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2020/7/27 21:30

ズーム自慢の「5Gスマホ」を撮り比べ! Galaxy S20 Ultra、OPPO Find X2 Pro、HUAWEI P40 Proの高倍率ズームを試す

ここ数年、スマートフォンのカメラ機能が著しい進化を遂げています。上位モデルには超広角レンズの搭載が当たり前になり、最近では「高倍率ズーム」で競争が過熱しています。

 

この記事では最近登場したスマホの中から、高倍率ズームが売りの5Gスマホ3機種…「Galazy S20 Ultra 5G」「OPPO Find X2 Pro 5G」「HUAWEI P40 Pro 5G」で撮り比べて、その実力を確かめました。

 

スマホの望遠カメラでは、さまざまな技術を重ね合わせて薄型ボディの中で高倍率ズームを実現しています。なかでも50倍以上の高倍率ズームを実現したスマホのほとんどが採用しているのが、ペリスコープ(潜望鏡)構造と呼ばれるレンズ構造。カメラの世界では「屈曲光学系」と呼ばれる技術で、プリズム素材で光の通り道を制御して、長いレンズを厚みを持たせずに組み込むものです。

 

今回比較した3モデルはいずれもペリスコープ構造の望遠レンズを搭載しています。ほかにも、多眼カメラの映像を組み合わせたり、拡大したときの荒さをAIによる画像処理で補ったりと、各社さまざまな工夫をこらしていることにも注目です。

 

ズーム自慢の5Gスマホその1「Galaxy S20 Ultra 5G」

Galaxyシリーズの2020年フラッグシップモデル。S20シリーズが3モデルあるなかでも最も高性能な1台で、カメラでは最大倍率100倍の「スペースズーム」を売りにしています。

↑Galaxy S20 Ultra 5G。au Online Shopでの価格は16万5980円(税込)

 

↑カラーはコスミック ブラックの一色のみ

 

日本ではauが7月3日に店舗限定で販売を開始。海外発表後の評判をうけて急遽追加で日本向け投入が決まったという経緯があり、日本向けのカスタマイズは少なめ。おサイフケータイには非対応となっています。カメラなど基本機能で“最高”を求める人向けの1台です。

 

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ズーム自慢の5Gスマホその2「OPPO Find X2 Pro 5G」

ここ数年、SIMフリー市場で存在感を見せてきたOPPOのフラッグシップモデル。

↑OPPO Find X2 Pro 5G。au Online Shopでの価格は9万2040円(税込)

 

↑カラーはオレンジとブラックの2色

 

HDR対応の6.7インチ大画面に、チップセットも最新・最上位のSnapdragon 865を搭載するなどハイスペック。基本性能は他社のハイエンドモデルに引けを取りません。

 

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ズーム自慢の5Gスマホその3「HUAWEI P40 Pro 5G」

HUAWEI P40 Pro 5GはファーウェイPシリーズの2020年フラッグシップモデル。日本では5G対応のSIMフリースマホとして、6月に発売されています。カメラは最大50倍ズームに対応し、動画撮影性能においても強化されています。

↑HUAWEI P40 Pro 5G。メーカー想定価格は11万9680円(税込)

 

↑カラーはシルバーフロスト、ブラックの2色を用意

 

基本性能も申し分ありませんが、HUAWEI P40 Pro 5Gには大きな弱点があります。それは「Google Play」などGoogleのアプリ群が使えないこと。その代わり、独自のアプリストア「HUAWEI AppGallery」を搭載していますが、品揃えはまだまだ発展途上な状況です。

 

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Galaxy S20 Ultra 5Gのカメラ性能をチェック!

Galaxy S20 Ultra 5Gの背面カメラはクアッドカメラ(4眼)仕様。要となる広角レンズは1億800万画素(108MP)の高解像度センサーを搭載。加えて1200万画素の超広角120度レンズと4800万画素の望遠レンズ、さらに深度計測用カメラ(ToFセンサー)を搭載します。

↑ズーム性能では、光学0.5倍(焦点距離13mm)、1倍(26mm)、10倍(103mm)のステップズームに対応。さらにデジタルズーム併用で、最大100倍(2600mm相当)を実現する(焦点距離は35mm判換算)

 

なお、撮影情報を示すEXIF上では、10倍以上のズームは焦点距離103mmと記録されます。ここから、10倍以上は高解像度センサーから得られた写真をクロップ(切り出し)していることが推察されます。

↑Galaxy S20 Ultra 5GのカメラUI

 

高倍率ズームを使う上で、使い勝手がもっとも良かったのが本機でした。ズーム時は倍率を変えられるメジャーが表示されるほか、0.5倍、1倍、2倍、4倍、10倍、30倍、100倍と切りの良い倍率に一発で切り替えられるボタンが表示されます。さらに20倍以上に拡大するとスコープ表示が追加され、視野の中でどこを拡大しているのかがわかりやすく示されます。

 

焦点距離2600mmというと、もはや裸眼では認識できない世界を写し取れるほどのズーム性能。ただし、10倍以上は画質の低下がはげしく、100倍ともなると抽象画のようなぼんやりとした画になってしまいます。実用性を考えると、SNSでシェアするような用途でも30倍ズームくらいが限界に思えます。

 

【Galaxy S20 Ultra 5Gのズーム作例】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。

●GetNavi web本サイトでフォトギャラリーをみる

 

動画はフルHD画質で最大20倍ズームに対応。ズーム時には写している方向の音だけを拾う集音機能が働くため、ある程度の倍率なら音も自然な動画が撮影できます。またGalaxy S20 Ultraは2020年前半のスマホとしては珍しく、8K動画撮影もサポートしているのがポイント。8K撮影時は最大6倍のズームが可能です。

 

↑Galaxy S20 Ultraの動画ズーム性能を試す

 

↑Galaxy S20 Ultra 5Gですずめを撮影

 

OPPO Find X2 Pro 5Gのカメラ性能をチェック!

