「推し」(応援する芸能人)がいる人は、推しのためならお金を惜しみません。でも無限に財産があるわけではなく、普段は真面目に仕事に励み、お金を用意している人がほとんど。そんな人たちが行う「推し貯金」という蓄財テクが、かなり楽しそうです!
【関連記事】
ATMでは8000円以上おろしてはいけない。――『読んだら必ず「もっと早く教えてくれよ」と叫ぶお金の増やし方』
一般的な生活費とかけ離れるオタ活
貯蓄指南系の本は、食費や衣料費などをひたすら「節約せよ」とこちらに説いてくるものがほとんど。推している俳優さんの舞台のスペシャルシートのために諭吉を迷わず投下するような私には違和感がありました。
『 一生楽しく浪費するためのお金の話』(劇団雌猫、篠田尚子・著/イースト・プレス・刊)は、まさに私のような「推し」がいる人のための本。登場する女性たちの年間支出費には普通は見られない「チケット代12万円」「グッズ代3万円」「推しへの貢ぎ物2万円」などという記述が並んでいて、心の友よ! と叫びたくなるほどでした。とはいえ、こんなにお金を使って老後はどうしようと、一抹の不安があるのも事実。本書はこのようなつぎ込む女性たちに優しく老後への準備をレクチャーしてくれるありがたい一冊です。
ときめいたら即500円の「尊い貯金」
本書に出てくる彼女らの「推し貯金」テクは、今すぐにマネしたくなるほど楽しそうなものばかり。たとえば「尊い貯金」は、テレビや雑誌などで推しに「好きすぎてムリ!」と感じたら、すみやかに500円を貯金箱に入れるというもの。ときめきが現金化する瞬間です。ときめきをありがとう!と心から感謝しながら支払うわけですから、喜んで差し出せそうです。
襟元に現金を差し込む「おひねり貯金」
爆笑したのは、推しのポスターの襟元に切り込みを入れ、そこにお札を挟んでいく「おひねり貯金」。大衆演劇ではお約束の光景ですが、普通のライブや観劇では推しの衣類に現金を差し込むということはできません。なのでおひねりを疑似献上して楽しみつつ、お札を貯めていくというすごいアイデアです!
推しにおめでとうを伝える「ご祝儀貯金」
そして感動的なのは、推しのお祝いごとにお金を出す「ご祝儀貯金」。結婚した、第一子が生まれたなどという時に友人知人親戚なら金品を渡しますよね。本には「身内ごっこ」と表現されていましたが、本当に一歩身近な存在になれたかのようなステキな妄想に浸れます。俳優なら主演が決まった時、スポーツ選手ならホームランを打った時にもご祝儀貯金ができそうですね。
ガマンするだけが人生ではない
こうして楽しく貯めたお金の多くは、推しのために使われるのでしょう。でもそれも潔いではありませんか。実際ハマってみるとわかるのですが、お金をかけたい存在がいるというのは、とても生き甲斐を感じる、幸福なことなのです。時には推しのライブツアーなどを追いかけるために国内外への遠征も発生するし、趣味もなくひたすらお金だけ貯めているよりは、ずっと濃くドラマティックな日々を生きていると言えるでしょう。
私は最近、好きな俳優さんがひとり増えました。いいなと思ったら、動いている姿をひとめ拝んでみたいのがファン心理。 この夏に彼が登場するイベントがあるので、チケットの抽選予約に参戦しました。けれど、数公演も応募したのに、当たったのは1公演だけ。自分の想像以上に応援するファンが多いという現実を突きつけられてしまいました。つまり世の中にはきっと私が考えるよりずっと「推し」がいる女性が多いのかもしれません。
老後にも推しがいる人生
私も私なりに老後の準備を進めています。それは好きな俳優さんが出ているDVDを集めておくこと。当たり前といえば当たり前のことですが、動画配信がされていないものもあるので、やはり買っておく必要があるのです。特典のメイキング映像など、全てを鑑賞しきれていないコンテンツもあるので、それは老後にでもじっくり観賞しようと思っています。
消費をひたすらガマンさせるだけの、無理なダイエットを強いるような貯蓄指南法では、人生の大切ななにかが失われかねません。この本に出てきた「決して予算を削ることができないこと」がある女性たちは、とても生き生きしていました。私も本書を参考にしながら、好みのイケメンタレントさんを拝み続けることを前提とした老後プランを考えていこうと思います。
【関連記事】
お金で苦労しない人生を送るコツを、お金のプロから学ぶ。――『いま君に伝えたいお金の話』
【書籍紹介】
一生楽しく浪費するためのお金の話
著者: 劇団雌猫、篠田尚子
発行:イースト・プレス
コンサート、遠征、グッズ購入、○連ガチャ、新作コスメ…愛ゆえの浪費は楽しくて、日々を生き抜く心の糧になる。でもこのままこんな生活を続けて、10年後、20年後もこれでいいんだろうか? このへんで一旦お金との付き合い方、人生計画についてもうちょっとリアルに考えた方がいいんじゃないか? なんて思い始めても、実際何から始めたらいい? 自身もオタクであるファイナンシャルプランナー・篠田尚子先生が“浪費女”専用の「お金との付き合い方」を徹底解説。楽しく浪費し続けるためのお金の話、はじまります!
楽天koboで詳しく見る
楽天ブックスで詳しく見る
kindleストアで詳しく見る