デジタル
2017/1/26 20:00

ハイレゾスマホ「グランビート」発進! オンキヨーの威信をかけた音質最優先設計で軽さも薄さも必要なし!

オンキヨー&パイオニアイノベーションズが、CESで発表したハイレゾスマホを国内でSIMフリースマホとして発売することを明らかにしました。老舗オーディオメーカーである同社がなぜスマートフォンを発売するのか、どのような思想のもとで開発されたのか。気になる製品の詳細をレポートします。

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↑オンキヨーブランドから発売される“グランビート”「DP-CMX1」

 

いままでにない高音質を目指したオーディオ・スマホ

オンキヨーブランドから発売される新しいスマホの名前は“GRANBEAT(グランビート)”「DP-CMX1」に決定。国内では楽天モバイルが2月下旬から、一番乗りで取り扱いに名乗りを上げました。価格はオープンですが、楽天モバイルでは8万4800円(税別)で販売されます。分割払いの場合は3816円(税込)×24回。購入代金に楽天スーパーポイントを当てることもできます。

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↑GRANBEAT「DP-CMX1」

 

国内ではすでにソニーのXperiaやLGエレクトロニクスが開発するisaiシリーズなど、ハイレゾ対応のAndroidスマホも数多く発売されていますが、オンキヨーのグランビート「DP-CMX1」は既存のハイレゾスマホと比べて、飛び抜けて高音質なポータブル音楽再生にこだわり抜いた点が特徴です。

 

ベースになっているのは、一昨年の秋に発売されたオンキヨーのAndroid OSを搭載するハイレゾ対応のポータブルオーディオプレーヤー「DP-X1」、そして昨年発売された「DP-X1A」に継承される高音質化技術です。本体はブラックを基調とするアルミブロックからの削り出しボディとして、オーディオプレーヤーとしての機能だけでなく、Android 6.0搭載によるマルチアプリ対応、そして4G LTEの通信・通話機能をマルチに盛り込んでいます。画面サイズはDP-X1Aの4.7型(1280×720画素)よりも少し大きい5.0型(フルHD)となっていますが、本体はDP-CMX1の方がよりスリムになっています。

↑左がDP-X1A。グランビートはやや縦長のデザインになっている
↑左がDP-X1A。グランビート(右)はやや縦長のデザインになっている

 

オンキヨーの高音質化技術を惜しまず投入

まずは本機の大きな特徴であるオーディオプレーヤーとしてのこだわりからチェックしてみましょう。本体には独立したオーディオグレードのDAコンバーターとアンプのICチップを乗せているので、今までの高音質をうたうスマホよりもさらにパワフル。音楽ファイルから豊かな情報を引き出すことに長けています。

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↑オーディオ基板を独立させ、ノイズ混入を防ぐためシールドで基板をガード

 

イヤホンジャックは本体のトップに配置されていますが、通常の3.5mmのイヤホンジャックのほかに、2.5mmのバランス出力用のイヤホンジャックを備えた点にも注目です。バランス接続に対応するヘッドホンなどにつなぐと、様々な音楽ソースをいっそう豊かなステレオ感と力強さで楽しむことができるようになります。

↑トップに3.5mmのアンバランス出力のほか、2.5mmのバランス出力のイヤホン端子を搭載
↑トップに3.5mmのアンバランス出力のほか、2.5mmのバランス出力のイヤホン端子を搭載

 

ハイレゾ音源には、実は色々な種類のファイルがあります。だからスマホによってはハイレゾ対応をうたっていても、聴きたかった音源が再生できないということも有り得るのですが、オンキヨーのグランビートは一般的なWAV/FLACのほかに、ALAC(アップルロスレス)やAIFF、DSDなど多彩なファイル形式の再生に対応しました。だから、お気に入りのミュージシャンが発表したハイレゾ作品はほとんど再生して楽しめると考えても良さそうです。高音質で省ファイルサイズのメリットも得られる「MQA」の音楽ファイル再生にも対応しました。

 

