【新型エルグランド試乗】電動駆動の軽快な走りと極上の後席は運転手も家族も大満足できそう!

ink_pen 2026/10/17
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【新型エルグランド試乗】電動駆動の軽快な走りと極上の後席は運転手も家族も大満足できそう!
会田 肇
あいだはじめ
会田 肇

カーライフアドバイザー。カーナビやドライブレコーダーなど身近な車載ITグッズのレポートを行うほか、最近はその発展系であるインフォテイメント系の執筆も増えている。海外で開かれるモーターショーや家電ショーにも足を運び、グローバルな視点でのレポートに役立て、最近はその経験を活かして旅行系のレポートも執筆している。

7月16日に新型エルグランドが発売されました。日産によると10月6日の時点で早くも受注が10,000台を突破し、人気の高さがうかがえます。

その実力を確かめるべく、今回は御殿場で開催された試乗会に加え、別の機会に福島県までロングドライブを実施。短時間の試乗だけではつかみにくい、高速道路での落ち着きや燃費、インフォテインメントの使い勝手も確かめました。

結論からお伝えすると、乗って強く感じたのは運転する楽しさと、同乗者がくつろげる快適さが両立しているミニバンに仕上がっていたことでした。このクラスのミニバンには広い室内や豪華な後席が求められますが、そこへ電動駆動ならではの扱いやすさを加えたのが、このクルマの持ち味です。

↑試乗したのは上級グレードの「G e-4ORCE」。存在感のあるフロントフェイスと伸びやかなボディが、プレミアムミニバンらしい風格を感じさせる
↑モザイク模様のフロントグリルに点灯したライトがフロントフェイスを際立たせる

視界のよさと街中で感じた存在感

運転席に座って最初に気付くのは、先代よりも高くなったアイポイントです。全高は先代比で160mm高くなり、運転席からの見晴らしはすこぶる良好。前方の交通状況を把握しやすく、高速道路でもゆとりを持って走れました。

↑先代より全高を160mm高めたボディは、側面からも堂々とした存在感を放ち、水平に伸びるリアランプがワイドな後ろ姿を印象付ける
↑大型ディスプレイを横一列に配したコックピット。高くなったアイポイントによる見晴らしのよさも、長距離でもゆとりを持って走れる理由の1つとなっている
↑ディスプレイ下には、温度や風量の調整、デフロスターなどの空調操作部を集約。画面下端にも左右の設定温度を表示し、空調の状態を確認できる

ロングドライブでは加速性能はもちろんのこと、周囲を見渡しながら無理なく運転できることも大切です。その意味でも、高くなったアイポイントは好印象でした。

街中での注目度も想像以上です。福島の観光地では「新型エルグランド、いいですね」と声をかけられたほど。久々の新型に対する関心の高さを、実際の移動を通して感じることができました。

新型エルグランドに用意された基本グレードは、電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を採用する4WDに絞られ、Xが6,897,000円、上級のGが7,579,000円(いずれも税込)です。

選択肢の少なさは気になりますが、価格設定からもプレミアムミニバンを目指したことは明らか。誰にでも手が届くモデルというより、乗り心地や走りに対して、価格に見合う満足を得られるかが問われるクルマといえるでしょう。

今回の試乗車は前述のとおりG e-4ORCE(4WD)。BOSEプレミアムサウンドシステムやツインガラスルーフ、後席用に設けられた3台のディスプレイなど、多くのオプションが装着されていました。

↑試乗車には前席背面の左右と天井に計3台の後席用ディスプレイを装着。ツインガラスルーフとともに、後席で過ごす時間を楽しめるオプションとなっている ※映像ははめ込み合成

車検証に記載された車両重量は2,490kg。約2.5トンという数字を見ると、発進や加速で重さを感じるのではないかと身構えます。しかし、実際に走り出すと、その予想はいい意味で裏切られました。

約2.5トンを軽快に走らせるe-POWERだから扱いやすい

発進時は、アクセルの踏み込みに対してリニアに反応します。必要以上に飛び出す感覚ではなく、足の操作に応じて素直に速度が上がっていくのです。交通の流れに乗った後も、さまざまな速度域から力強く加速でき、車重の数値を思い出す場面はほとんどありませんでした。

この扱いやすさは、エンジンを発電に使い、駆動をモーターが担うe-POWERならではのものです。加速が速いうえに、求めた力が素直に伝わるため、大きな車体でも運転者の意図に沿って動かしやすいのです。これにより、大型ミニバンを運転しているという緊張はほとんど感じずにすみました。

