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2018/1/15 17:00

【CES 2018】防水・フルデジタル・AIアシスタント機能――2018年もワイヤレスオーディオの進化が止まらない!

アメリカのラスベガスで世界最大のエレクトロニクスショー「CES」が開催されました。アメリカでは以前からスポーツ・フィットネスへの意識が高いことから、ポータブルオーディオのワイヤレス化にはファンの関心も高く、人気に火が付いてからは一気に商品が充実してきたように感じます。特に左右独立の完全ワイヤレスイヤホンは、エレクトロニクスのショーが開催されているからでしょうか。街中に「AirPods」を身に着けている人があふれていました。今回はCESで見つけたワイヤレスモデルを中心としたイヤホン系新製品を振り返ってみたいと思います。

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↑活況を呈したアイリバーのブース

 

ソニーの完全ワイヤレスイヤホン“第2弾”は防滴&ノイキャン

完全ワイヤレスイヤホンの注目株筆頭はソニーが発表した「WF-SP700N」です。WF-1000Xに続く第2弾はスポーツモデル。本体がIPX4相当の防滴・防汗仕様でデジタルノイズキャンセリング機能付の完全ワイヤレスイヤホンは世界初。価格は179ドル(約2万円)で、春頃にアメリカで発売。日本導入も予定されています。カラバリはパステル調の4色。

↑ソニーのGoogleアシスタントにも対応する完全ワイヤレスイヤホン「WF-SP700N」
↑ソニーのGoogleアシスタントにも対応する完全ワイヤレスイヤホン「WF-SP700N」

 

↑↑コンパクトな充電機能付ケースに収納
↑コンパクトな充電機能付ケースに収納

 

↑装着するとこんな感じのスタイルになる。頭を激しく振ってもイヤホンが耳から落ちない
↑装着するとこんな感じのスタイルになる。頭を激しく振ってもイヤホンが耳から落ちない

 

デジタルノイキャンの機能を逆手にとって、マイクで周囲の音をモニタリングできる「アンビエントモード=外音取り込み」の機能はWF-1000Xと同様に「ボイス」と「ノーマル」を選択可能。スマホアプリ「Sony Headphones Connect」でどちらかに設定して、本体左側のボタンをクリックしてオン・オフを切り替えます。外音取り込みとイコライザー機能など、好みの値を設定しておいて、アプリから即座に設定値のオン・オフを切り替えられる「Quick Sound Settings」機能が追加されました。

↑アプリSony Headphones Connectでボタンの機能切替など設定できる
↑アプリSony Headphones Connectでボタンの機能切替など設定できる

 

音質を会場でチェックしてみました。CESの会場はかなり賑やか、というかうるさいぐらいなので、本機のノイキャン機能とイヤーピースによるパッシブな消音効果の合わせ技がかなり高いことが確認できました。サウンドは低域に厚みがあって、音楽の輪郭線をしっかりと太く描くタイプで、身体を激しく動かすスポーツシーンに勢いを与えてくれそうな元気めな仕上がりでした。身に着けて頭を激しく振ってみてもイヤホンが簡単に外れてしまうことはありません。フィット感はWF-1000Xよりも優れていると感じました。オーディオコーデックの仕様はWF-1000Xと同じAAC/SBC対応で、アップスケーリング機能のDSEE HXは非搭載となっています。

 

本機のほかに、左右のイヤホンが有線ケーブルでつながる、いわゆる普通のワイヤレスイヤホン「WI-SP600N」やハウジングが半密閉タイプの「WI-SP500」もラインナップに加わります。このうちSP700NとSP600Nは、発売後に予定するソフトウェアアップデートでGoogleアシスタントが一発で呼び出せる連携機能が追加されます。左側ハウジングのボタンがGoogleアシスタントの起動ボタンになり、「OK Google」を発声しなくてもいいので、より気軽にボイスアシスタントと会話ができるかも。

 

オーディオテクニカから世界初のフルデジタルイヤホン

オーディオテクニカは2016年に発売したデジタルヘッドホン「ATH-DSR9BT」「ATH-DSR7BT」に続いて、今度はワイヤレスイヤホンタイプの“フルデジタルイヤホン”に要注目です。アメリカで発売される「ATH-DSR5BT」は価格が399ドル。「ピュア・デジタル・ドライブ」テクノロジーを搭載したフルデジタル伝送対応機です。

↑オーディオテクニカのフルデジタルイヤホン「ATH-DSR5BT」
↑オーディオテクニカのフルデジタルイヤホン「ATH-DSR5BT」

 

BluetoothのオーディオコーデックはaptX HDに対応。アルミニウムのハウジングに9.8mmと8.8mmのダイナミック型ドライバーを乗せてプッシュプル駆動で動かします。小さな筐体なのにタイトで力強いサウンドを生み出せる秘密がここにあります。会場で実機の音も聴いてみましたが、非常にクリアで透明感あふれる中高域に、芯の力強さが光る低域とのコンビネーションがほかのワイヤレスイヤホンにない異彩を放っています。これはぜひ日本でも販売して欲しい!

