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2019/7/17 17:30

前から見るとアルファ ロメオ、横から見るとBMW? 「ジュリア」のディーゼルモデルはすばらしい

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、新たにディーゼルエンジン搭載グレードが追加されたアルファ ロメオの中型セダンをぶった斬る!

 

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永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更しています。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

 

【今月のクルマ】アルファ ロメオ/ジュリア

SPEC【2.2 TURBO DIESEL SUPER】●全長×全幅×全高:4645×1865×1435㎜●車両重量:1600㎏●パワーユニット:2142㏄直列4気筒ターボディーゼルエンジン●最高出力:190PS(140kW)/3500rpm●最大トルク:450Nm(45.9㎏f-m)/1750rpm●WLTCモード燃費:17.2㎞/ℓ●446万円〜597万円

 

ハンドルを動かしただけで横っ飛びするくらいのキレ

永福「安ドよ。お前もかつてアルファ ロメオに乗っていたな」

安ド「はい! アルファ スパイダーに乗ってました!」

永福「故障で苦労したようだな」

安ド「所有期間の後半は幌が開かなくなったままでした! それと、リア窓部分のビニール素材も劣化して欠けてました!」

永福「アルファ ロメオとは、かつてそういうクルマだった。しかし、いまは違う!」

安ド「違いますね!」

永福「このジュリアを見ろ! ものすごくちゃんとしてるだろう」

安ド「ちゃんとしてます!」

永福「まるでBMWみたいだろう!」

安ド「横から見ると見分けがつきません! でも顔は違います!」

永福「だな。これは顔がアルファのBMWなのだ」

安ド「そんな!」

永福「しかし乗り味はかなり違う」

安ド「違いますね!」

永福「このステアリングのキレはすさまじい」

安ド「スピードを上げるほど、キレが鋭くなります!」

永福「うむ。逆に低速では鈍くなる。普通は逆なのだが……」

安ド「つまり一般的には、低速ではハンドルを少し切っただけでクイッと向きが変わったほうが駐車時などにラクだけど、そのままだと高速走行で怖いので、速度が上がると反応を鈍くするわけですね?」

永福「そのとおり。ところがジュリアは逆。高速では、ちょっとハンドルを動かしただけで横っ飛びするくらいキレる。このキレキレ感がたまらない!」

安ド「たまりませんね! でも普通の人はこれで大丈夫なんでしょうか?」

永福「普通の人はアルファ ロメオに乗らないから大丈夫だ」

安ド「なるほど! それと、今回のジュリアは新登場のディーゼルエンジン。ついにアルファがディーゼルを作ったんですね!」

永福「大昔から作っているぞ。イタリア人は昔から好んでアルファのディーゼルに乗っていたのだ」

安ド「えっ、アルファというと、キレッキレのガソリンエンジンのイメージが強いんですが……」

永福「それは東洋の島国で思うことで、本国人はディーゼルでカッ飛んでいたのだ」

安ド「そうですか! で、アルファのディーゼル、いかがでした?」

永福「スバラシイ! 音は静かだし滑らかでキレもいい。BNWのディーゼルよりいいぞ!」

安ド「マジすか!」

永福「少し残念なのは、アルファらしい快音がしなかったことだ」

安ド「えっ、ディーゼルで快音なんてあるんですか?」

永福「20年くらい前のアルファの5気筒ディーゼルは、驚くほどの快音をとどろかせていた。現在のマセラティのV6ディーゼルもスバラシイ快音だ」

安ド「ディーゼルでも快音にできるんですね!?」

永福「楽器の調律と同じだからな」

 

【注目パーツ01/トランク】同クラスではかなり使える

トランク容量は480ℓ。中型セダンとしては合格点の広さで、ゴルフへ行くときなどにも十分使えるでしょう。内部の形状も邪魔になる出っ張りなどがなく、アルファにしてはとても頑張ったのではないでしょうか。

 

【注目パーツ02/ディスプレイ】細かいことは気にしない

インパネ中央部には車両状況などを表示するディスプレイがありますが、それほど大きくなく、上部の縁も斜めで見づらいです。ただし、スマホと連携できて、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応しています。

 

【注目パーツ03/細部デザイン】見間違いそうな形状が各所に散見

アルファの中型セダンといえば、ヒット作となった156が有名です。しかしその後の159、そしてジュリアへと受け継がれる流れのなかで、徐々にデザインの独創性が薄れてしまいました。アンテナや後席窓後方の形状などはBMWそっくりです。

 

【注目パーツ04/ナンバープレート】サイドにずらして付けてもいいんです

中央に盾型グリルが配置されるため、ナンバープレートはサイドに設置されます。これもデザインの範疇ととるか、アンバランスととるかは、見る人次第。個体差だと思いますが、このナンバー若干傾いていますね。

【注目パーツ05/ステアリング】スポーティな走りを彷彿

ステアリングはスリムでスポーティな形状です。正面左右に取り付けられたボタンではACCやオーディオ類の操作が可能です。シフト操作のためのパドルはかなり大きく、こういったアピールからもアルファらしさが感じられます。

 

【注目パーツ06/ATシフト】大手メーカーが手がけたAT

ドイツ車をはじめ世界でもトップクラスのシェアを誇るトランスミッションの大手・ZF社製の8速ATが採用されています。シフトノブの根元に配置されるスイッチやダイヤルでは、走行モードの切り替えなどの操作ができます。

【注目パーツ07/盾型グリル】戦闘的なイメージのグリル形状

全体的にオーソドックスなスタイリングですが、フロントフェイスはアルファらしさを主張しています。特に、同ブランドの象徴ともいえるのが盾型のグリル。戦いの象徴でもある盾の形を選ぶあたり、イタリア人はアツいですね。

 

【注目パーツ08/内装の仕立て】上質かつ艶っぽい素材と形状

試乗車のインテリアはブラックとベージュの華やかなツートンカラーでしたが、ブラック一色も用意されています。ところどころに配置される木目も質感が高く、内装は全体的にイタリアらしい艶っぽい仕上がりになっています。

 

【注目パーツ09/エンブレム】ミラノ絡みの2つのパーツ

同社がミラノに本拠地を置いていることもあり、エンブレム内左側の赤い十字はミラノ市の紋章で、右側の緑の大蛇はミラノの貴族であったヴィスコンティ家の紋章になっています。蛇の口元に見えるのは食われた人間です。

 

【これぞ感動の細部だ/エンジン】走っても楽しくお財布にも優しい

1年半前のジュリア日本導入時はガソリンエンジンのみの設定でしたが、この春追加されたのが、この2.2ℓターボディーゼルエンジンです。アルミブロックが用いられるなど軽量な設計で、加速は力強く、それでいて軽快に回る、運転していてウキウキするエンジンです。実燃費は15㎞/ℓ前後で、さらに燃料は軽油ですからお財布にも優しいです。

 

撮影/我妻慶一

 

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