米サンフランシスコ市警、ロボットに容疑者を殺害する権限を与えることを検討中

ink_pen 2022/11/25
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米サンフランシスコ市警、ロボットに容疑者を殺害する権限を与えることを検討中
多根 清史
たねきよし
多根 清史

IT / ゲーム / アニメライター。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)がある。

米サンフランシスコ市警察(以下「SFPD」)が、ロボットに容疑者を殺害する権限を与える案を検討していることが明らかとなりました。

↑SFPDのロボットに新たなプランが浮上

 

もちろん無条件に殺しのライセンスを与えるわけではなく、「一般市民や警官の命が失われる危険が差し迫り、ほかのあらゆる力の選択肢を上回る場合」殺傷力あるロボットを配備できるとされています。

 

このプランはSFPDにどのような装備を配備できるかを、サンフランシスコ市の監督委員会内の規則委員会が数週間にわたって検討した中で浮上してきたものです。もともと原案には、ロボットの殺傷力行使をめぐる文言は含まれておらず、委員会のアーロン・ペスキン議長は「ロボットはいかなる人物に対する武力行使としても利用してはならない」と追記したとのこと。

 

ところがSFPDは、この追加部分を赤線で消し「ロボットに容疑者を殺害する権限を与える」という行に置き換えて草案を返却したそうです。結局ペスキン氏は「致死的な力の使用が唯一の選択肢となるシナリオもありうる」と書き直して、方針の変更を受け入れることにしたといいます。この草案を規則委員会が全会一致で承認し、11月29日の監督委員会で審議される予定と伝えられています。

 

SFPDは現在17台のリモート操縦ロボットを保有しており、うち使用可能なものが12台。上記の草案では、これらロボットに殺傷能力の付与に加えて「訓練とシミュレーション、犯罪者の逮捕、重大事件、緊急事態、令状の執行、不審物査定時」での使用も許可することが提案されています。

 

テックメディアThe Vergeに対して、SFPDは「ロボットを使って殺傷力を発揮する必要があるような異常に危険な、または突発的な作戦は、まれで例外的な状況でしかなく、何らかの特定の計画はありません」との声明を発表。少なくともマシンガンを装着したロボットが日常的に街をパトロールし、問答無用で射撃する事態はなさそうです。

 

とはいえ、ほかの州では実際にロボットが容疑者を殺害したこともあります。たとえばテキサス州のダラス警察は2016年、SFPDが保有する1台と同じ「Remotec F5A」を使用。このモデルは本来爆弾処理用ですが、逆に爆弾を積み込み、5人の警察官を射殺して数人を負傷させて立てこもった容疑者を爆殺しています

 

またカリフォルニア州のオークランド警察も、 Remotec F5Aロボにショットガンを装備することを検討していたと明らかにされています。いったんは断念されましたが、その後も引き続き検討していくと述べられています。

 

戦場で無人ドローン兵器が大量に投入されているなか、警官だけが生身で凶悪犯と対峙して命を危険にさらすのはおかしい、との声も上がるのかもしれません。今後の議論の展開を見守りたいところです。

 

Source:Mission Local
via:The Verge

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