↑ネックバンドに設けられたLEDランプの点灯で接続中コーデックの状態が判別できる
↑ネックバンドに設けられたLEDランプの点灯で接続中コーデックの状態が判別できる

 

パイオニアとJVCから初の完全ワイヤレスイヤホン

パイオニアはブランド初の完全ワイヤレスイヤホン「SE-C8TW」を展示していました。アメリカでの価格は99.99ドル。日本で発売されたら1.1万円前後になるのでしょうか。お手頃価格が魅力的な完全ワイヤレスイヤホンになりそうです。6mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載。コーデックはAAC/SBCに対応します。

↑パイオニアの完全ワイヤレスイヤホン「SE-C8TW」。お手頃価格も魅力的
↑パイオニアの完全ワイヤレスイヤホン「SE-C8TW」。お手頃価格も魅力的

 

JVCも初の完全ワイヤレスイヤホンを発表しました。「HA-ET90BT」はスポーツタイプでIPX5相当の防滴仕様。イヤーピースの先端が360度曲がって耳穴にフィットする「ピボット・モーション・フィット」によって、身体を激しく動かしてもピタリとフィットします。カラバリはビビッド系の4色。万が一イヤホンが見つからない時に、スマホアプリに搭載した「Find」機能でイヤホンのアラーム音を鳴らしてLEDを点滅させて探せる機能も用意しています。アメリカでの販売価格は149.95ドル。

↑JVCの完全ワイヤレスイヤホン「HA-ET90BT」
↑JVCの完全ワイヤレスイヤホン「HA-ET90BT」

 

↑4色のカラバリが揃う
↑4色のカラバリが揃う

 

JBLのスポーツイヤホンがさらに充実

JBLからはワイヤレスイヤホンの新製品が一気に登場しますが、なかでもスポーツタイプの新シリーズ“Endurance”に加わるMP3音楽プレーヤー搭載の「JBL Endurance DIVE」に要注目です。ワイヤレスイヤホンの本体に音楽プレーヤー機能まで搭載している製品は便利なのに意外に数が多くありません。でもジョギングの時などはスマホやプレーヤーを別途持って走らなくてよいので、あるととても便利なんですよね。本体は防水仕様でリモコンはタッチセンサー式。イヤーハンガータイプのイヤホンは、装着する時にイヤホンと接触している箇所を離す時に自動で電源がオンになり、使い終わって装着し直せば電源がオフになります。連続音楽再生は8時間。高速チャージにも対応しています。

↑JBLのスポーツイヤホンの新シリーズ「Endurance」から、MP3プレーヤー機能を内蔵する「JBL Endurance DIVE」
↑JBLのスポーツイヤホンの新シリーズ「Endurance」から、MP3プレーヤー機能を内蔵する「JBL Endurance DIVE」

 

↑イヤーフックを接触しているケーブルから外すと電源がオンになる
↑イヤーフックを接触しているケーブルから外すと電源がオンになる

 

もうひとつのネックバンドタイプで心拍センサーを乗せた「JBL REFLECT FIT」も楽しみな新製品。女性のアスリートも身に着けた時にしっかりとしたフィット感が得られるように、ネックバンドのフィットを少しタイトめに、本体も小さめにデザインしています。首元でぶらつく煩わしさがないので、どちらかといえばスポーツシーンで使いづらかったネックバンドタイプのワイヤレスイヤホンに革命を起こすかも。

↑ネックバンドを小さくコンパクトにした「JBL REFLECT FIT」
↑ネックバンドを小さくコンパクトにした「JBL REFLECT FIT」

 

ゼンハイザーからお手頃価格のBTイヤホン

ゼンハイザーは99.95ドルのシンプルなワイヤレスイヤホン「CX 6.00 BT」を発表しました。昨年発売された「MOMENTUM Free」のように、イヤーピースは小さめにして、両側のケーブルにコントローラーとマイク、バッテリーボックスを設けて装着時の負荷を分散させたライトウェイトデザインが特徴です。低遅延性能が特徴のaptX LLのコーデックをサポートしているので、動画再生も快適に楽しめそう。

↑ゼンハイザーのワイヤレスイヤホンのエントリーモデル「CX 6.00 BT」
↑ゼンハイザーのワイヤレスイヤホンのエントリーモデル「CX 6.00 BT」

 

LGもGoogleアシスタント搭載イヤホンを発表

LGエレクトロニクスはGoogleアシスタントを搭載する「LG TONE Platinum SE/HBS-1110」を出展していました。ネックバンドタイプのワイヤレスイヤホンで、BA型とダイナミック型のハイブリッド方式のイヤホンです。連続音楽再生時間は10時間。本体のボタンをクリックしてGoogleアシスタントを起動。ブースではスマホ「LG V30」のグーグル翻訳機能と連携した日本語から英語へのリアルタイム翻訳機能が体験できました。