本体に内蔵するストレージは128GBと大容量を確保しているうえ、外部記憶媒体として256GBまでのmicroSDカードが1枚装着できます。ふたつのストレージを最大限に活用すれば容量は最大384GBまで拡張可能。ファイルサイズが大きくなりがちなハイレゾ音源も余裕で持ち歩くことができそうです。

 

Bluetoothによるワイヤレス再生は最大48kHz/24bitのハイレゾ相当の音楽再生が楽しめる「aptX HD」をサポートしています。オーディオテクニカの「ATH-DSR9BT」など同じaptX HDに対応するヘッドホンやイヤホンが今後続々と登場してくれば、本機と組み合わせながら、よりリッチなワイヤレスオーディオ再生が楽しめます。

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音量は本体左側に搭載するダイアルボリュームでスムーズに操作。右側面には音楽再生のコントロールボタンを配置しています。音楽再生用のオリジナルアプリ「Music」は、音楽再生時のジャケ写表示のほか、多彩なイコライザーやアップサンプリング機能も乗っています。本体内蔵のバッテリーは3000mAhと大容量。クアルコムの急速充電機能Quick Charge 3.0にも対応しています。

↑ボリュームダイアルで細かく音量が調節できる
↑ボリュームダイアルで細かく音量が調節できる

 

発表会に展示された実機のサウンドを、ヘッドホンをバランス接続したコンディションで聴くことができました。同じ作品をCD音質とハイレゾのファイルとで聴き比べて見ると、圧倒的な力強さと立体感が伝わってきます。発表会の会場なのでシビアな比較は難しいところではあるものの、楽曲の静かなパートではノイズがざわつく感じもなく、ボーカルの音像がよりリアルな姿を現してきます。ロックバンドのサウンドも楽器の定位が鮮明なので、立体的な空間の広がりをみせてくれます。クリアで緻密な中高域、密度が濃く安定した低域はそれぞれオンキヨーのハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤー「DP-X1」と「DP-X1A」の特徴を“いいとこ取り”していると実感しました。

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スマホとしての使いやすさにもこだわった

スマホとしての実力もチェックしておきましょう。CPUにはクアルコムのヘキサコア仕様のSoC「Snapdragon 650/MSM8956」が搭載されています。メインメモリーは3GB。実機をハンドリングしてみると音楽再生に限らず、色んなアプリケーションがサクサクと動かせる印象です。

 

SIMカードスロットはデュアルスロット・デュアルスタンバイ(同時待ち受け)に対応しています。どちらもカードのサイズはnano SIMとなり、片側が4G LTE/3G対応、もう片側が3G/2G対応までになります。日本国内で使える4G LTEの通信帯域はバンド1(2.1GHz)/3(1.7GHz)/8(900MHz)/19(800MHz)となります。楽天モバイルの回線はドコモ系なので問題はありませんが、もし他社のMVNOのサービスを既に使っている方などは、ドコモ系の回線を利用するSIMサービスには対応していますが、au系の回線は使えないようなので注意が必要です。またVoLTEやキャリアアグリゲーションにも非対応となります。

 

本体の背面には16メガピクセルのメインカメラを搭載しました。ソニー製のセンサーを使っているので、暗い場所でも比較的明るく精彩感の高い写真撮影が楽しめます。シーン選択など色んな機能はシンプルに、使い安くまとめ込んでいます。フロントカメラも8メガピクセルとして、セルフィ写真の撮影も楽しめます。動画は4K撮影も可能です。

本体のボディはアルミブロックから削り出した骨太仕様。背面に16MPのカメラを搭載した
↑本体のボディはアルミブロックから削り出した骨太仕様。背面に16MPのカメラを搭載

 

楽天モバイルがグランビートを取り扱う理由とは

音楽再生にこだわり抜いたグランビートを、いま勢いに乗る楽天モバイルがなぜ取り扱うことに決めたのでしょうか。本機の魅力を、発表会の壇上にゲストとして登場した楽天モバイル事業チーフプロダクトオフィサーである黒住吉郎氏に話しを伺いました。

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↑楽天モバイルの黒住吉郎氏

 

