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2020/12/29 19:30

ノート、ヤリス、フィットーー「国内3強コンパクトカー」を厳しく採点! 一番よかったのは?

ヴィッツの名を改称したトヨタ・ヤリス、ホンダ・フィット、日産・ノートが揃ってフルモデルチェンジ。販売台数でトップを競う国内3強コンパクトカーがもたらす衝撃度を、プロが厳しい目でジャッジ。採点項目は、デザイン/走り/インテリアの上質さ/コスパ/安全性能の5項目で各20点満点で評価した。

 

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

軽自動車から高級輸入車まで、ユーザー視点をモットーに広く深く網羅。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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【その1】日産ならではの先進技術を満載した未来感あふれる新顔

日産

ノート e-POWER

202万9500円〜218万6800円

モーターは先代ノートに比べ、トルクを10%、出力を6%向上。よりパワフルで気持ちの良い発進加速と、中高速からの追い越しでの力強い加速感を実現する。エンジンの作動頻度低減や、車体の遮音性能向上により静粛性もアップ。

SPEC【X】●全長×全幅×全高:4045×1695×1520mm●車両重量:1220kg●パワーユニット:電気モーター+1198cc直列3気筒DOHC●最高出力:116[82]PS/2900〜10341rpm●最大トルク:28.6[10.5]kg-m/0〜2900rpm●WLTCモード燃費:28.4km/L ※[ ]内は発電用エンジンの数値

 

動力源はe-POWERのみ! プロパイロット搭載も魅力

8年ぶりにモデルチェンジしたばかりのノートは、ガラリと雰囲気が変わった。フラットながら豊かな面の抑揚を持つ斬新な外観とともに、ハイテク感満載のインテリアもかつてない雰囲気。個性的な柄のシートの質感も高い。

 

動力源は、日産お得意のエンジンで発電した電気により100%モーターで走るe-POWERのみという割り切りよう。既存の簡易版ではなく、前後に2基の強力なモーターを搭載して4輪を駆動する本格電動4WDが選べるのも新しい。

 

高速道路での自動制御を行う「プロパイロット」をコンパクトカーとして初搭載。しかもカーナビと連携して急なカーブの手前であらかじめ減速する等の、日産初の機能を備える点にも注目だ!

 

日産独自のVモーションが精悍な顔つきを作り出す

↑薄型のヘッドライトから繋がる日産独自のVモーションフロントグリルが印象的。新しくなったロゴマークを市販車として初採用する

 

直線的なラインが印象的な上質感あふれるインテリア

↑1本の直線がインパネの一体感を生む。ナビゲーションとメーターは1枚の板で繋がったようなつくりで、視線の移動を少なくしている

 

360度に渡り周囲を見回す全方位運転支援システム

↑カメラとレーダーによってクルマの周囲を見回して安全運転を支援する、全方位運転支援システムを搭載。プロパイロットも備える

 

岡本’s ジャッジ
ついにこのクラスにもプロパイロットを搭載! 先進的なインテリアの質感は上々だが、斬新なスタイリングは好みが分かれるかも。e-POWERのみとなり価格が上がったのは否めず。
【衝撃度21】
・デザイン 4
・走り(予想) 4
・インテリアの上質さ 4.5
・安全性能 5
・コスパ 3.5
※各項目5点満点、計25点満点で採点(以下同)

 

【その2】改名とTNGA化で心機一転!キャラの立つデザインも光る

トヨタ

ヤリス

139万5000円〜249万3000円

コンパクトカー向け新プラットフォーム「TNGA」を採用し、軽量かつ高剛性、低重心なボディを実現。軽快なハンドリングを実現するとともに、ハイブリッド車では最高36.0㎞/Lの燃費を誇る。

SPEC【HYBRID X・2WD】●全長×全幅×全高:3940×1695×1500mm●車両重量:1050kg●パワーユニット:1490cc直列3気筒+モーター●最高出力:91[80]PS/5500rpm●最大トルク:12.2[14.4]kg-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:36.0km/L  ※[ ]内はモーターの数値

 

どの動力でも驚異の低燃費! ハイブリッドは瞬発力抜群

他の2モデルよりもコンパクトで、内外装とも個性的なデザインが光る。車内は前席重視のつくりで、ファミリー層には不向き。その意味では他の2モデルと市場で競合するものの、ガチンコのライバルではなさそう。ワンタッチで好みのポジションに戻せる運転席シートはアイデア賞モノだ。

 

高いボディ剛性は走りの良さにも寄与している。3種類から選べるパワーソースの燃費はいずれも上々で、ハイブリッドは意外なほど瞬発力にも優れる。3モデルで唯一MTの設定があるのも特徴だ。

 

ボタンを押すだけで駐車操作をアシストする

↑駐車の際ステアリング・アクセル・ブレーキ操作を自動で制御。ドライバーの負担を大きく軽減してくれる

 

ムダをそぎ落として高い操縦安定性を実現

↑コンパクトカーとして初めてTNGAを採用。低重心化することで操縦安定性が高まり、運転もしやすい

 

岡本’s ジャッジ
燃費は驚異的。思い切った内外装デザインや、トヨタのハイブリッドの先入観を打破する瞬発力ある走りにも驚いた。半面、インテリアや走り味がややチープなところが気になる。
【衝撃度18】
・デザイン 4.5
・走り 3
・インテリアの上質さ 3
・安全性能 3.5
・コスパ 4

 

【その3】「心地良さ」をテーマに開発された万能モデル

ホンダ

フィット

155万7600円〜253万6600円

視界の広さや、座りやすさ、運転しやすさといったユーザビリティを追求。特に低床設計が生む使い心地の良さは特筆モノで、多彩なシートアレンジが可能。長いモノから背の高いモノまで余裕で積載できる。異なる5つのタイプから選べるのも◎。

SPEC【e:HEV BASIC・2WD】●全長×全幅×全高:3995×1695×1515mm●車両重量:1180kg●パワーユニット:1496cc直列3気筒+モーター●最高出力:98[109]PS/5600〜6400rpm●最大トルク:13.0[25.8]kg-m/4500〜5000rpm●WLTCモード燃費:29.4km/L ※[ ]内はモーターの数値

 

低いフロアが生む広い室内が優れた使い心地を実現する

独自のセンタータンクレイアウトによる低いフロアを実現。コンパクトながら、広々とした室内空間をより有効に使えるのが特徴だ。後席の居住性には特に優れ、シートを跳ね上げて背の高い荷物を積むこともできる。

 

e:HEVのエンジンは高速クルーズ時など以外はほぼ発電機として機能し、モーターが駆動力を担う仕組み。リニアで効率にも優れている。柴犬をイメージしたという親しみやすい外観が想起させる通り、触れるほどにジワジワと心地良さを実感させるモデルだ。

 

モーター+エンジンでパワフルな走行が可能

↑発電用と走行用2つのモーターとエンジンを搭載。加速時や高速クルーズ時などパワフルな走行が可能だ

 

使い勝手の良い荷室は十分な高さを確保する

↑前席下部に燃料タンクを置くことで実現した低床設計。荷室の高さも十分で、背の高いモノも積載できる

 

岡本’s ジャッジ
プラットフォームは他モデルの流用ながら、完成度の高い快適な走り味を楽しめる。極細ピラーにより視界が極めて良好で、車内は外見から想像するよりも広々としているのも強み。
【衝撃度21.5】
・デザイン 4
・走り 4.5
・インテリアの上質さ 4
・安全性能 4.5
・コスパ 4.5