可能性が高い。アップルを含めたメーカーは、マスに売れる製品では価格を維持していくだろうが、上位機種にはどうしてもしわ寄せが出る可能性が高い。
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