食品ロスのための料理
イギリスでは、食品廃棄や食品ロスに対する国民の意識が年々高まっています。そのため、環境保護に協力的で道徳的に正しい運営を行っている企業は社会的に高く評価され、消費者から大きな支持を得る傾向があります。
その一つが「2020年までに廃棄量をゼロにする」と宣言したパブのグリーンキング。プラスチック製ストローの使用を停止したイギリス初のパブチェーンとして、脚光を浴びています。さらに、食品廃棄量削減アプリの「Too Good To Go」と連携し、2019年4月には、食材の残り物を利用して調理した肉料理を半額(約460円)で提供するというキャンぺーンを開始。年間で1000皿以上にも相当する廃棄量の削減にも成功しました。
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このほかにも、レストラン業界は廃棄物利用のための調理法研修会開催や肉のスペシャリストの新規雇用、自家栽培の開始といった活動を通して、食品廃棄・ロスに積極的に取り組んでいます。
この問題に対しては、ミシュランの星を獲得したレストランも真剣に捉えており、例えば、ロンドンの「ネイティブ・レストラン」では、すべて廃棄物で作った3品からなるコース料理を週末限定で約2700円という安値で提供しています。そこでは、鳩の心臓を材料に使ったスナックや鹿の首肉から作ったスープ、魚の残部から作ったタコス、残り物の野菜を使った天ぷらなどを味わうことが可能。同店の料理長は「どんな部位でも特徴的な旨味がある。それを上手に使うことがコツだ」と述べています。
廃棄用のパンで作ったビールで大成功
イギリスで最も多く廃棄されている食品が何かご存知でしょうか? その一つはパンです。パンの生産量の約44%が捨てられていると言われていますが、ここに着目したのが「Toast Ale」。廃棄用パンから生まれたビールです。
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オーナーのロブ・ウイルソン氏は、サンドイッチ工場やベーカリー、スーパーから余剰生産されたパンを集め、2016年にビール醸造を開始しました。この発想は、ヨーロッパの食品フェアで展示されていたビールを見て思いついたそうです。
彼の会社は、毎月100万ポンドの商売をするまでに成長し、現在では、アイルランドや南アフリカ、アメリカにも支社があります。Toast Aleは、約4000年前にメソポタミアの古都バビロンで使われていたといわれるレシピがもとになっており、ビール1本につき食パン1枚が含まれているのだそうです。