ライフスタイル
2024/1/31 20:00

冬の電気代高騰に対抗!賃貸住宅でも可能な節電しながら防寒するアイデア

2024年2月頃までの冬季の気温は、エルニーニョ現象の影響で例年よりもやや高めの予想。それでもここへきて、日本海側でまとまった降雪があるなど寒さへの備えは必要です。そんななかで、エアコンやオイルヒーターを取り入れていると、年々高くなる電気代が気になるでしょう。 今後の光熱費の状況や、手軽に実践できて節約にもつながる防寒アイデアを、節約アドバイザーの和田由貴さんに教えていただきました。

節約・節電のためにどう見直せばいい?プロが教える、エコな電気の使い方10

 

今後の暖房代は高くなる?
まずは光熱費の動向をチェック

年々値上がりを続ける電気代のことを考えると、暖房の使用をためらってしまいそうです。今後もやはり値上がり傾向は続くのでしょうか? まずは暖房代を含む光熱費全体の動向をうかがいました。

 

「2023年12月時点で、火力発電の燃料となるLNG(液化天然ガス)などの燃料費は高くなっている状況です。これを受け、暖房代を含む光熱費として私たち生活者が支払う『燃料費調整額』も2024年1月から値上がりする予定となっています。そのため、光熱費も現在の水準よりやや高くなる見込みです

 

 

「燃料費が上昇する原因として、社会情勢の影響が挙げられます。日本は資源国ではないので、発電のために使用するLNGや石油などの燃料を輸入に頼っています。そのため、円安が続いたり、戦争などで国際情勢が不安定になったりすると、燃料の輸入価格が高騰します。また、コロナ禍の影響で停滞していた経済が動き出し、電力需要が高まっていることも燃料費が上昇する要因になっています。

 

なお、現在私たちが支払っている電気代・都市ガス代などの光熱費は、政府が行う事業である『激変緩和措置』が適用されており、直接的な料金負担が軽減されています。しかし、激変緩和措置は2024年4月使用分までの適用となるため、春以降も光熱費は確実に値上がりすると見たほうがよいでしょう」(節約アドバイザー・和田由貴さん、以下同)

過ごしやすさは「温湿度計」で確認!
冬の室内の適切な環境とは?

今後の暖房代も残念ながら上昇傾向にあると考え、エアコンなどの暖房器具の使い方を、あらためて意識する必要があります。そのためにも、冬場の快適な室内環境の目安を知っておきたいところ。どのような状態の室内だと過ごしやすくなるのでしょうか?

 

「環境省が示している基準では、『暖房時の室温は20℃が目安』とされています。そのため、暖房器具を20℃に設定するのではなく、室内の温度計を目安にして、暖房器具の設定温度を調整する必要があります」

 

さらに、暖かさを感じるためには、湿度の設定も大きく関係するそうです。

 

湿度が20%違うと、体感温度が4℃も変わります。冬は湿度が低いため、最適な室温にしても寒く感じてしまいます。そのため、冬場の室内は温度とともに、大体40~60%を目安に湿度を保つことも重要です。暖房器具と同様に、加湿器の設定ではなく、室内の湿度計を確認して加湿量を調整しましょう」

 

もし、部屋に温度計や湿度計がない場合は、温度と湿度がどちらも測れる温湿度計を室内に置いておくと、暖房器具や加湿器を調整しやすくなりますね。

100均グッズでも対策可能!
節電できるお手軽防寒アイデアを紹介

過ごしやすい室内環境にしたくても、日当たりが悪い、隙間風が通りやすいといった部屋に住んでいると、暖房器具を使っても部屋が暖かくならない可能性がありそうです。そこで和田さんから、賃貸でも手軽にできる、暖房効率を高めるための防寒アイデアを教えていただきました。

 

・窓際からくる冷気は、丈の長いカーテンで防ぐ!

和田さんによると、部屋が寒くなる原因は『窓際が寒いこと』にあるといいます。持ち家であれば、断熱性能の高い複層サッシや、寒さが伝わりにくい樹脂サッシに変えて、冷気を遮断する方法もあります。一方、賃貸の場合はどのように対策できるのでしょうか? 「部屋が寒くなる原因として、カーテンと床の間に隙間があることが考えられます。冷たい空気は下に流れていくため、窓の下から冷気が侵入し、床が冷えてしまいます。また、暖房で暖められた空気は天井に流れますので、部屋の上下で寒暖差ができてしまうのも暖房効率が悪くなる原因になります。そのため、床に引きずるくらい長い厚手のカーテンで、窓から流れてくる冷気の侵入を防ぎ、部屋の中で寒暖差を作らないようにすることが重要です」

 

 

とはいえ、カーテンの買い替えをするとなると、少し値が張ってしまいます。そこで活用したいのは、100円ショップなどで安価に売っている、カフェカーテンやシャワーカーテンです。

 

「部屋のカーテンが厚手でない場合は、シャワーカーテンを普通のカーテンの裏に重ねて、カーテンフックに取り付けてみるとよいでしょう。シャワーカーテンを、普通のカーテンの後ろに1枚追加するだけでも、外からの冷気が伝わりづらくなります。

 

カーテンの長さが足らず、アジャスターなどで調整しても床まで届かない時には、丈が短いカフェカーテンを普通のカーテンの裾に貼り付け、丈を付け足す方法もあります。両面テープで貼り付ければ、冬が終わったらすぐに外せますよ」 また、窓ガラスに直接断熱シートを貼ったり、窓枠にウレタンの断熱パネルを取り付けるといった方法も有効。いずれも100円ショップやホームセンターで販売されているので、手頃な値段で簡単に対策できます。

