ゲーム&ホビー
2022/12/29 11:00

今更聞けない「2022年の名作ゲーム」丁寧解説。ストーリー概要やヒット背景も網羅。

「今年、そんなに人気になるようなゲームあったっけ……?」

 

そう思った方、今年はゲームの歴史の流れを塗り替えるほどの話題作が登場しているんですよ。今回はそんな2022年話題のゲームを、ホラーゲーム作家/ゲームライターとして活動する田中一広がピックアップ。皆さんに紹介します。いずれの作品も、話題になるだけの内容を備えた傑作です。ぜひこの記事でチェックして、年末年始にプレイしてみてください。

 

【その1】「ゲーム・オブ・スローンズ」原作者が関わった美麗なオープンワールドが話題! 「ELDEN RING(エルデンリング)」

↑ELDEN RING(PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam)

 

ファンタジー世界を舞台にしたアクションRPGです。舞台となるのは、女王マリカを戴く「狭間の地」。巨大な力を宿す指輪「エルデンリング」が砕かれたことで狭間の地に戦乱が勃発、大いなる意志からの祝福が失われてしまいます。プレイヤーは狭間の地に再び祝福を取り戻すため、砕かれた「エルデンリング」を集め始める……というのが大まかなストーリー。

 

本作を制作したフロムソフトウェアは、「DARK SOULS(ダークソウル)」シリーズなど「死にゲー」と呼ばれるほどの高難度ゲームが特徴。本作もこの延長線上の作品となっているので、ガチガチのゲーマー向けタイトルといっていいでしょう。にもかかわらず、本作は一般層にもヒットしました。

↑ELDEN RING(PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam)

 

ヒットのポイントは3つ。1つ目の要素は、この記事の画像を見てもお分かりいただける圧倒的な美麗なグラフィック。そして2つ目の要素は、この幻想的な世界観の構築に、海外の人気ファンタジードラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作「氷と炎の歌」の作者、ジョージ・R・R・マーティン氏がかかわっていること。

 

最後に3つ目の要素がオープンワールド。オープンワールドというのは、ゲーム内の世界が地続きで区切りなく作られていることを示す用語です。RPGをプレイしたことのある人ならお分かりの通り、ゲームでは「建物から街へ出た」だとか「街から街の外に出た」などの区切りのタイミングが存在。そのタイミングでデータの読み込みが発生します。しかしオープンワールドにはこの区切りがないように作られています。

↑ELDEN RING(PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam)

 

区切りがあると、どうしても「リアルに作られているけど、結局ゲームの世界だよな」と感じてしまうものですが、オープンワールドにはそれがありません。また区切りがないからこそ、どこへでもいけるように作られているというのも特徴でしょう。

 

この圧倒的美麗な幻想世界は、現実のように区切りがなく、どこへ行ってもいい……。確かに難しいかもれないけど、「ゲーム・オブ・スローンズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」といったファンタジー作品が好きな人なら本作に魅力を感じないはずがありません。

 

ただ、本作の美麗さを最大限味わえるPlayStation 5やXbox Series X|Sといったハードは半導体不足のためか、売り切れが続いている状況……。なんとももどかしい状況ですね。

 

【その2】超絶大ヒットでグッズが売り切れ! 「スプラトゥーン3」

↑スプラトゥーン3(Nintendo Switch)

 

イカたちがインクでナワバリを塗り合う、三人称視点シューティングゲーム(TPS)です。イカ……というのは文字通り、海に棲息する十本足のあのイカのこと。「スプラトゥーン」の世界には人間はおらず、代わりにイカとタコが文明を築いています。

 

とはいえ我々の知るイカやタコとはちょっと違い、人の姿にもイカ・タコ本来の姿にもなれるというファンタジックな設定。そして、インク……ようするに墨を使ってナワバリを争っているわけですね。ちなみにインクも口から噴き出すのではありません。水鉄砲や筆、バケツにバスタブといったブキを使ってインクを放ちます。

↑スプラトゥーン3(Nintendo Switch)

 

シューティングゲームなので、敵チームのイカやタコを攻撃で倒していくという要素を持っているのですが、それが勝利条件そのものではないというのも特徴。本作の目的はルール毎に違いがあるのですが、代表的なのは「自分のチームのインクで塗った面積の強い方が勝利」というもの。また敵を倒すにしても、インクを塗ることで倒すというかたちなので、シューティングゲームに多い暴力的な世界観ではなく、ポップな世界観に仕上がっています。

 