背面カメラのトリプルカメラには、中心となる広角レンズは4800万画素と超広角に4800万画素のセンサーを搭載。この2つのレンズのセンサーはソニー製です。ペリスコープレンズの望遠は1300万画素となっています。

↑OPPOは各レンズの焦点距離を公開していないが、超広角は35mm判換算で16mm相当、広角レンズ(1倍)は約25mm、望遠レンズは約123mmで光学5倍相当。ただし実際に望遠レンズに切り替わるのは、ズーム倍率を10倍以上に切り替えた時。 望遠レンズは10倍(250mm相当)から最大倍率の60倍(1500mm相当)の高倍率領域を受け持っている

 

↑OPPO Find X2 Pro 5GのカメラUI

 

望遠レンズは焦点距離が長めに設定されているため、近くにあるものを大きくズームして撮ろうとすると焦点が合いません。高倍率ズームは風景などで使うものと割り切るべきでしょう。

 

ズーム時には広角、1倍、2倍、5倍、10倍のショートカットボタンが表示されます。ボタン部分を横にスライドするとダイヤルのような表示に切り替わり、高倍率までスムーズに切り替えて撮影できます。ズーム時のスコープ表示はないため、高倍率ズームの検証時はどこに狙いを定めているもの見失うこともありました。

 

【OPPO Find X2 Pro 5Gのズーム作例】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。

●GetNavi web本サイトでフォトギャラリーをみる

 

動画は最大30倍ズーム対応と、今回試した3モデルの中でももっとも高倍率です。動画撮影時もダイヤル型の倍率切り替え表示によってスムーズなズーム操作が可能です。

 

↑OPPO Find X2 Pro 5Gの動画ズーム性能を試す

 


↑OPPO Find X2 Pro 5Gですずめを撮影

 

HUAWEI P40 Pro 5Gのカメラ性能をチェック!

HUAWEI P40 Pro 5Gもクアッドカメラを搭載。広角メイン、超広角、望遠に深度カメラ(ToFセンサー)という構成はGalaxy S20 Ultra 5Gと同じですが、HUAWEI P40 Pro 5Gでは超広角レンズ側のセンサーもスマホとしては大型・高解像度になっています。

↑背面カメラはメインの広角レンズが5000万画素で27mm相当、超広角レンズが18mm、5倍望遠レンズが1200万画素で125mm相当

 

撮影時の表示では27mmを「1倍」として扱っており、「5倍」は135mmに相当。最大ズームは50倍で1350mm相当となります。広角から望遠レンズへの切り替えは8.5倍(約230mm)近辺で実行されます。

 

P40 Proの超広角カメラは“シネマ級の動画性能”を謳っており、スマホとしては大型かつ4000万画素と高解像度なセンサーを搭載しています。高解像度センサーに対応する超広角レンズを薄く設計するのは困難なため、他社のハイエンドスマホと比べると超広角の画角は狭くなっています。

↑HUAWEI P40 Pro 5GのカメラUI

 

ズーム時は1倍、5倍、10倍にワンタッチで飛べるボタンを表示。拡大するとさらに高倍率で撮るための操作バーが出現し、スムーズにズームできます。3モデルの中では指を広げて拡大する「ピンチアウト」の操作が一番しやすく、1回の動作で大きくズームできます。20倍以上での撮影時はGalaxy S20 Ultra 5Gと同様にスコープ表示が追加されます。

 

【HUAWEI P40 Pro 5Gのズーム作例】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。

●GetNavi web本サイトでフォトギャラリーをみる

 

動画撮影ではフルHD画質で最大15倍ズームに対応。ズーム時も破綻しない画作りとなっています。動画を撮りながら超広角に切り替えた際、色味を調整している様子も確認できます。


↑HUAWEI P40 Pro 5Gの動画ズーム性能を試す

 


↑HUAWEI P40 Pro 5Gですずめを撮影

 

スマホズームの性能向上は著しいが、未だ発展途上

スマホのカメラはここ10数年で飛躍的な性能向上を続けてきました。薄型のボディで高倍率ズームを撮れるようにする試みはその最先端で、コンデジや一眼カメラならではの魅力に真っ向勝負を挑むものでもあります。

 

ただし、その現状は未だに発展途上と言えます。今回試した3機種とも、およそ10倍ズーム程度まではしっかりとした画像が撮影できます。デジタルズームの領域に入っていくと画像の劣化が目に見えて進むため、SNSで使うにしても、許容範囲は30倍くらいになりそうです。ちゃんとしたズーム写真を撮りたいなら、光学ズーム対応のコンデジとスマホを併用した方が実用的です。

 

一方で、スマホのカメラは従来のデジタルカメラとは違うのは、ソフトウェアによる画像処理により力を入れているところ。たとえば、画像処理AIで撮影物を判別し、被写体にあわせて適切な高解像化処理を施す機能があります。特に遠くにある看板の文字のような、形状がわかりやすいものではこの処理が有効に働きます。

 

こうしたスマホならではのアプローチが進んでいけば、いずれはコンデジの光学ズームに負けない高倍率ズームスマホも登場することでしょう。

 

【フォトギャラリー】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。

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