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2023/6/28 19:30

ゴールデン進出で注目!『ヤギと大悟』 どこまでも”ヤギが主役”のゆるすぎる旅番組の裏側とは?企画・総合演出&プロデューサーインタビュー

今、SNSを中心に話題を呼んでいる、テレビ東京のロケバラエティ『ヤギと大悟』。千鳥・大悟がヤギのタンポポ(通称ポポ)と一緒に田舎町を歩き、雑草を食べて除草しながら、街の人と交流していく旅番組だ。注目すべきは、番組の主役が”ヤギ”ということ。ヤギ中心に旅が進み、ヤギがお腹いっぱいになったらロケ終了という、前代未聞のゆるさを特徴だ。

 

4月からは毎週金曜のゴールデンレギュラーに昇格。しかし”ヤギファースト”の姿勢は一切変えずに放送している。視聴者から「癒し効果がある!」とまで言われる当番組の不思議な魅力を、企画・総合演出の冨田大介さんとプロデューサーの持山勇太さんに語ってもらった。

 

(構成・撮影:丸山剛史/執筆:kitsune)

 

プロデューサーの持山勇太さん(左)、企画・総合演出の冨田大介さん(右)

 

あくまで”ヤギファースト”の制作で。大悟も「すごい番組やな」

——『ヤギと大悟』は”ヤギが主役”の番組として、千鳥・大悟さんがヤギのポポと一緒にさまざまな地方の街を旅していきます。他にはないコンセプトが話題になっていましたが、初めはどのように企画が立ち上がったのでしょうか?

 

冨田 きっかけは、僕の息子の学校で飼育されているヤギです。息子の飼育当番の日があり、興味本位で付いて行ってみたんですよ。そしたら、ヤギに子どもたちがワーッと集まっていて、まるでアイドルのような人気ぶりでした。それを見ていたら”ヤギ”という存在に惹かれて、いいなと思い始めたんです。

 

——ヤギきっかけで、番組のアイディアが生まれたわけですね。

 

冨田 はい。それに、ヤギって物凄い量の雑草を食べるんですよ。最近では雑草に困っている人のためにヤギに除草をしてもらう「ヤギレンタル」のサービスまであると分かって。

 

持山 そのヤギレンタルも、なかなかの人気なんだそうです。

 

——それは知らなかったです。面白いサービスですね。

 

冨田 そこで、時勢的にも今やるべき企画だと思い、企画書を書いたら何故か通ってしまって(笑)。

 

持山 僕も企画が通ってから知って「担当してほしい」と指示をもらったんですが「なんだこれは…!」と。

 

——そうだったんですね。そして番組では、ヤギの付添人として、大悟さんがお供をしている訳ですが、キャスティングされた理由はありますか?

 

冨田 大悟さんで番組をやりたいという気持ちはずっとあったのですが、ヤギがもちろん喋れないので、一方的にヤギに話しかけている形でもトークが聞けちゃう人という理由で、オファーしました。ヤギを相手にしても、一人喋りで面白く進めてくれそうだなと。また、絶対にヤギとロケしないだろうという一番”違和感”がある組み合わせを考えた時に、大悟さんが良いなと思って。

 

——意外すぎる組み合わせですよね。オファーした際の大悟さんの反応はいかがでしたか?

 

冨田 あとで聞いた話なんですが、マネージャーさんが大悟さんにこの企画を提案した時、何個かオファーが来ていた企画の中に、一応挟んでみようって感じで大悟さんに渡したらしいんですが、まさかのOKしてくれたようで。

 

持山 他の企画提案の箸休め的な感じで本命じゃなかったみたいです(笑)。

 

冨田 ですが、実際に大悟さんに直接プレゼンしに行くタイミングがあって、楽屋に伺った時の第一声が「すごい番組やな」って。見たことない尖った企画という部分で、大悟さんが面白がってくれたみたいです。

 

——事実、他にない番組だと思います。

 

冨田 タイトルも『ヤギと大悟』でヤギを先に持ってきていて、番組のコンセプトとしても〝ヤギが主役〟なので、大悟さんメインの番組ではないんですけど……と説明したら、逆に是非やりましょう、と。「”ヤギが主役”で番組が回っていく感じがいいよね」と同意してくださったんです。

 

持山 そこの意志疎通ができていたので、ロケに行くまでもやりやすかったですね。そのコンセプト自体を大悟さんが楽しんでくれています。

 

ロケのスケジュールを把握している? タレント気質なポポ

——第1回の放送は2021年の年末に、特番として放送されました。ポポとの出会いや初めてのロケなど、当時の様子について教えてください。

 

冨田 まず僕は、最初のロケの前に、いろんな牧場やヤギレンタルのブリーダーさんのところを周って、旅をする主役のヤギを探しました。それで、たまたま夜中に静岡のヤギ牧場まで行く機会があって、そこでポポと出会ったんです。穏やかな感じで、どこか憎めない表情をしていて、この子がいいなと感じました。

 

——やっぱりポポは他のヤギとは違った?

