ライフスタイル
2024/9/30 19:30

インフルや花粉症対策に!「ビタミンD」生成を妨げる悪習慣と効果的な補給策

手軽な補給策から肌ダメージを抑えながら日光浴する方法まで
ビタミンDを正しく摂取する方法

ビタミンD補給策と一口にいっても、日光を浴びる季節や時間帯によって摂取法も変わります。さらにビタミンD強化食品やサプリメントなど何で補うかも、いくつか方法があります。自身のライフスタイルをイメージしながら、自分に合ったとり方を考えてみましょう。

 

Q.そもそも1日にどれくらいのビタミンD量が必要でしょうか?

A.
「1日の必要量については何を基準にするかによりますが、日本の食事摂取基準の目安量はある程度の日光浴を前提としての目安量を案内しているため、私はアメリカの内分泌学会の臨床実践ガイドラインにある37.5µg〜50µg(1500IU~2000 IU)をおすすめしています。さらに私の臨床の感覚では、花粉症の軽減やさまざまな病気を予防するためには、1日 100µg(4000IU)のビタミンDが必要だと感じています。
下図、国立研究開発法人国立環境研究所が観測している『ビタミンD生成量・紅斑紫外線量』、観測値・つくば局のデータによると、2024年8月15日のビタミンD生成量が多い12時と、2023年12月15日の最も多い12時とを比較したところ、紫外線照射範囲600cm2(顔と両手の甲の面積に相当)では10分間でビタミンが生成できる量は、8月が約13㎍、12月は約1㎍と13倍の差があります」

 

 

 

出典=国立研究開発法人国立環境研究所

 

Q.日々の暮らしのなかで手軽にビタミンDをとるには?

A.
「手軽にできるのが、晴れた日の外出ですね。首都圏に住んでいると仮定します。ランチタイム時に、夏場なら10~20分、冬場なら20~40分を目安に外出できると良いでしょう。
夏場の場合、アメリカの内分泌学会の臨床実践ガイドラインにある37.5µg〜50µg(1500IU~2000 IU)の間をとって40µg(1600 IU)を摂取しようとすると昼間10~20分程度の直射日光を浴び、魚類やきのこ類など、ビタミンDが多く含まれる食品を摂取することで不足分を補うイメージで必要量を目指すと良いでしょう」

 

 

「とはいえ、さきほど解説したように冬場のビタミンD生成量はとても少ない。その上、私の推奨する必要量100µg (4000IU) を充足させるには、日光浴だけでは足りません。さらにビタミンD強化食品やサプリメントで補う必要があります。
実際の紫外線照射量は、場所や時間帯、季節によって大きく変わりますので、国立研究開発法人国立環境研究所のHPを参考にしてください」

 

Q.肌へのダメージを最小限に留めながら、日光を浴びる方法はありますか?

A.
「首都圏の夏の紫外線量の多い時期でも、直接日光を浴びる時間が10~20分程度であれば肌へのダメージに影響はないと考えて良いでしょう。

 

国立研究開発法人国立環境研究所の2024年8月15日のつくば市におけるデータによると、日本人にもっとも多いと言われるスキンタイプの人なら半そでで3分、長そでで7分間の日光浴をすることで、約10μg(400IU)のビタミンDを生成することができます。一方、それ以上浴びると肌ダメージが始まる時間は20分で、20分以内の紫外線照射であれば、日焼け止めを塗らなくても日焼けやシミ・しわを心配する必要はありません」

 

 

「紫外線の皮膚に対する影響は、日光照射した皮膚に対して影響し、露出面積を広げてもその皮膚に対する影響は同じです。そのため、肌のダメージを抑えつつ短時間でビタミンDを作るのならば、なるべく多くの肌を露出させる、もしくは顔には日焼け止めを塗り、腕や足を出す。またビタミンDを生成しがなら日焼けを防止する日焼け止めも販売されているので、そういったものを活用すると良いでしょう」

 

Q.ビタミンDが多く含まれる食材は?

A.
「サケやイワシ、サバなどの魚類や、きくらげや干ししいたけ、まいたけなどのきのこ類、卵、牛乳などです。圧倒的に魚類の含有量が多いですね。魚を食べる習慣があまりない方は、ビタミンDが不足する傾向にあるので、魚類を意識して摂取しましょう」

 

 

Q.サプリメントを摂取するときの注意点は?

A.
「ビタミンは脂溶性ビタミンのため、体内に蓄積されます。過剰摂取をすると、血管や心臓、肺などにカルシウムが貯まり、腎臓にトラブルが起きることもあるので、日本の食事摂取基準の許容上限量100㎍ (4000IU) 以上/1日を摂取しないように気をつけましょう。また、できれば国内製造で、配合量がきちんと保証されているものが安心です。体内で活用できるビタミンDには、植物性のビタミンD2と、動物性のビタミンD3がありますが、体内ではD3が使われています。できれば原材料はビタミンD3を選ぶといいでしょう」

 

 

シミ、しわ、皮膚病などの原因になるため、日光は美容の観点からは敬遠されがちです。一方で日光は、骨や筋肉を強くし、免疫力をアップさせ、炎症を抑える作用もあるビタミンDを生成するという重要な役割を持っています。紫外線を避けるのではなく、適度な日光浴を楽しみながら健康寿命を伸ばしていきましょう。

 

 

Profile

医師・日本機能性医学研究所所長 / 斎藤糧三

東京都港区南青山にある「斎藤クリニック」院長。診療科目は、美容内科、美容皮膚科、婦人科、内科。更年期障害の女性に対してテストステロンを使用し、自律神経調整療法のパイオニアであった斎藤信彦(医学博士)氏の三男。1998年、日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立する。2008年「機能性医学」の普及と研究を推進するため「日本機能性医学研究所」を設立。2017年、牧草牛の普及を目指し、日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm 」をオープン。2022年、機能性医学と再生医療を融合させた治療拠点として「斎藤クリニック」を開設。著書に『サーファーに花粉症はいない』(小学館)、『病気を遠ざける! 1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力』(講談社+α新書)などがある。
斎藤クリニック
日本機能性医学研究所

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