デジタル
2016/10/6 6:00

家電見本市からの脱却! CEATEC JAPAN 2016は「近未来」のショーケースに進化した

昨年までは家電見本市としてのイメージが強く、今後発売する新商品にいち早く触れられることがウリだったCEATEC JAPANですが、今年はちょっと様相が違っています。テレビやスマホといった日常的な製品の展示がグッと減り、製品化はまだまだ先だけど、将来的にはこんなスゴイ技術が扱えるようになりますよ、というような新技術や構想を発表する展示が多く見られました。そのため、従来よりも近未来の世界を身近に感じることができる内容に変化しています。

 

今回、目立っていたのはAI(人工知能)やロボット、IoTに関連する技術や製品でしょう。家電や機械は、人間の手助けをして、生活をより楽にしてくれるものですが、それらのマシンとコミュニケーションをはかりながら、さらなる効率化を目指していくという主旨で、多くの製品が出展されていました。昨年までの同イベントでは家電製品が多く展示されていたため、シャープの「RoBoHoN」(ロボホン)などはかなり異端な存在でしたが、今回は展示されていて当然という感じになっています。
今年の出展社数は前年比22%増の648社/団体が出展。そのすべてを紹介するのは難しいので、注目のブースや商品をピックアップして紹介します。

 

NHK/JEITAブース

例年通り、4K/8Kがメイン。超極薄のシート型ディスプレイも展示していました。

↑8K HDR映像の展示
↑8K HDR映像の展示

 

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↑超薄型のシート型ディスプレイ

 

シャープブース

シャープが提唱するAIとIoTを融合させた“AIoT”押し。昨年のCEATEC JAPANで話題となったRoBoHoNはビジネス向けの展開を発表。英語や中国語の対応、介護施設の対応のほか、着せ替えアイテムも展示されました。今後のアップデートとしては、TwitterやLINEにも対応するとのこと。家電と住宅設備機器やサービスを音声操作で繋ぐ「ホームアシスタント」も参考展示していました。

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↑外国語対応のロボホン

 

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↑介護施設などにも展開

 

↑着せ替えアイテムも登場
↑着せ替えアイテムも登場

 

↑音声でコミュニケーションできる
↑音声でコミュニケーションできる「ホームアシスタント」

 

セブンドリーマーズブース

昨年のCEATEC JAPANでも登場した洗濯物を畳んで、仕分けまでしてくれる「ランドロイド」を出展。昨年は洗濯物を畳んでいるシーンはすべてモザイクがかかっていましたが、今年は一部のみモザイクになっており、ランドロイドがちゃんと畳んでいる感がありました。仕分けはタオルやシャツなどの分類だけでなく、お父さんやお母さん、子どもなど、家族それぞれに分類することも可能です。

↑
↑ランドロイド

 

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↑衣類を自動で畳んで仕分けしてくれます

 

富士通ブース

来場者の顔を認識し、コミュニケーションをとるロボット「ロボピン」を展示。人がたくさん集まると元気が出て、機嫌が良くなるとのこと。顔部分の光や翼のような両手を動かして、感情をアピールしていました。靴の中敷きにセンサーモジュールを搭載し、足の動きから健康状態をはかるデバイスも展示。まだ参考出品ですが、どこかのシューズメーカーと手を組んで、発表されるかも知れません。

↑ロボピン
↑ロボピン

 

↑靴の中敷き用デバイス
↑靴の中敷き用デバイス

 

三菱電機ブース

三菱電機で注目したいのは、屋内3Dマッピングシステム。GPSなどの位置情報に頼らず、屋内をセンサーを担いでひと回りするだけで、点群の3Dで表示します。点群から3DCGへの変換などは今後の課題としていますが、3Dマッピングや3DCG製作が大幅に効率化する可能性がありそうです。

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↑3Dマッピング用センサーを搭載した機体

 

↑屋内の
↑屋内の3Dマッピングが簡単に行える

 

NECブース

NECは生体認証をいくつか展示。そのなかでも、ウォークスルー顔認証システムは、実用化されればかなり便利になりそうでした。あらかじめ顔とIDを登録しておけば、立ち止まることなく顔認証が行われます。駅の改札や買い物で使っているICカードをかざすことなく、顔を認証するだけでゲートを通過できたり、買い物の支払いができたりします。まさに“顔パス”を可能にする技術です。

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↑ウォークスルー顔認証システム

 

トヨタブース

トヨタの目玉は車でもなければ、ハイブリッドカーに使われる充電池でもなく、コミュニケーションロボット「KIROBO mini」。音声認識による意思の疎通をはかり、ドライブのお供などで活用されるとのことです。スマートフォンとBluetoothで接続し、スマートフォンからクラウド上にアクセスし会話が可能。モーターは両腕と頭(前後と左右)の計4つと少なめなので、可動する部分はかなり限定されます。ほかには燃料電池自動車MIRAIのカットモデルなどが展示されていました。

↑KIROBO mini
↑KIROBO mini

 

↑MIRAIの断面展示
↑MIRAIの断面展示

 

パナソニックブース

昨年は液晶テレビVIERA(ビエラ)のフルラインナップを展示し、まさに製品見本市の状態だったパナソニックブースも、今年は一転して最新システムの提案や参考展示による未来感のある内容になっていました。そのなかでも人気を集めていたのが、人体通信応用デバイス。手などを直接触れることで、情報を通信する新システムです。手を離せば通信が途切れるので、傍受される可能性もありません。

↑手が触れることで通信するシステム
↑手が触れると通信できる人体通信応用デバイスのデモ

 

また、カメラシェアリングサービス「PaN」にも注目。街や観光スポット、アミューズメント施設などに、複数のカメラを設置し、カーシェア同様に、一時的にそのカメラの使用権を得るシステム。かなり高い位置からの俯瞰など普段撮影できない状態で撮れたり、必ず家族全員で撮影ができたり、プロが使うような超高価なカメラで撮影できたりと、利点は多そう。

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↑カメラシェアリングサービス「PaN」

 

日立製作所ブース

なんと4年ぶりのCEATEC JAPANへの出展となる日立製作所。接客や案内などを行うヒューマノイドロボットの「EMIEW3」や、歩道で自律走行する一人乗り用移動支援ロボット「ROPITS」などを展示。ROPITSはすでに試験走行としてつくば市で実証実験が行われているとのこと。超小型とは言え、都心の細い歩道では走行が難しそうですが、歩道を広くとった計画都市などや巨大ショッピングモールの室内移動に役立ちそうです。

↑EMIEW3
↑EMIEW3

 

↑ROPITS
↑ROPITS