黒住氏はソニー・エリクソン、ソニーモバイルコミュニケーションズの両社に在籍時、“音のいいスマホ・携帯電話”の開発に最前線で関わってきたキーパーソン。国内で初のハイレゾ対応スマホとして人気を集めた「Xperia Z2」の商品企画も担当した人物です。オンキヨー&パイオニアイノベーションズの開発陣と親交のあった黒住氏は、「人気のハイレゾDAP(DP-X1)にSIMによる通信機能を入れたい」というオンキヨーのアイデアを受けて、楽天モバイルとしてグランビートの開発を早期からサポートしてきたといいます。

 

黒住氏は「本機はプロトタイプの段階から試聴させていただきました。既存のスマホでの音楽体験が陳腐化してしまうのではないかと思ってしまうほど、素晴らしいスマホに仕上がっていると思います」とコメント。グランビートの音質を賛美していました。

 

新製品発表会の時点では、本機がSIMフリーのスマホとして発売されること以外、楽天モバイル以外のMVNOを含むどの通信事業者が本機を取り扱うのかについては発表はありませんでした。いわゆる格安スマホとは一線を画すような性能と機能、そして価格となるスマホですが、これまでのスマホにないほど飛び抜けた高音質という個性を備えています。ありふれたスマホのサウンドに物足りなさを感じている方、あるいはハイレゾオーディオプレーヤーにLTE通信機能が欲しかったと考えていた、オーディオリスニングにこだわる方はぜひ注目したいアイテムといえそうです。

 

大きなビートで心を動かす「グランビート」

発表会に登壇したオンキヨー&パイオニアイノベーションズ株式会社の代表取締役社長 宮城謙二氏は、グランビートが開発された背景について「スマホで音楽を聴くライフスタイルが浸透してきたなかで、いままでは利便性とのトレードオフになってしまっていた“音質”をグランビートでとことん追求した。シリーズネームの由来である“大きなビートで、聴く方々の心を突き動かすスマホ”としてアピールしていきたい」と抱負を語りました。

↑発表会の壇上に登ったオンキヨー&パイオニアイノベーションズ株式会社の代表取締役社長 宮城謙二氏
↑発表会の壇上に登ったオンキヨー&パイオニアイノベーションズ株式会社の代表取締役社長 宮城謙二氏

 

グランビートが誕生した背景には、同社のグループ企業が提供する音楽配信サービス「e-onkyo musicストア」が伸び盛りであることも強く関わっているようです。オンキヨー&パイオニアイノベーションズのネットワークビジネス事業本部長の土田秀章氏は「オンキヨーは70年を超える歴史を持つオーディオブランド。もう一回原点に立ち返って、私たちがいまできることをやってみようという発想から、Music Loverに最高の音質を届けることがグランビートのコンセプト」としながら、昨今のスマホが薄さや手軽さを競うなかであえて骨太なハイレゾスマホにこだわったと説明しました。

↑同社ネットワークビジネス事業本部長の土田秀章氏
↑同社ネットワークビジネス事業本部長の土田秀章氏

 

発表会には、ミュージシャンの大友康平さんも登場。グランビートを1週間ほど使って、「こんないい音を持ち歩けることに驚いた。このサイズにスタジオで聴くようなサウンドが詰まっている」と感銘を受けたそうです。

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↑大友康平さん

 

また、グランビートのスマホらしからぬ大きさや重さについて、「ごついけど、このずっしりくる感じがいいよね。質実剛健で“日本男児”という感じがする」とコメント。大人の男性の魅力を放つ大友さんに、グランビートがとてもよく似合っていました。

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↑グランビートのずっしりとした質感が気に入ったとのこと

 

本体発売までにはグランビート専用のスマホケースや保護シートなども用意されるとのこと。また、早期購入者にe-onkyo musicでの楽曲ダウンロードができるクーポンなどが当たるプレゼントキャンペーンも展開されます。

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また、1月27日からは、コーヒーを飲みながら実機を試せる特設カフェも東京・茅場町にオープンします。発売前に音質をチェックしてみたい方は、ぜひ足を運んでみて下さい。

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