・断熱シートで床から暖かく

窓から伝わった冷気は下に流れていくため、床全体が冷たくなってしまいます。ラグやホットカーペットを敷くだけでも床の冷たさを軽減できますが、その下に「断熱シート」を敷くことで、さらに効果的な防寒対策が期待できるそうです。

 

「ウレタンの上にアルミが貼られた断熱シートは、100円ショップやホームセンターなどでも販売されています。ラグやホットカーペットの下に敷くだけで保温性が高まり、熱が床面に逃げるのをかなり防いでくれます」 また、ホットカーペットの下に断熱シートを敷いた場合、低めの設定温度でも十分に暖かくなるとのこと。設定温度を低くすれば、それだけ消費電力も低くなるので、電気代の節約にもつながりそうです。

お手入れや使い分けでも効果抜群
エアコンや加湿器を上手に使い、節電を

部屋の対策だけでなく、暖房器具などの使い方にも節電のアイデアはあります。

 

・エアコンフィルターをこまめに掃除する

 

暖房器具としてエアコンを使っている場合、定期的にフィルター掃除をする必要があります。このお手入れの頻度も電気代に大きく影響します。

 

「エアコンフィルターを1年間まったく掃除しない場合と、こまめに掃除した場合で比較すると、25%くらい電気代が違います。とくに、冬場は厚手の衣服や毛布などで使用される、ふわふわとした素材が舞い上がりやすいので、エアコンフィルターが目詰まりしやすくなります。そのため、暖房を多用する今のシーズンは、2週間に1回くらいのペースでフィルターの掃除をするとよいでしょう」

 

カビや埃を飛散させない! 掃除のプロが教えるエアコンのセルフクリーニング

 

・エアコンを適切なタイミングで運転する

また、エアコンを使うシーズンになると、「電源をつけたままにしたほうがよい」「外出するときには消したほうがよい」など、使い方についてさまざまな情報が飛び交います。そこで、あらためてエアコンの適切な使い方をお聞きしました。

 

「エアコンは、電源を入れてから設定温度に到達するまでの時間が、一番消費電力が多く、電気代が高くなります。家で過ごす時間が長くなる時には、設定温度を控えめにして、電源を入れたままにしておくと電気代を抑えられますよ。ただ、30分以上外出するときには、一度消したほうがいいですね」

 

加えて、風量の設定も迷うところです。電気代を気にして、あえて微風に設定するという考え方もありそうですが、実際はどうなのでしょうか?

 

エアコンの風量設定は『自動』にするのが一番よいと言われています。弱い風量の設定のままにしていると、設定温度に至るまで時間が掛かるうえに、電力を消費し続けるので、かえって電気代が高くなってしまう可能性があります」

・加湿器の加湿方式ごとの特性を理解する

暖かく快適に過ごすためには湿度を保つことも重要とうかがいました。そこで加湿器の出番ですが、加湿器にも種類ごとに特性があり、使う場所にも向き・不向きがあるといいます。加湿器は主に3種類ありますが、それぞれ教えていただきましょう。

 

 

・スチーム式
「水を沸騰させて気化させるため、加湿量が非常に多く、一気に湿度を上げられるのが特徴です。ただし、水を加熱させる分、電力を多く消費するため、電気代は高くなります」

 

・超音波式
「水を超音波で振動させて噴霧し、部屋を加湿するのが特徴です。加熱しない分電気代は安いのですが、加湿できる範囲が狭いので、仕事部屋のようなパーソナルな場所で使うのがよさそうです」

 

・気化式
「フィルターに水を吸わせ、風を当てて自然に気化させる方式で加湿します。加湿量は少ないものの、室内の湿度に応じて加湿量を調整し、安定した湿度を保つことができるので、リビングなど長い時間を過ごす場所に置いておくとベストです。また、電気代が非常に安いのもポイントです」

 

また、スチーム式と気化式、スチーム式と超音波式といった、2種類の加湿方法を併せ持つハイブリット加湿器なども登場しています。場所や過ごし方などを踏まえて加湿器を選べば、効率よく湿度対策もできそうです。

・暖房器具を適材適所で使い分ける

エアコン以外にも、持ち運びしやすい電気ストーブなどのコンパクトな暖房器具もあります。また、最近ではモバイルバッテリーで暖かくなる電気ひざ掛けや、ヒーターを内蔵した電熱ベストなど、便利な防寒アイテムが多数登場しています。

 

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「一人のときと、家族でいるときとで、暖房の使い方は違うと思います。部屋に一人でいるときには、自分だけが暖まれるように電気ひざ掛けを使用する。家族でいるときには、エアコンで部屋を一気に暖める。お手洗いや洗面所など、ピンポイントな場所で短時間だけ使いたいときは、すぐに暖まる電気ストーブを使う。このように、それぞれの暖房器具の特性をよく知って、適材適所でアイテムを使い分けることも大切です」

 

暖房器具や防寒アイテムを用途や場所に応じて使い分けることで、電気代を抑えつつ効果的に防寒できますね。

無理なく実践できる防寒アイデアで、今年の冬は上手に節約しながら、暖かく快適に過ごしてみませんか。

 

Profile

節約アドバイザー / 和田由貴

消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。環境カウンセラーや省エネルギー普及指導員でもあり、2007年には環境大臣より「容器包装廃棄物排出抑制推進員(3R推進マイスター)」に委嘱されるなど、環境問題にも精通する。「節約は、無理をしないで楽しく!」がモットーで、耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱している。著書に、「即実践! 即効果! 節約のプロがおしえる家計防衛術」(辰巳出版)、「月3万円貯まるムダなし生活術」(永岡書店)、「快適エコのライフスタイル 冬の省エネ生活」(NHK出版)、「めざせ!ごみゼロマスター」シリーズ(WAVE出版)など多数。