ただこのポップな世界観の一方、「なぜ人間文明は崩壊し、かわりにイカやタコが台頭したのか?」というSF的なストーリーも持っているのが特徴。ポップな世界観も、シリアスなSF的ストーリーもどちらも楽しめるわけです。さらにその上、カジュアルに対戦できるナワバリバトル、ガチに対戦するバンカラマッチ&Xマッチ、協力してコンピューターと戦うサーモンラン、一人用のヒーローモード……と、あらゆるプレイスタイルにも対応。

↑スプラトゥーン3(Nintendo Switch)

 

様々なかたちで楽しめる間口の広さゆえか、大ヒットを遂げました。大ヒットゲームというと何百万本も売れるのだろうというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、近年のゲーム業界では数十万本売れればヒット作……という状況になっていました。そんな中「スプラトゥーン3」は状況を覆すレベルの大ヒット。任天堂が11月に発表した情報によると国内で501万本、海外で289万本、合わせて790万本という超絶大ヒットをたたき出しています。

 

最初に書いた通り、最近のゲームはダウンロード版に対応しているため、売り切れで買えないということはありません。しかし本作をプレイするためのNintendo Switch本体は売り切れが続いている状況。それだけでなく、本作をプレイするためのコントローラーや、より楽しむためのフィギュア型周辺機器「amiibo(アミーボ)」なども軒並み売り切れ中。

 

さらには、Tシャツやぬいぐるみなどのグッズも売り切れが続いており、「ソフトは買えるけど、グッズは買えない」という新しいタイプの売り切れの代表例といえるタイトルです。

 

【その3】ネガティブな前評判を吹き飛ばすヒットで話題に! 「オーバーウォッチ2」

↑オーバーウォッチ2(Nintendo Switch/PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Battle.net)

 

特殊能力を持ったヒーローたちが戦う、協力&対戦型の一人称視点シューティングゲーム(FPS)です。2016年に発売された前作「オーバーウォッチ」は特殊能力を持つヒーローたちがチームで戦うシューティングゲームという形式を定着させた歴史的タイトルであり、eスポーツの種目としても人気を博しました。

 

しかし2022年の現在では、「エーペックスレジェンズ」や「VALORANT(ヴァロラント)」など、「オーバーウォッチ」に影響を受けながらも独自の要素を組み込むことでプレイヤーを獲得してきた強力なライバルタイトルが存在します。このため本作リリース前は、悲観的な評判が少なくありませんでした。しかし10月に本作がリリースされると、10日間で2500万人の累計ユーザー数を獲得。大きな話題を呼びました。

↑オーバーウォッチ2(Nintendo Switch/PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Battle.net)

 

本作は前作「オーバーウォッチ」の続編ではあるのですが、別タイトルというよりはアップグレードさせたような作品になっています。特にBattle.netで配信されたPC版においては、前作「オーバーウォッチ」をそのまま本作へアップデートするという配信スタイルがとられました。

 

ゲーム内容も基本的には前作を踏襲。複数のヒーローたちから自分が使うヒーローを選択、他のプレイヤーと協力し、特定エリアの確保や指定オブジェクトの運搬やその阻止といった目的達成を目指します。

↑オーバーウォッチ2(Nintendo Switch/PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Battle.net)

 

前作からの違いとしては、チームメンバーが6人から5人になりゲーム展開がスピードアップした点。また、新規ヒーローの追加なども行われています。ちなみに前作は有料のゲームでしたが今作は無料ゲームとしてリリース。これに伴い、より運営に力を入れることが告知されています。

 

また2023年には、1人でもプレイ可能なストーリーモードが有料コンテンツとして追加予定。現時点では他プレイヤーとの協力&対戦プレイしか遊べないのですが、ストーリーモード発売後は1人でじっくりゲームを楽しみたいという人もプレイできるようになるので、さらに人気を拡大しそうです。

 

【その4】3日間で1000万本突破という超・超絶大ヒット! 「ポケットモンスター スカーレット/バイオレット」

↑ポケットモンスター スカーレット/バイオレット(Nintendo Switch)

 

国民的ゲームといってもいいほどの認知度を誇るRPGの最新作。ゲーム本編は遊んだことがなくとも、「ポケモンGO」などのアプリやアニメ作品、グッズなどで触れたことがあるという人は少なくないでしょう。そんな人気シリーズの最新作が登場しました。しかもリメイクや番外編ではなく、ナンバリング最新作。

 

