まもなく開幕するサッカーワールドカップのロシア大会。そのメインスタジアムとなっているモスクワの「ルジニキスタジアム」が3年がかりの改築を経て完成しました。開幕戦と準々決勝、準決勝、決勝の試合がここで行われます。今回はロシアの技術を結集した「世界最高峰のスタジアム」と呼び声も高いこのスタジアムの見所を5つご紹介します。
1:排水&暖房装置で芝を管理
このルジニキスタジアムは1956年開場当時から天然芝でしたが、ロシアの過酷な気象条件により、芝の生育環境が悪く一部は腐敗してしまっていました。
そのため2008年に行われた公式試合では、イングランドの選手が腐った芝で転倒するという事件もおきました。この事件をふまえ、新しい天然芝はピッチの下に35キロにも渡る排水装置を設置。これによって、仮にスコールなどが起きた場合でも天然芝部分の水を排水できるようになりました。
また、こだわりの天然芝を常に美しい緑で保てるように、いろいろな工夫が施されています。コートの横幅111メートルに合わせた巨大な照明装置が10機も完備され、天然芝の下には暖房装置を配置。モスクワは日照時間が少ないうえに冬はマイナス30度にもなるところですが、照明のおかげで芝は一年中青々とした状態を維持でき、暖房によって芝の表面温度を常に15度の適温に保つことができるようになったのです。
さらに驚きなのは、天然芝がずれることがないよう特別なナイロン糸で根っこ同士を縛ってあるということ。選手たちは最高のピッチコンディションでプレーできることでしょう。
2:屋根自体がスクリーン
スタジアムの屋根は楕円形になっており、天候に合わせて開閉することができます。これは天然芝の風通しにも重要な役割を果たしているのですが、実はよくある平凡な開閉式屋根ではありません。
なんと屋根自体が巨大スクリーンになっており、文字や映像を映し出すことができるのです。選手名や得点、ハイライトなどをオンタイムで表示することが可能。従来のスクリーンと比べて、かなり臨場感がありそうですね。
3:どの席からも最高の眺め
世界中のいろいろなスタジアムでも見られますが、シートの配置や建物の設計の都合で、せっかくお金を払って来たのに肝心のピッチが見えにくい席があります。実際、旧ルジニキスタジアムでも全体の10%ほどがこのような席でした。新スタジアムは特別な設計を施すことでそれらをなくし、どの席からでもピッチ全体がきれいに見渡せるようになったのです(ルジニキスタジアムの収容人数は8万1000人)。