 

冨田 そうですね。いろんな子を見た中で、ポポはちょっと動きが面白くて(笑)。タレントとしても優秀なんですよね。

 

——たしかに、番組では通称「セクシーポーズ」(※前足を折りたたんで座る格好)をするなど、芸達者な一面も……。運命の出会いでしたね。

 

持山 僕は最初のロケで初めて会ったんですけど「アレ、想像してたより小さいな」と思ったんです。ですが、今では1.5倍以上に成長して、めちゃくちゃ大きくなって……!

 

冨田 先日3歳を迎えて、番組スタートから1年半経っていますから。初回から見てくれている方は、ポポの成長を感じてもらえていると思いますね。

 

——初めてのロケで印象深かったことは何かありますか?

 

冨田 初回は、新鮮さを味わってもらうため、大悟さんとポポをカメラを回す直前まで会わせないようにしていました。それで、僕らのほうも事前のテスト撮影などをしていなかったのですが、思ったよりポポの食欲がすごくて(笑)。

 

持山 撮影前からずっと食べていたんですが、僕たちもポポがいつまで雑草を食べるのか分からなくて。基本的にポポが満腹になればロケは終了なので、もしかしたら午前中で終わってしまう可能性もあるんじゃないかと思いつつヒヤヒヤしてました。

 

冨田 大体平均して5キロくらい食べるというのは聞いていたんですけどね。そしたら、ずっと食べ続けて、ついに夕方分かりやすく食べなくなって、完全に寝たんです(笑)。

 

持山 奇跡的な終わり方をしてくれました。僕らも様子を見ながらやっていましたが、こんなにちょうど良く終わるとは……!

 

——毎回ちょうど丸一日くらいで終わってて、すごいですよね。

 

冨田 大悟さんも「ポポはロケスケ把握してるんちゃう?」って言ってましたね。

 

——(笑)。やっぱりポポはタレントの素質がありそうです。

 

まさかのゴールデンに進出に驚き!「ポポがやりたいならやるわ」(大悟)

——第1回の放送後、SNSを中心に話題になり、その後、翌月にはギャラクシー賞も受賞されていました。視聴者からは、どのような反響がありましたか?

 

冨田 放送後に話題になったので、見逃し配信で視聴してくれる方が多かったですね。実はヤギには、癒し効果やセラピー効果があると言われているのですが、実際に「癒された」という声がけっこう届いて。あと「家族で見れた」というコメントも多くて、「番組きっかけで数年ぶりに息子と会話しました」という投稿もありました。

 

——それは素敵ですね!

 

持山 うれしいですよね。「#追いヤギ」というハッシュタグも誰かが作ってくれて、一度見たけど、再視聴してくれる方もいらしたみたいです。

 

冨田 ありがたいです。また、テーマソングに、ウルフルズさんの『笑えれば』を使わせてもらっているのですが、トータス松本さんにも番組の話が届いたようで、ラジオで「めちゃくちゃ面白かった!」と言ってもらえました。

 

持山 リスナーの方が伝えてくれたようです。拡散して頂いて感謝です。

 

——ちょっとした”ヤギブーム”が巻き起こった感じですね。そして、ついにこの4月からはレギュラー番組に昇格。しかも毎週金曜日のゴールデンタイムに放送されています。

 

持山 正直、ゴールデンのレギュラーになるなんて1ミリも思ってませんでした(笑)。どうしようかと思いましたが、本当にやるんだったら、このまま中身は変えずに行きますよ、と上には伝えました。

 

——なるほど。レギュラー昇格が決まってからの大悟さんの反応はいかがでしたか?