↑約2.5トンの車重を意識させない軽快な走りを見せた新型エルグランド。モーター駆動ならではの素直な反応が、運転する楽しさにつながっている

速度調整では加速と減速をコントロールできる「e-Pedal Step」も有効でした。アクセルを戻した際の減速を利用することで、加速から減速までのつながりを作りやすく、ペダルの踏み替えを減らせます。停止時などにはブレーキ操作が必要ですが、モーターのトルクとこの減速特性の組み合わせによって、重量級の車体を自在にコントロールできる感覚がありました。

アルファードやヴェルファイアと比べた筆者の印象でも、エルグランドの軽快さは魅力に映ります。今回は同条件での比較試乗ではありませんが、後席の豪華さに加え、自らハンドルを握る楽しさを重視する人にとって、この反応のよさは選ぶ理由になるはずです。

第3世代e-POWERがもたらす静かな移動

新型に搭載された第3世代e-POWERは、発電用エンジンとしての能力を刷新しています。エクストレイルの可変圧縮比エンジンと基本的に同じ1.5リッター直列3気筒ターボという構成ながら、新たに採用したのはZR15DDTe型。ボア×ストロークは79.7×100.1mmというロングストロークで、最高出力140PS、最大トルク228N・mを発揮する高効率エンジンです。

駆動モーターの最高出力と最大トルクは、前が205PS/330N・m、後ろが136PS/195N・m。さらに、モーター、発電機、インバーター、増速機、減速機を一体化した「5-in-1」電動ユニットを採用しています。日産の説明によれば、この一体化は振動の抑制と剛性向上にも寄与しているそうです。

その成果として印象に残ったのが、静粛性でした。ノイズキャンセリングの効果もあり、モーターで走る場面の静かさはもちろん、発電のためにエンジンが始動しても、その音が耳障りになりにくいのです。走行の途中で発電が始まったからといって、快適さを損なうような印象はありませんでした。

↑第3世代e-POWERは、発電用に1.5リッター直列3気筒ターボエンジンを採用。走行はモーターが担い、発電のためにエンジンが始動しても音が耳障りになりにくい点が印象的

電動駆動の滑らかな反応にこの静かさが加わることで、移動の質が高まったのは確かです。エンジンを積むクルマでありながら、乗員が受ける印象はもはやEVに近いといっていいでしょう。エルグランドが目指した上質さを、まさに走りからしっかり実感できたのです。

↑ほぼ5mの全長と1,895mmの車幅で堂々とした外観を見せた新型エルグランド。電動駆動ならではの滑らかさと静粛性を組み合わせた一台となった

フラットに走らせるが低速域では当たりが硬め

足回りには、電子制御連続可変ダンパーによる「インテリジェント ダイナミックサスペンション」を標準装備としています。ドライブモードもスポーツ、スタンダード、コンフォートなど、計6種類から選べます。

↑切り替えたドライブモードはメーター内に表示。写真ではSPORTが選ばれているがSTANDARDやCOMFORTなど、走行場面や好みに合わせて切り替えられる
↑タイヤサイズは235/60R18 103H。ブラックのホイールが足元を引き締めている

全体としては、速度を問わず車体の姿勢を落ち着かせ、フラットに走らせる方向性を感じました。これが、ロングドライブでの疲労低減につながるのは間違いありません。一方、低速で荒れた路面を通過すると、やや硬めの当たりを感じます。どんな路面でも柔らかく包み込む乗り味ではないため、この部分は購入前の試乗でも確認したいところです。

↑電子制御連続可変ダンパーを備えた足回りは、高速道路で落ち着きを見せる一方、低速の荒れた路面ではやや硬めの当たりを感じた

ただし、高速道路ではその硬さがほとんど気にならなくなります。落ち着いた姿勢と静粛性が組み合わされ、距離を重ねても快適さが保たれていました。短い街中の試乗とロングドライブでは、足回りに対する印象が違ってきましたが、乗り心地は総じて高い水準にあるのは確かです。

「席から離れたくない」と実感した、長距離移動での2列目の快適さ

オプションの「プロパイロット2.0」によるハンズオフドライブも、長距離移動での快適さに貢献しました。作動条件を満たす高速道路で使用すると、運転支援への安心感が高まっていると感じられ、ロングドライブでのメリットを実感できました。

