【西田宗千佳連載】強引なEVシフトが裏目に。ホンダの計画見直しがAFEELAを直撃

ink_pen 2026/5/14
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【西田宗千佳連載】強引なEVシフトが裏目に。ホンダの計画見直しがAFEELAを直撃
西田宗千佳
にしだむねちか
西田宗千佳

モバイル機器、PC、家電などに精通するフリージャーナリスト。取材記事を雑誌や新聞などに寄稿するほか、テレビ番組などの監修も手がける。ツイッターアカウントは@mnishi41。

Vol.161-2

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回は突如開発中止となった、ソニー・ホンダの電気自動車(EV)「AFEELA」の話題。共同開発の難しさと、今後の見通しについて解説する。

ソニー・ホンダモビリティ

AFEELA 1

2020年のCESで発表されたコンセプトEV「VISION-S」がその出発点。2022年9月には「ソニー・ホンダモビリティ」が設立され、2025年1月には「AFEELA 1」を発表。カリフォルニア州で先行予約が開始されていた。

↑なぜ「AFEELA」は消滅したのか?

ソニー・ホンダモビリティは、2026年中にアメリカで発売を予定していた「AFEELA 1」の開発と発売を中止すると発表した。4月21日には会社としての方向性も発表され、ソニーとホンダの合弁という形で自動車を販売する、というビジネス形態は断念することになった。少なくとも現状、ソニーとホンダのコラボレーションによる自動車が作られ、販売される可能性はなくなったといっていい。

そもそも、なぜこの計画は中止されることになったのか?

理由は、ホンダのEVビジネス見直しにある。ソニー・ホンダのEVはホンダがアメリカに持つEV工場での生産が予定されていたが、ホンダのEVビジネス見直しによって工場自体の撤退が決まった結果、生産自体が難しくなったのだ。他のメーカー、他の工場での生産に切り替えるのは難しく、結果としてビジネスも見直すという話になっている。

ホンダは2021年4月、2030年に国内で販売するすべての四輪車を、EVを中心とした電動車に切り替えるという計画を発表していた。さらに、2040年には世界で販売するすべての車種をEVもしくは燃料電池車に変更。この達成に向け、投資を加速することになっていた。2022年にソニーとホンダの合弁が発表されたのも、EVへの積極策があってのものだった。

当時、EV推進の背景にあったのは、アメリカやヨーロッパでのEVシフトだ。内燃機関を中心とした自動車からEVへ移っていくことが必須になるなら、投資は進めていく必要があった。

問題は、その状況が変わってきたこと。ヨーロッパでのEV推進は明確に変わり、短時間でEVへ移行する必然性は薄れている。EVが必要である事情は変わらないが、そこには、中国系企業による低価格なEVが割って入ってきた。

ホンダは比較的高価なEVを、アメリカ市場を中心に販売する計画を持っていた。投資もアメリカ市場中心だった。しかし、その投資が終わる前に状況が変わり、中国メーカーの姿も目立っている。ホンダの巨額な投資について、収益性に大きな問題が出てきてしまったのだ。

最大で2兆5000億円の損失が出るという可能性が出てきたため、本格的な操業が始まる前に工場などへの投資が見直され、高価なアメリカ市場向けEVである「Honda 0」シリーズの開発も中止された。ソニー・ホンダの計画見直しも、この余波を受けたものである。

ホンダのEV開発がもっと速く進んでいて、すでに販売されていたなら、計画見直しの状況も変わったかもしれない。「投資中」だっただけに、ブレーキを踏んだ結果も大きなものになってしまった。

では、問題はホンダにだけあったのだろうか? 筆者はそう考えていない。ソニー側が抱えていた状況については次回考えていきたい。


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