本・書籍
自己啓発
2022/12/27 19:30

少しでもやりたいと思うことはとりあえずやってみる–まずはそこから始めよう!『夢の叶え方を知っていますか?』

早いもので、この原稿が2022年度最後のアップとなる。今回は「夢」をテーマに、ロマンティックでポジティブな内容になるよう進めたいと思う。

 

絵馬はアファメーションなのかもしれない

筆者は毎日近くの神社にお参りに行っている。たくさん飾られている絵馬の中、合格祈願に混じって「夢が叶いますように」的な言葉がしたためられたものも多い。昔から思っていたのだが、絵馬は一種のアファメーション(肯定的な自己宣言)に違いない。夢や願望を明らかな形で見える化して既成事実としてとらえ、自分の中で培っていくのだ。

 

小学校の卒業文集に記される作文もアファメーションの一種といえるだろう。もちろん、すべての人が書いた通りに夢を実現させるわけではないが、驚くべき精度でものごとを実現させていく人がいるのも事実だ。「有名人 小学校 卒業文集」というキーワードで検索をかけると、単に面白いものから実現しすぎていてちょっと怖くなるようなものまで、さまざまな作文がヒットする。

 

夢のきっかけ

「夢は思い描くものではなく、実現させるもの」—そんな言葉もある。思い描くだけではなく、夢を実現させるにはどうしたらいいのか。そのプロセスのヒントというより、かなり実践的な方法論について詳しく触れられた『夢の叶え方を知っていますか?』(森博嗣・著/朝日新聞出版・刊)という本を紹介したい。作家であり工学博士である森氏の著書はこれまでにも何冊か取り上げさせていただいているが、この本はホリデーシーズン真っ只中の今の時期にまさにふさわしい一冊だと思う。

 

自分の庭に小さな鉄道を建設することが小学生の頃から夢だった。何故その夢を持ったのかは今でもはっきりと覚えている。鉄道模型雑誌を初めて書店で見つけ、その中にある白黒の写真が目に飛び込んできたときだった。アメリカの公園のような場所で、大人たちがミニチュアの機関車に乗って遊んでいるシーンだった。

『夢の叶え方を知っていますか?』より引用

 

森氏にとって相当インパクトがある写真だったのだろう。子どものころに抱いた夢を実現させるために国立大学の講師になり、人気作家になり、結果的には家を建てて広い庭にミニチュアの鉄道を敷設するきっかけになってしまったのだから。

 

夢を実現させるための手段

「まえがき」に記されているとても印象的な一文を紹介しておく。

 

少なくとも確かなことは、僕は作家になる夢を持っていたわけではない、という点だ。夢にも思わなかった。だから、作家になれたことを少しも嬉しく思っていない。これは、僕の夢を実現させるための単なる一手段だったのである。

『夢の叶え方を知っていますか?』より引用

 

作家になることを夢に思い描く人も少なくないと思う。しかし森氏の場合、そういう立場はあくまで子どものころの夢を実現させるためのプロセスにすぎず、心から嬉しさを実感したのは庭に敷設した線路の上で機関車にまたがり、それが動き出した瞬間だった。そこに至るまでに何をしたのか。章立てを見てみよう。

 

第1章 憧れの人生 憧れの生活

第2章 抽象的な夢と具体的な夢

第3章 夢の価値

第4章 夢を実現させるためには

第5章 周囲を気にしない夢

第6章 夢の楽しさを教えよう

第7章 作る夢のすすめ

 

「夢実現の方法論」「もう遅いという諦め」「夢を実現するプログラム」「出来なのではなく、時間がかかるだけ」「自分の評価眼を持つ」「なにもない毎日に耐えられる?」「楽しければ優しくなれる」といった現実的で実践的なキーワードが目立つ。

 

力まない文章で淡々と語られる夢の実現までのロードマップは、抵抗なく入ってくる。筆者が一番強く感じたのは、少しでもやりたいと思うことはとりあえずやってみるという心構えだ。夢の実現は、こういう瞬間の積み重ねで早まる気がする。いや、むしろそれが必須条件なのだろう。

  

何かを感じるものは、何でもやってみる

以前は当たり前だったことが当たり前ではなくなったこの3年間、筆者は少しでもやりたいと感じたことはすべてとりあえずやってみることをテーマにして生きてきた。ブログも音声配信もライブ配信も、YouTubeもみんなそうだ。すべてが続いているわけではないけれども、先に続いていく確かな感覚もある。残念ながら、今の筆者には子どものころのような具体的な夢はない。強いていうなら、「いろいろな理由を付けてやりたいことをしない姿勢を完全になくすこと」だろうか。

 

ネットで見つけたこちらの記事によれば、将来なりたい職業や夢がある子どもがコロナ前よりも3割増え、全体の8割が将来に関する具体的なビジョンなり夢なりを持っているようだ。ほっこりするし、ちょっとうらやましくもある。


今年も1年間読んでいただき、ありがとうございました。2023年がみなさまにとって夢に満ちた素晴らしい年になりますように。

 

【書籍紹介】

夢の叶え方を知っていますか?

著者:森博嗣
発行:朝日新聞出版

何故、あなたの夢は実現しないのか?「自分の庭に小さな鉄道を建設することが小学生の頃から夢だった」。あなたの夢は「見たい夢」か「見せたい夢」か? もし後者であるなら、願いは永遠に実現しない。小説家として億単位を稼ぎ、あこがれの隠遁生活で日々夢に邁進する。それを可能にした画期的方法論。

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