とりわけ快適だったのはセカンドシートです。同乗者からは「この席から離れたくない」との声が出たほどでした。大型ミニバンの後席には広さが期待されますが、走行中の音や揺れが抑えられてこそ、その空間を楽しめます。新型エルグランドは、こうした移動中の居心地を高い水準にまとめられていたのです。

↑上質な表皮と立体的な仕立てが目を引くフロントシート。ドライバーにも居心地のよさに配慮した空間に仕上げられていた
↑セカンドシートは静粛性と落ち着いた乗り心地ゆえに同乗者から「この席から離れたくない」との声が出たほど。サードシートにも前席と統一感のある表皮や意匠が採用されている

運転者はモーター駆動の反応を楽しみ、後席の乗員は静かな室内でくつろぐ。その両方を同じ一台で成立させたことが、今回の長距離試乗で確認できた新型エルグランドの大きな魅力でした。

室内の豪華さは停車中でも確認できますが、乗り心地や静粛性は走って初めてわかるもの。運転席での印象だけで決めず、普段乗る家族にも後席を体験してもらうと、購入後の満足を想像しやすくなります。

エルグランドの場合は、運転席と後席でそれぞれ違う長所を感じられました。価格の高さを評価するうえでも、装備表に加えて、移動そのものがどれだけ快適になるかを見る必要があります。ここは高級ミニバンを選ぶ際にも特に重視したいポイントでしょう。

↑サードシート使用時
↑左右に跳ね上げたときのサードシートのかさばりが残念

Geminiで楽しみが広がるものの、応答の安定性には課題も

今回の試乗で楽しみにしていたのが、車載のインフォテインメントシステムでGoogleのAIアシスタント「Gemini」を使えることでした。Googleアカウントを設定して試すと、さまざまな話題について回答が得られ、つい次の質問をしたくなる楽しさがありました。一人でのドライブでも情報を調べたり話題を広げたりする楽しみが増えそうです。

↑車載のGoogle Playから対応アプリを選べるインフォテインメントシステム。Geminiを使って、目的地とした観光地の駐車場を探してもらっているところ。動作が不安定だが、接続できたときの楽しさは格別だった

ただ、通常のGeminiに「OK Google」と呼びかけて質問した際、繰り返しても回答が途中で終わってしまうことがありました。当初は峠道での通信状態が原因かとも考えましたが、市街地に戻ってからも現象を発生させることがあったのです。今回の試乗では原因を特定できておらず、応答の安定性には課題を感じました。なお、会話を続けるためのモード「Gemini Live」は試していません。

一方、車載ナビやスマートフォンを接続したApple CarPlay、Android Autoでの動作は音声認識を含め、スムーズに動作していました。

↑Apple CarPlay接続時の画面。音楽と地図を並べて表示でき、今回の試乗では音声認識を含めてスムーズに操作できた

速度を抑えると改善した高速燃費

燃費にも、速度による違いが見られました。走行中の変化はドライブコンピューターの表示で確認しましたが、高速道路で120km/hまで速度を上げると燃費が悪化する傾向があり、復路で速度を少し抑えると表示値は目に見えて改善することが確認できました。

今回の走行だけでその要因を特定することはできませんが、車重に加え、速度上昇にともなう空気抵抗なども関係したのではないかと考えられます。

走行を終えて満タン法による福島往復の平均燃費は750km走って12km/L台でした。交通状況や走り方にも左右される結果ですが、このサイズのミニバンとしてはまずまずの印象です。燃料タンク容量は約67Lあり、今回は福島までの往復を無給油で走れました。燃費の数字だけでなく、給油のために行程を中断せず移動できたことも、長距離では実用上の利点になります。

↑福島までの道のりを、高速道だけでなく、峠道を数多く走行して平均燃費はおよそ12km/L強。千葉の自宅まで無給油で帰って来られた

新型エルグランドの開発者が、「試乗してもらえば魅力が伝わる」という趣旨の話をしていたのが印象的でしたが、今回の走りはそれが納得できる体験でした。重さを意識させない走りと静粛性、後席の快適さは明確な長所です。家族を快適に乗せながら、自分自身も運転を楽しみたい。そんな人にとって、試乗で確かめる価値のあるプレミアムミニバンだと感じました。

↑新型エルグランドでも個人的にもっとも気に入っているアングル。モザイク模様のテールランプが印象的だ

写真/宮越 孝政

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