長期トレンドとなっている缶チューハイ。特に高アルコール系は「コスパ良く酔える」として注目を集めていますが、個人的に「本当にコスパが高いのはこっちでは?」と思うカテゴリーが、高果汁チューハイです。なぜなら、果実感と本格感が抜群だからです。
そんな高果汁チューハイの元祖がキリンの「本搾り」。筆者のなかでは、新商品発表会などがあまりないイメージのブランドなのですが、なんとウェブセミナーを開催するという情報が。これは滅多にないチャンス! ということで参加し、魅力やおいしい飲み方、ペアリングなどを教えてもらいました。
ここに来て売れに売れているワケ
今回なぜセミナーを開催したのか、その理由のひとつが、最近の売り上げが絶好調だからです。8年連続の2ケタ増で売れてきたなか、今年の4~5月のリニューアル効果で2カ月連続過去最高の売り上げを記録。そして発売以来、累計20億本(250ml換算)を突破したとか。
その期間はステイホームで、おそらく「本搾り」以外の缶チューハイも好調だったはず。ただし筆者はこう仮説しています。居酒屋の生搾りサワーを好きな人が、馴染みの店の味を缶チューハイに求めて「本搾り」を手に取る機会が増え、売り上げ増に影響したのでは?と。
そう。飲んだことがある人ならわかると思いますが、「本搾り」は普通の缶チューハイに比べて生搾りサワーの再現性が圧倒的に高いのです。なぜならズバリ「居酒屋の生搾りサワーが家でも飲めたら幸せだろうなぁ」という夢を実現するべく開発されたから。
誕生には多くの苦難があったそうです。業界初となる「香料・酸味料・糖類無添加」とおいしさの両立、理想の味を再現するため居酒屋を何十軒も巡るフィールドワーク、世界中の果実畑を開拓し数年かけてでも探し抜くという素材への飽くなき探求。“異常”を自負するほどのモノづくり精神には、強いブランド愛が込められています。そして、その熱は飲み手にも。「缶チューハイはこれじゃないとだめ!」という熱狂的なファンが他ブランドより多いことも「本搾り」の特徴だそうです。
また「本搾り」のデビューは2003年ですが、もともとワインメーカーであるメルシャンが開発したブランドであることもポイント。“果汁からつくる”という、ワイン造りと似たプロセスを採用するなど、果実酒づくりのプロの知見が生かされ、いまに至るのです。