 

冨田 大悟さんは初回放送のころから「こういう尖った企画がレギュラーになったら面白いやろなあ」と言ってくれてたんです。そして実際にレギュラー化を伝えたら、ポポが主役だから「ポポがやりたいって言うんだったらやるわ」って(笑)。

 

——そこもやっぱりヤギファーストなんですね。

 

持山 「レギュラーやからって気合い入れへんぞ。お前らスタッフもやる気出したら失敗するかんな~」とも言っていたので、今後も今まで通りゆるくやっていく予定です。

 

地元の人とのゆるい交流も魅力。大悟よりも……「ヤギがいる!」

——ヤギが主役の番組ではありますが、他では見れない大悟さんのトークやロケの進行、街の人との交流シーンも魅力かと思います。

 

冨田 制作的な部分ではありますが、この番組は、1日ロケをしてオンエアで漏れる部分がないんですよ。ちゃんと1日の流れが追えるくらい全部使えるカットになっていて、そこが大悟さんの凄さかと思います。企画の時に想像していたよりも、無駄がない撮影で驚いています。

 

——すごいですね。街の方も皆さん明るい方ばかりですし、いつも会話が弾んでいますよね。

 

冨田 大悟さんも「当たりがいいわ~」ってよく言っていますよ(笑)。ただ、それには理由があって、ヤギがいるからみんな話しやすいし、柔らかくなるんじゃないかと仰っていましたね。それこそ関西でたくさんロケをやってきた大悟さんだからこそ得ている感覚だと思いますが、この会話のやりやすさは「ヤギがおるからかな」って。

 

持山 現地の方に声をかけると、大悟さんよりも先に「ヤギがいる!」ってなることも多くて。特に高齢者の方やお子さんだと、大悟さんを知らない方もいますから。だけど、ヤギを知らない人はいないというか。

 

——たしかに! それはそうですね。

 

冨田 大悟さん自身も気負わずやってくれているのが良いのかと思います。目的はポポが雑草を食べて除草することなので、現地の人から何か聞き出さなきゃいけない訳でもないので。

 

持山 人柄が出ていますよね。フラットで飾らない雰囲気で、地元の人も話していて心を開いてくれる感じがあります。

 

——それは見ていて思います。まるでご近所さんのように「コーヒーある?」とか訪問したお家の方にお願いしているのも、大悟さんにしかできないというか。

 

冨田 お米が特産の千葉県・長柄町では「ご飯どきやもんなあ。お米が有名なんだって?」と言って、地元の人が察してご馳走になってましたよ。

 

持山 良い意味で芸能人らしくない感じですよね。本来であれば、こういった旅番組に出てくれるランクの芸人さんじゃないはずなんですが……既にスタッフの対応もだんだん緩い感じになってしまっていて(笑)。それはやっぱり、僕たちの共通認識として〝主役の付き添い役〟だと思っている節がある。

 

——あくまでポポのアシスタントという立場ですね。

 

持山 はい。また、ロケの前日は大好きなお酒を飲まないようにしてくれているみたいなんです。朝からヤギを引いて、一人で喋るので、シラフでちゃんとやらないといけないからと。気にかけて頂いてますね。

 

冨田 そういったいろんな意味で、ご自身の数あるレギュラー番組の中でも、1個違う感覚で臨んでくれているのかなと思います。

 

イレギュラーすぎるロケで混乱! 超豪華ゲストたちに「ウンチ片づけてや(笑)」

——『ヤギと大悟』では、毎回かなりビッグなゲストが登場することでも話題になっていますよね。

 

冨田 初回の放送から、三宅健さんが登場してくださいました。大悟さんが「健クン、ヤギより自由やな」と仰っていましたが、この番組に合いすぎるくらい雰囲気がピッタリで、のびのびとやって頂けました。

 

持山 まさかあの衣装(モンゴル衣装のデール)を着てくれるとは思いませんでしたね。それにダメ元で頼んでみたら軽トラまで運転してくださって……。後のゲストに続くスタイルを確立してくれました。

 

——しかも、いつのまにか、ゲストがポポのウンチを片づける流れもできていましたよね(笑)。あれは他では絶対に見れないシーンかと。

 

冨田 最初、ゲストがやるという決まりはなかったんですよ。ウンチやオシッコの片づけはしっかりやりましょう、と大悟さんには言っていて、普通にやってくれていました。そしたら初回の放送で、急に「健クン、やってみてや」と声を掛けて。そしたら三宅さんも本当にやってくれた……! 「全然臭くないですね。チョコボールみたい」とか言いながら(笑)

 

——貴重すぎる映像でした。

 

冨田 それからは当たり前のように、ゲストにも掃除をやってもらうって形で進め始めましたね。

 

——ちなみに、今までかなり豪華なゲストが呼ばれていますが、オファーの基準は?