広大なマップを移動してストーリーを進めながらポケモンたちを集めていくという基本的な内容はこれまでと同様。ただ、本作では世界がオープンワールドになっています。オープンワールドというのは、「ELDEN RING(エルデンリング)」のところで触れた、地続きで区切りのない世界のことです。

↑ポケットモンスター スカーレット/バイオレット(Nintendo Switch)

 

広大で自然ゆたかなポケモンの舞台が区切りなく描かれ、そこここにポケモンたちが存在。これまで想像の中で膨らませてきたポケモンの世界を、実際に体験できるというわけですね。

 

もちろん、オープンワールドの特徴である自由度も実現。これまでのシリーズでは決められた順番に攻略していたポケモンジムですが、本作では自分の好きな順番で攻略可能。しかも最大4人でこの世界を体験するマルチプレイ要素も盛り込まれており、これまでのファンにはたまらない一作に仕上がっています。

↑ポケットモンスター スカーレット/バイオレット(Nintendo Switch)

 

「スプラトゥーン3」を紹介する際、国内外で790万本という超絶大ヒットと書きましたが、本作は発売後3日間の世界累計販売本数が1000万本突破という超・超絶大ヒットを記録。もちろん、ダウンロード版に対応しているため、ソフトが売り切れで買えないということはありません。

 

ただ、本作とコラボレーションしたNintendo Switch本体は売り切れ。そうでなくともNintendo Switch本体は売り切れが続いている状況。つまり本作もまた、「ソフトは買えるけど、グッズは買えない」というタイトルになっています。

 

【その5】長期運営で根強い人気を獲得! 「デッド・バイ・デイライト」「デッド・バイ・デイライト モバイル」

↑デッド・バイ・デイライト(Nintendo Switch/PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam/iOS/Android)

 

4人のサバイバーとキラー1人に分かれてプレイする、非対称対戦型アクションゲーム。サバイバー側は壊れた電源を修理して出口の扉を開け脱出すること、キラー側は2人以上のサバイバーを捕らえて処刑することが目的。

 

いわば、「鬼ごっこ」をホラー映画的な世界観で描いたゲーム。追われるサバイバー側はまさにホラー映画の主人公のような恐怖が、追い詰めるキラー側は獲物をハントするようなスリルが味わえます。

↑デッド・バイ・デイライト(Nintendo Switch/PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam/iOS/Android)

 

ちなみに「デッド・バイ・デイライト」という作品そのものは、2022年ではなく2016年に発売されました。ただ今年、「デッド・バイ・デイライト」をベースとしたスマートフォン版「デッド・バイ・デイライト モバイル」が配信開始。

 

いずれも基本的なルールに違いはないのですが、有料のPC版に対してモバイル版は無料でプレイ可能。これに伴い、新キャラクターやスキルといったゲーム内要素の獲得方法に違いがあります。

↑デッド・バイ・デイライト(Nintendo Switch/PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam/iOS/Android)

 

ホラーゲームということもあってか、本作の名前を聞いたことがないという人もいるかもしれません。ただ本作は2016年から継続的に運営されており、狩野英孝氏や名だたるYouTuberも実況配信するなど継続的な人気を獲得。この結果、「アベイル」で販売されるグッズが瞬時に売り切れるという状況になっています。

 

2023年の注目作は?

100万本を超える大ヒットを記録し、グッズが売り切れるという状況が発生した2022年。では来年2023年はどうなのかというと……現在手に入る情報からでも、相当盛り上がるだろうことが予測できます。

 

というのも来年は、対戦格闘ブームを引き起こした「ストリートファイター」シリーズ最新作、「ストリートファイター6」が発売予定。対戦格闘ゲームというと「難しい」という印象があるかもしれませんが、「ストリートファイター6」には1ボタンを押すだけで戦えるというモードが用意されるなど、様々な人が楽しめるよう工夫されているようです。また、アバターを作って仮想世界を楽しむといったモードが用意されるなど、これまでの対戦格闘ゲームの概念を覆すような作品に仕上がっている模様。

 

さらには、「ELDEN RING(エルデンリング)」を制作したフロムソフトウェアの最新作「ARMORED CORE VI(アーマードコア6)」、「オーバーウォッチ2」を制作したBlizzard Entertainmentの人気アクションRPG最新作「ディアブロ IV」、国民的RPGの一角「ファイナルファンタジー」シリーズの最新作「FINAL FANTASY XVI(ファイナルファンタジー16)」などなどが2023年発売予定。2023年は、今年を凌ぐ盛り上がりになりそうです。

 

そんな新年に備える意味でも、2022年の話題作はぜひこの年末年始にプレイしてください!

 

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