乗り物
2016/9/2 7:00

正面のシルバーラインとLEDライトがざん新! 日比谷線の新たな“顔”へ東京メトロ13000系が公開!

秋葉原、銀座、六本木など東京の都心を巡り、北千住駅と中目黒駅を結ぶ東京メトロ・地下鉄日比谷線。東京オリンピックが開かれた1964(昭和39)年8月に全線開業しておよそ半世紀、2016年度末に新型13000系がデビューする。2020年の東京オリンピック開催のころには、この13000系が日比谷線の“顔”となっているはずだ。

 

常に新しい何かがあった日比谷線の歴代車両

新型13000系を紹介する前に、日比谷線の歴代車両を見ていこう。まずは日比谷線の開業当時の車両が3000系だ。当時としては珍しいセミステンレス車体が特徴で、ステンレス特有の歪みを目立たなくするため「コルゲート」と呼ばれる波板が使われた。前面のスタイルなど、そのころとしては非常にざん新なデザインの車両だった。

↑日比谷線の初代車両・3000系。現在も長野〜湯田中間を走る長野電鉄でその雄姿を見ることができる
↑日比谷線の初代車両・3000系。現在も長野〜湯田中間を走る長野電鉄でその雄姿を見ることができる

 

3000系の後を引き継ぎ2代目として誕生し、いまも活躍し続けているのが03系だ。登場は1988(昭和63)年のこと。日比谷線の伝統を引き継ぎ、シルバーの車体と帯、先頭上部の黒い配色が特徴となっている。当初は1両につき、3トビラ車だったが、その後は前後の先頭部2両のみ5つの乗降トビラが付くという編成も造られ、乗客の増加に対応した。

↑日比谷線03系電車。写真の車両は3トビラ車だが、5トビラ車も走っている
↑日比谷線03系電車。写真の車両は3トビラ車だが、5トビラ車も走っている

 

 

ホームドア導入のため車両仕様の共通化へ

乗降時間の短縮を目的として登場した5トビラ車だが、編成によってドアの位置が変わってしまう。さらに日比谷線には、東武鉄道スカイツリーラインの電車が乗り入れている。こちらの車両の長さも18メートル車と、20メートル車が混在している。こうした問題がホームドアの導入の妨げとなっていた。

 

そうした課題を取り除くために計画されたのが13000系だ。ホームドアの導入を図るために東武鉄道と協議した結果、今後は、両社で車両仕様の共通化を図ることになった。この共通化に加えて、多くのざん新な試みが13000系には取り入れられている。それでは、新しい車両の特徴を見ていこう。

↑日比谷線の2代目03系と並ぶ新車13000系。多くの新たな試みが取り入れられている。
↑日比谷線の2代目03系と並ぶ新車13000系。多くの新たな試みが取り入れられている

 

13000系は前面のデザインがざん新だ。前照灯にLEDを使用。これまでの電車の前照灯とは異なり、LED電球の集合体によって前面を照らす仕組みとなっている。また、左右の前照灯を結ぶようにシルバーの飾り板(オーナメント)が付けられた。下部の排障器(はいしょうき)とともに、シルバーを伝統色としてきた日比谷線らしさが演出されている。

 

2代目03系がそうだったように、正面の上部に黒を配色したデザイン。黒いスペースの比率が増えたことで、よりしまった“顔立ち”となった。加えて、行先案内板には駅名とともに、駅番号も表示されている。

 ↑前照灯にはLED照明を利用。シルバーの飾り板(オーナメント)が印象的なデザインだ
↑前照灯にはLED照明を利用。シルバーの飾り板(オーナメント)が印象的なデザインだ

 

これまでの03系の車体の長さは18メートル。8両編成で走った。新しい13000系の車体の長さは20メートル。7両編成に改められた。乗降トビラは4つ。20メートル4トビラ車は首都圏の通勤電車の標準型となっているタイプで、その形を踏襲したわけである。車体側面にも新車両らしい工夫が。車椅子スペースがある乗降トビラの上には、車体デザインと一体化した車椅子マークやベビーカーマークが入る。

 

乗り心地にも配慮している。東京メトロ銀座線の1000系にも取り入れられた、片軸操舵方式の台車を採用。13000系では狭軌鉄道(銀座線は標準軌の1435ミリ幅)として初めて、この台車を使うことでカーブ通過時の振動、騒音の低減、乗り心地の向上を図った。駆動システムには永久磁石同期モーター(PMSM)を使用、03系に比べて約25%の消費電力の削減が見込まれている。

↑13000系は狭軌鉄道では初の片軸操舵方式の台車を採用した。乗り心地が向上するという
↑13000系は狭軌鉄道では初の片軸操舵方式の台車を採用した。乗り心地が向上するという

 

 

ほど良い明るさの照明とクリアに聞こえる車内放送

13000系は車内設備にもこだわりが感じられる。まずは照明。客室の天井とガラス荷棚に関節照明を組み込んでいる。まぶしくなく、といって暗くならないよう適度な明るさを確保している。このガラス荷棚はよく見ると、模様が刻まれており、これは江戸の伝統工芸品である江戸切子細工を意識したデザイン。こうした細かいところに東京の地下鉄らしさを演出している。また、車内放送設備にはANVC高音質ステレオ放送システムを導入。この放送システムにより、案内の音声がよりクリアに聞こえるようになった。

↑13000系の車内。座席はロングシート。照明は眩し過ぎず、ほど良い明るさを目指している
↑13000系の車内。座席はロングシート。照明は眩し過ぎず、ほど良い明るさを目指している

 

↑ガラスの荷棚には関節照明が組み込まれる。ガラスには江戸切子ふうの模様が入っている
↑ガラスの荷棚には関節照明が組み込まれる。ガラスには江戸切子ふうの模様が入っている

 

 

ドア上に17インチの3画面ディスプレイを配置

ドア上には3画面ディスプレイが配置された。大きさはそれぞれ17インチで見やすい。こちらでは乗り換え案内や、駅設備の案内などを4言語(日・英・中・韓)で情報提供を行う。海外から訪れる人が増え、さらに4年後には東京オリンピックが開かれる。そうした国際化が進むなか、都心を走る電車にはこうした情報提供も欠かせない要素になってきた。

↑乗降トビラの上には17インチ3画面の車内ディスプレイが設置され、より見やすく便利になった
↑乗降トビラの上には17インチ3画面の車内ディスプレイが設置され、より見やすく便利になった

 

 

2020年度までに44編成が投入される予定

この13000系、いつから乗ることができるのだろうか。現在、東京メトロからは平成28年度中とのみしか発表していないが、すでに2編成目も製造済。近々、路線を走り出すことになるだろう。

 

さらに2020年度までには全44編成が投入される。東京オリンピックの年までには、日比谷線の東京メトロの電車はすべてが13000系となる。日比谷線の新しい“顔”の今後の活躍に期待したい。