 

冨田 やはりヤギを連れて歩いて違和感がある方ですね。それと、普段バラエティ番組で大悟さんと絡んでいないようなタレントさんを選んでいます。

 

——なるほど。皆さん、ヤギと街歩きをするのは初めてだと思いますし、戸惑いが見えて面白いですよね。

 

冨田 今や社長になられた井ノ原快彦さんも来てくださいましたが、ロケの交渉がちょっと下手で(笑)。普段でしたら「イノッチさんだ!」と街の方もすぐ分かると思うのですが〝ヤギが除草をすること〟を口頭で説明しなければならず、手間取っていましたね~。

 

持山 「ヤギとロケなんてしたことないからわかんないよ!」と言っていました。

 

——当然初めての経験ですもんね(笑)。また、ジャニーズでは知念侑李(Hey! Say! JUMP)さんも登場されていました。

 

冨田 知念さんは本当に”動物見知り”で、最初全くポポに触れられずビビッていましたが、いつのまにか距離が近くなって、最終的にはギュ~ッとハグできるようになっていました。自分でも考えられないくらいだと話してましたよ。

 

——そういったシーンが見れるのは、ファンの人もうれしいですよね。

 

冨田 そう思って頂けたらうれしいです。ちなみに、この番組はゲストに何かを求めているわけじゃないので。皆さん、来たからには仕事しなきゃって思うようなんですが、自然体で別に良くて。

 

持山 井ノ原さんが「え? もう終わり? 大丈夫?」と心配していたり、福士蒼汰さんは最後まで「どんな番組ですか?」と不思議がっていました。でも、ヤギに付き添う人がひとり増えるだけのことなんで、今後のゲストの方にも気負わず出演して頂きたいですね。

 

大悟の地元・北木島に凱旋も!? 新たなヤギとの出会いにも期待

——今後、番組でやってみたいことや行ってみたい街はありますか?

 

冨田 大悟さんは、島に行ってみたいと言っていました。大悟さんは岡山県の北木島出身なので、地元の島にも帰ってみたいなと。

 

——ヤギを連れて凱旋ですね。

 

冨田 あとは、他のヤギとポポを対面させてみたいです。どんな反応をするのか気になるので。もしくはポポ以外のヤギと大悟さんの組み合わせにチャレンジしてみたりとか。

 

持山 先日放送された回では、ポポと子ヤギが対面したんですけど、本当に癒される絵になっていて……大悟さんも興奮していましたよ。

 

冨田 普段だったら絶対見れないような表情をしていました(笑)。子ヤギにニヤニヤしながらも、ニヤニヤしすぎたらポポがヤキモチ焼いてしまうので。面白かったですね~。

 

——『ヤギと大悟』というテーマで、まだまだいろんな企画が期待できますね。では最後に、視聴者へのメッセージや今後の放送について、お話頂ければと思います。

 

冨田 僕は、ヤギの姿を堪能してもらって癒される番組にしたいと思って、ひとつの作品を作るような感覚で、制作に取り組んでいるんです。きっとこの番組を毎回見てくれているコアなファンの方々がいるような気がするので、これからも期待を裏切らないよう、”ヤギファースト”の姿勢を変えずに作っていきたいですね。

 

持山 そうですね。毎週基本的な部分は変わらないので、肩の力を抜いて見れる番組だと思います。何も考えず、リラックスして見て欲しいですね。

 

冨田 大悟さんも言ってましたよ。「情報なんて入れても、この番組じゃ上手く扱えんからやるな。コストコとか行きだしたら即終わりや」って。

 

——(笑)。 のんびり気兼ねすることなく見て欲しいということですね。

 

持山 6月30日は1時間枠拡大版もあるので楽しみにしていてください。なにわ男子の道枝駿佑さんと大河俳優の板垣李光人さん、そして子ヤギも登場して、癒されるスリーショットが見れます。

 

冨田 道枝さんと板垣さんがプライベートでも仲が良くて、その貴重なトークも聞けるので必見ですよ。そんなイケメンゲストが来てもポポはマイペースでしたので、そこも注目してあげてください。

 

——楽しみにしています!本日はありがとうございました。

 

 

【INFORMATION】

ヤギと大悟

【放送日時】
毎週金曜 よる7時25分~7時55分
(6月30(金)1時間枠拡大版 よる6時55分〜7時55分)

【放送局】
テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送、 TVer で配信(リアルタイムに視聴可能)

「テレ東系リアルタイム配信」 https://tver.jp/live/tx

【出演者】
主役:ヤギ(タンポポ 通称:ポポ)、相方:大悟(千鳥)

【公式HP】
https://www.tv-tokyo.co.jp/yagitodaigo/

【公式Twitter】
https://twitter.com/yagitodaigo

【公式Instagram】
https://www.instagram.com/yagitodaigo/

【公式ハッシュタグ】
#ヤギと大悟