ヘルスケア
2018/7/19 10:00

実はコンビニより多い! 最近街で「整骨院」の看板増えたと思いませんか?

 

街中でよく目にする整骨院、接骨院、鍼灸院などの看板。ふと気になり調べてみると、その数なんと全国で8万軒オーバー(2016年)。コンビニの総店舗数が約5万5000軒と言われる今日、すでにそれを大きく上回っています。大幅に増えた理由と、こういった施設を上手に利用する方法を、全国にある整骨院、接骨院を熟知する全国柔整鍼灸協同組合・東京事務所の佐藤信弘さん、小川勝美さんに話を聞きました。

 

全国の整骨院、接骨院、鍼灸院、マッサージ院にとっての強い味方、全国柔整鍼灸協同組合・東京事務所、佐藤信弘さん、小川勝美さん。今回は施術院が増え続ける理由と、正しい利用術について聞きました

 

 

 

20年前の規制緩和が、今日の治療院増加のピークに繋がっている

――近年、整骨院、接骨院、鍼灸院を街でよく見かける気がします。これはどうしてなのでしょうか?

 

佐藤信弘(以下:佐藤) まず、整骨院、接骨院は総称して「柔道整復」と呼びますが、かつてはこういった言葉は一般的でなく、よく「ほねつぎ」と言われるものでした。

 

薬で治療を促す西洋医学ではなく、実際に怪我などをした箇所を施術しながら、治療を進めていくものですが、これは国の方針として、ある程度までしか増やさない方針があったようです。国家資格を取るための専門学校も限られていて、なりたくても、なかなかなれるものではなかったんです。

 

しかし、1998年に「どうしてもっと増やしてくれないんだ」という裁判が起こり、これをきっかけに専門学校開校も緩和され始めました。それまでは10数校しかなかった専門学校が、気付くと100校を超えるようになりました。それに比例して受験者数と国家資格を取る人たちが増え、卒業後就業する人たちが増え、これだけの数になったということですね。

 

――しかし、国家資格を取るための緩和があったとしても、ニーズがなければ仕事にはなりませんよね。

 

佐藤 もちろんそうです。今は高齢化社会で、柔道整復が見直されていることで、ニーズが高まっているという理由もあります。ただし、現状では「良い先生」に患者さんが集中するというのはやむを得ないところで、どうしても過当競争になっていることは否定できません。

 

小川勝美(以下:小川) ですから、これだけ増えたといっても、浮き沈みはかなりあるようです。施術者の方にとって「国家資格を取って開業さえすれば、一生安泰」ということではないようです。

 

 

無資格マッサージと、国家資格を有するマッサージの違い

――もう一つ、柔道整復や鍼灸院の場合は、極端な話、国家資格と、最低限の機材、ベッドさえあればすぐに開院出来なくはなさそうです。こういったハードルの低さも開院が増える理由かなと思いました。

 

小川 そうですね。西洋医学のお医者さんで、個人医院を開院となると、大掛かりな機材や薬剤を備え、看護士を雇用したりと、初期投資がとにかくかかりそうです。それに比べれば、確かに開院しやすいでしょう。

 

――これは柔道整復や鍼灸院に限っての話ですが、一方のマッサージはどうでしょうか?

 

佐藤 マッサージも同じでしょうね。ただ、ここで明確に分けておかなければいけないのは、国家資格を有して開院する柔道整復・はり・きゅう・あん摩マッサージと無資格マッサージは全く違うということです。

 

――無資格マッサージとは?

 

佐藤 よく繁華街、サウナなどで目にするのはたいていリラクゼーションや整体を名乗った店舗です。こういったところは国家資格が要らず、その気になれば誰でも施術ができます。

 

一方、我々が推進している柔道整復、鍼灸院、マッサージ院は国家資格を有する人によるもので、場合によって健康保険も使えるものです。

 

利用者にとって、無資格マッサージ店は気軽に通う利点はあるかもしれませんが、本質的な改善にはなかなかなりにくいと思います。それなら、きちんとした国家資格を持ち、本質的な改善や治療を促していくほうが良いと思います。

 

特になんらかの怪我を原因とした凝り、歪みを治すためには無資格マッサージでなく、柔道整復、鍼灸院、国家資格を持ったマッサージ院に行くべきだと思います。

 

 

増え続けた治療院も、今後は減少する方向に!?

