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2016/7/13 17:56

【発売直前レビュー】AKシリーズの新エントリー機「AK70」はすべてがワンランク上の性能

Astell&KernブランドのハイレゾポータブルプレーヤーAKシリーズの新エントリーモデル「AK70」が7月15日に発売されます。直販価格は6万9800円。今回は発売前のAK70をお借りできたので、音質や使い勝手のインプレッションをお届けします。スペックなどの詳細は以前の記事を参照にして下さい。

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まずは先代「AK Jr」との比較から

AKシリーズの入門機という役割は、これまでシリーズの末っ子である「AK Jr」が担っていましたが、AK70はその役割を受け継ぐ後継機となります。

 

重厚なメタルボディがピュアオーディオ的な威圧感を感じさせるAKシリーズのなかにあって、スリムでスマートな筐体のAK Jrは他のモデルと一線を画すイメージでしたが、AK70はAK240やAK380のようなアシンメトリーなデザインを受け継ぎ、ほかの機種ともなじみやすくなっています。

↑左がAK70、右がAK Jr
↑左がAK70、右がAK Jr

 

サイズは、AK Jrと比べて縦方向に小さくなった半面、横幅と厚み、質量は増しています(AK Jr:W52.9×H117×D8.9mm/98g、AK70:W60.3×H96.8×D13mm/132g)。AK Jrはシャツの胸ポケットにすんなり入る感じでしたが、AK70はややポケットが膨らみがちになってしまうのは残念なところ。

↑AK70はAK Jrより小さくなった分、厚みが増している
↑AK70はAK Jrより小さくなった分、厚みが増しています

 

進化ポイントは3つ

AK70が、AK Jrから大きく進化した点は3つあります。

 

1.DACがAK第二世代と同等に

まず、ポータブルオーディオの音質の要ともいえるDACが、AK100などAK第一世代機で採用されていたウォルフソン「WM8740」から、AK100IIなどと同じシーラス・ロジック「CS4398」に変更されています。ただし、AK240などの上位機のようにL/R独立のデュアルDAC構成ではなく、シングル構成となります。

 

2.バランス接続に対応

AKシリーズではおなじみの2.5mm4極プラグ対応のバランス接続に対応しました。バランス接続対応のイヤホンやヘッドホンなら、よりパワフルで分離感の優れたサウンドを楽しむことができます。

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↑上部にはステレオミニのヘッドホン端子に加え、バランス端子も搭載

 

3.シリーズ初のUSBオーディオ出力対応

AKシリーズでは初となるマイクロUSB端子からのUSBオーディオ出力に対応しました。これにより、ほかのヘッドホンアンプやUSB DACへのUSBデジタル出力が可能となり、より自分の好みに応じて音をカスタマイズできるようになります。この機能は、今後ほかのAKシリーズでもファームアップにより対応する予定。

↑USBオーディオ出力に対応しています
↑底面のマイクロUSB端子はUSBオーディオ出力に対応しています

 

また、OSがAndroidになったことで、操作性が大きく向上している点も見逃せません。AK Jrでは、メニュー操作や選曲時などにやや動作がモタつくことがありましたが、AK70はサクサク快適に使えるようになっています。AK Jrユーザーは、この操作性のためだけにでも買い替える価値はあると思います。

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↑ボリュームノブも竜頭のような形状に

 

気になる音質は?

さっそく、AK70とAK Jrの音質を聴き比べてみました。イヤホンはエレコムのハイレゾ対応イヤホン「Colors EHP-R/CC1000x」を使用しています。

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↑Colors EHP-R/CC1000x

 

まず聴いたのは、ハイレゾ音源のマスターピースである宇多田ヒカル「First Love」(96kHz/24bit)。AK Jrは中低域の押し出しが強く、エネルギッシュなサウンドを聴かせる反面、音の分離感が弱い印象。残響感がほどよくあり、宇多田ヒカルの“チリメンビブラート”をしっとりと表現しています。

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一方、AK70は音の分離感に優れ、個々の音をひとつひとつしっかり聴きわけられる分析的なサウンド。高域がきらびやかで、ハイレゾらしいクリアな音を楽しめます。低域も引き締まって、見通しのよいスッキリした印象です。

 

続いて、6月にハイレゾ版がリリースされたばかりの「いしだあゆみ ゴールデン☆ベスト」から「太陽は泣いている」(96kHz/24bit)をAK70で聴いてみます。

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曲のイントロ部分では、緊張感あるチェンバロの音が徐々にテンポアップしていき、ブラスとストリングスが加わると一転してスリリングな展開をみせますが、低音に楽器の音が隠れてしまわないので、その緻密なサウンドをしっかり楽しめます。

 

いしだあゆみの西田佐知子的なノンビブラート歌唱もクールに響き、真夏の浜辺のようなギラギラした演奏にもかかわらず、どことなく涼しさも感じるサウンドに。AK70は演奏やボーカルをしっかり描き分け、音楽の隅々まで精密に再現していると感じます。

 

ロックやヒップホップのような、分厚い中低音がキモとなるジャンルではAK Jrのほうがマッチしていると感じましたが、それ以外の音楽ではAK70の細部までしっかり再現する表現力に軍配が上がります。またハイレゾならではのクリアな音質を楽しめるのもAK70のほうでしょう。

 

音質以外の面でも大きく進化を見せているAK70は、AK Jrのユーザーだけでなく、2~3年前のハイレゾポータブル機を使っている人の買い替え候補としても満足のいく性能になっています。今週末より店頭に並びますので、ぜひお気に入りのイヤホンやヘッドホンを持参して試聴してみて下さい。

 

【URL】
アユート http://www.aiuto-jp.co.jp/
AK 70 http://www.iriver.jp/products/product_136.php