↑Googleアシスタント機能を搭載した「LG TONE Platinum SE」
↑Googleアシスタント機能を搭載した「LG TONE Platinum SE」

 

K-POPのSMエンターテインメントがアイリバーと新ブランド「Astell&ASPR」を立ち上げ

K-POPを中心とした良作コンテンツを多数手がけてきた音楽レーベルのSMエンターテインメントが、Astell&Kernを展開するアイリバーとタッグを組んで新しい音楽ブランド「Astell&ASPR(アステル・アンド・アスパイア)」を立ち上げました。CESの会場で、日本でもポータブルオーディオファンには“馴染みの顔”であるアイリバー社のCEO、ジェームス・リー氏に新しいブランドで今後どんなことに挑戦していくのか訊ねてみました。

↑CESでデビューしたSMエンターテインメントとアイリバーがタッグを組んだブランド「Astell&ASPR」
↑CESでデビューしたSMエンターテインメントとアイリバーがタッグを組んだブランド「Astell&ASPR」

 

↑アイリバーのジェームス・リー社長
↑アイリバーのジェームス・リー社長

 

「これまでオーディオはハードやソフトの技術革新を土台に発展してきました。コンテンツのスペシャリストであるSMエンターテインメントと組むことによって、アートや音楽の“世界観”からインスパイアされたオーディオであったり、音楽を楽しむためのコンテンツプレーヤーをアイリバーのテクノロジーをベースに形にしていきたいと考えています。SMエンターテインメントに所属する人気アーティストとのコラボモデルは一つの企画として構想しています。あるいは先日ACTIVOというブランドに搭載されたAstell&Kernのテラトンというオーディオ向けのシステムモジュールを活用することで、Astell&ASPRオリジナルの音楽プレーヤーもスピード感を活かした開発ができそうです」(ジェームス社長)

 

タッグを組むSMエンターテインメントはAstell&ASPRブランドからアパレル、アクセサリーなどのファッションアイテムをプロデュースしながら、様々な角度から音楽を盛り上げていくそうです。ブランドをお披露目する機会となったCESの会場にはAstell&KernのKANNやポタアンのXB10、イヤホンのMichelleをベースにしたオリジナルカラーリングのプロトタイプが並んでいました。これから本格始動後にどんな製品やサービスが誕生するのか楽しみです。

↑XB10とMichelleのAstell&ASPRオリジナルモデルのイメージ
↑XB10とMichelleのAstell&ASPRオリジナルモデルのイメージ

 

シュアからUSB Type-C・96/24のDAC内蔵デジタルケーブル

SHURE(シュア)は昨年のCESで発表した、SEシリーズなどMMCXタイプのイヤホンと互換性のあるLightningデジタルケーブル「RMCE-LTG」に続いて、今年はUSB Type-Cの端子を乗せた新製品「RMCE-USB」を発売します。米シュアのマット・エングストロム氏は「最近はサムスンやソニーのフラグシップスマホなど、特にハイレゾ対応の上位クラスのモデルにUSB Type-C端子からのオーディオ出力に対応するスマホが増えてきました。MacBook ProなどUSB Type-Cを搭載するノートPCにつないで、96kHz/24bit対応の内蔵DACで軽快にハイレゾ再生を楽しめるのも本機の魅力になると思います。」と語っていました。本機のほかにも、4月に開催される“ヘッドフォン祭り”には大型の新製品も持って、お馴染みのシーン・サリバン氏とふたりで東京に駆けつけてくれるそうです。

↑シュアのUSB Type-C端子を搭載するデジタルケーブル「RMCE-USB
↑シュアのUSB Type-C端子を搭載するデジタルケーブル「RMCE-USB」

 

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オーデジーの平面型イヤホンに北米限定のライトモデル

アメリカのオーディオブランドAudeze(オーデジー)は、昨年発売した平面型イヤホンのフラグシップモデル「LCDi4」に加え、今度は北米だけで、販売チャンネルも自社Webサイトとアマゾンに限定して展開する「LCD-LX」を出展していました。ホワイトにブルーのアクセントをコンビにした鮮やかな色合いを特徴としています。「ベースの実力はiSINE10相当。Lightning接続のCIPHERケーブルは別売オプションで展開する」(スタッフ談)という、とにかく平面型イヤホンの魅力を多くのポータブルオーディオファンが手軽に楽しめるように低価格化を徹底した入門機ということです。

↑オーデジーの平面型イヤホンのエントリーモデル「LCD-LX」はアメリカで販売チャンネルも限定して発売される
↑オーデジーの平面型イヤホンのエントリーモデル「LCD-LX」はアメリカで販売チャンネルも限定して発売される

 

先にレポートした【ハイエンド編】と合わせて、今年もCESのポータブルオーディオが活況を呈していたことを十分にお伝えできたでしょうか。今回ご報告した新製品が日本に上陸する日が今からとても楽しみです。