――こういった柔道整復、鍼灸院、マッサージ院に対し、全国柔整鍼灸協同組合では、どういった役割を担っているんですか?

 

小川 基本は、柔道整復、鍼灸院、マッサージ院にとっての開業、保険請求などのトータルサポートです。これまでに培ったノウハウと組織力があるので、何か困った治療院があれば、サポートをさせていただく機関です。

 

――最初に話に戻ると、これだけ治療院が増えているので、協同組合の仕事もどんどん増える一方ではないですか?

 

佐藤 はい。ただ、これだけ増えた反動で、この春からはある程度の規制が始まり、頭打ちになると考えています。

 

――どういった規制ですか?

 

佐藤 先ほど言った保険請求というのは、国家資格さえ取ればどの先生でも使えるものではないんです。医療機関と同じように保険を取り扱うには「受領委託契約」というものを国と結ぶことが必須だったわけですが、この契約がこの春から厳しくなりました。

 

例えば、これまでなら申請し、認可されればすぐ「受領委託契約」を結べたところが、仕事を始めて、2~3年継続してからでないと、契約を結ぶことができなくなっています。

 

さらに、これは規制ではありませんが、国家資格を得る際の試験も年々難しくなっていて、合格率がどんどん下がっているという現状もあります。

 

――では今はまさに岐路にあるという状況でしょうか?

 

佐藤 まさにそうだと思います。コンビニにたとえれば、かつてはいろんなチェーンが続々と増えましたが、ある時期に統合されたり吸収されるようになり、今はある程度淘汰されていると思います。

 

こういった現象が、我々柔道整復の業界にも、今起ころうとしているわけですね。ただ、こうなることで、本当に良い柔道整復師の先生だけが生き残っていくわけですから、利用者にとっては特に良いことだと思っています。

 

↑柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師として開院される先生方に対し、幅広いサポートをする同組合。定期的に最新情報を発信し、組織力を高めサービスを提供されているそうです

 

 

治療院選びは、口コミが一番信用できる!

――今、これだけ多くなった柔道整復、鍼灸院、マッサージ院を利用する際、どういった点に注意して治療院や先生を選ぶべきでしょうか?

 

小川 これは人それぞれですので、本当に言葉で言うのは難しいですね。

 

佐藤 そういった意味では歯医者さんと同じ感じかもしれないですね。

 

歯医者さんに通った際、治療を進めてみるまではその先生がどういう方で、どういう治療をしてくれるのかはわからないじゃないですか。途中で「うわ、この先生は怖い」と思っても、その治療を途中でヤメるわけにもいきませんから、終わるまでは我慢して通わないといけません。

 

これと同じで柔道整復の場合も、一般的な「言葉」「情報」「施設などの見栄え」「ホームページでの情報」だけでは判断しにくいかもしれません。やはり実際に通ってみて、先生との相性、施術の仕方、治療の効果などは利用者の方がご自身の目で判断するしかないと思います。

 

――口コミでの判断はどうですか?

 

佐藤 通院前の判断には、やはり口コミが一番良いでしょうね。実際、評判の良い治療院さんは本当に良いところが多いです。

 

小川 多くの患者さんから信頼されているということは、その先生が多くの患者さんと向き合える人だという証拠だと思いますし。

 

実際、ヒドい場合だと「人と会話するのが苦手だから」と、患者さんの問診を省いたり、領収書を出さない先生がいたという話も聞いたことがあります。そういった治療院は自ずと評判が下がり、口コミでは悪い評価しか広まりません。

 

対して、多くの患者さんから支持される治療院は、こういったことはもちろんなく、本当に良いところが多いはずです。まずはこういった口コミでの評価が高い治療院に通ってみるのが一番良いと思います。

 

これだけ増えた整骨院、接骨院、鍼灸院、マッサージの裏側では一般にはわからないこういった事情があったようです。利用される方はぜひこういった裏側の事情も加味して、よりご自身にあった先生、治療院を探してみてください!

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