アップルの忘れ物トラッカー「AirTag」は、本来の目的から外れて悪用されることを防ぐため、数々の対策を施しています。先日も見知らぬAirTag(ストーカーが悪用している可能性がある)を見つけやすいよう、警告音を大きくしたことが明らかとなっていました。
しかし新たに一部のユーザーから、実在しない「幻のAirTag」を警告されて困惑している、との報告が伝えられています。
iPhoneの初期設定では、不審なAirTagを検出すると通知し、さらにユーザーは音を鳴らして場所を特定したり、警察に相談したりできます(法執行機関は捜査に役立てるため、アップルに情報開示を求められます)。
ですが、The Wall Street Journalはここ数週間、一部のiPhoneユーザーにおいて、たびたび真夜中に存在しそうにないAirTagがあると警告され始めていると報じています。これらの通知を受けたユーザーは「探す」アプリで追跡されたらしき経路のマップを確認できますが、今回の場合は「現在位置から放射状に伸びる赤い直線」というあり得ないルートが共通しているようです。
もしもAirTagがこうした経路で移動(飛行?)したとすれば、工事現場を横切ったり、壁を突き破ったりしているはず。AirTagはさておき、人間であるユーザーはそんな動きができるわけがありません。
この問題が、どの程度の範囲で起こっているのか。また最近始まったことなのか、それともAirTag発売直後からのことか、いずれも記事執筆時点では不明です。
米アップルの広報担当者は、この問題を認識していることを確認しています。なぜ幻の警告が起こるのかといえば、iPhoneがWi-Fiを受信したため、一時的に位置情報サービス面で混乱した可能性があるそうです。また人口密度の高い地域では、近くにいる人が持つAirTagが不要なアラートを引き起こすかもしれない、と付け加えています。
アップルは年内に、AirTagと「探す」アプリをさらに強化することを約束していますが、その中には「不要な追跡アラートのロジック改善」が含まれています。ストーキングを正確に検出する一方で、ユーザーを不安にさせる誤検知を減らすことも望まれそうです。
Source:The Wall Street Journal
via:9to5Mac