Vol.166-1
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はグーグルが発売したスマートフォン「Pixel 11」の話題。同社が日本市場でPixelシリーズを重視する理由とは何か。
今月の注目アイテム
グーグル
Google Pixel 11
直販価格136,800円~

日本市場を重視した異例の直営店展開
Googleは今年8月、同社のスマホ「Pixel 11」シリーズを発売した。発売時期やラインナップは、例年と同様である。
今年は機能面よりも、どちらかというと“日本での人気から生まれた新たな展開”に注目が集まった年と言えるかもしれない。8月13日には、東京・渋谷に「Google Store 表参道」がオープン。初日は店舗前に行列ができ、通行が難しくなるほどの賑わいを見せていた。
Googleは、アメリカ国内では複数の直営店を展開している。だが、アメリカ国外で直営店、中でも大規模で独自性の高い「旗艦店」を常設するのは、Google Store 表参道が初だ。
Google Store 表参道は、Googleが販売しているハードウェア製品のショーケースであり、実際に手に取って確かめ、購入できる場所でもある。一方、販売している製品の中心は、新製品であるPixel 11シリーズとその関連デバイスである。実質の世界シェアを見ると、Pixelは1%程度しか確保できておらず、アップルとサムスンが覇を競い合う状況にある。
そんな中、日本でのPixelのシェアは10%を超えており、アップルに次ぐ2位、もしくはサムスンと2位を競うような状況にある。理由は、大手携帯電話事業者が積極的に販売したことと、ネット検索的には“Pixelのためのストア”と言える。
Googleがこの種のストアを展開する理由は主に2つと考えられる。
ひとつは、それだけ日本でのPixel人気が突出しており、Googleにとって日本が大切な地域である、ということだ。
シンプルな話として、スマホやAIで利用した人も多いであろう「Google」というブランドの信頼感がセットになって生まれた“安心して選べる”という点が大きいと言える。
AIの利便性は“体感”するのがベスト
その背景には、価格面での優位性もあったのだろう。特に「Pixel 10a」など、俗に言う低価格帯の「aシリーズ」の人気が高いことや、Google公式ストアによる下取りキャンペーンが有利なこと、携帯電話事業者による割引が目立つことなど、複数の要因がある。いずれにしても、それだけ“Googleが積極的に売りたいと考えてきた”からだ。
昨今の値上がりで“Pixelは安い”とは言いづらくなってきてはいる。それでもアメリカよりも割安な価格設定で、日本市場での競争力を確保したいという意図は見えてくる。
もうひとつの理由は“AIの価値をアピールしたいから”だ。Google Store 表参道では、自分の顔からアバターを作ったり、Pixelのズーム機能を体感したりと、“Pixelが備えるAI機能”を理解するための体験ブースが作り込まれている。そのような場所を用意するのは、AIがPixelにとって極めて重要な要素であるものの、その違いを理解してもらうことに難しさもあるためだ。“体験してもらう”には、実店舗を展開することが重要と考えたと言える。
今年のPixelはデザイン変更も少ないが、コアとなるAIの機能には多くの変更がある。そのアピールこそが重要だ。ではどう変わったのか? それがスマホ選びにどのように関わってくるかは、次回以降で解説する。
週刊GetNavi、バックナンバーはこちら