Vol.162-3
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はいよいよ日本でも発売となるMetaのAIグラスの話題。AIをグラス型デバイスで活用する利便性と使用に当たっての課題を探る。
今月の注目アイテム
Ray-Ban Meta Optics (Gen 2)
8万2500円(度付きレンズ別売)
度付きレンズの使用に最適化された「Ray-Ban Meta Optics Styles」。従来のモデルよりも軽量でスリムな形状が採用された。会話をリアルタイムで翻訳する機能が2026年夏より日本語、韓国語、中国語などを含む20言語に拡大される。

MetaのAIグラスにしても、Googleが秋にグローバルで発売を予定している「インテリジェント・アイウェア」にしても、核にあるのはハードウェアだけではない。連携するAIの価値がどれだけ高いのか、という部分に大きく依存している。
率直に言って、現状のスマートグラス向けAIに過大な期待を抱いてはいけない。翻訳したり、目の前にあるものが何かを答えてくれたりはする。それはすごいことだし、過去には不可能だったことではある。
しかし、「毎日それを使うのか?」というと、そうではないだろう。翻訳機能はまだしも、画像による認識などは、そこまで多用するものでもない。
ここから重要になるのは、いかに“毎日使うAI”をスマートグラス向けAIに実装していくのかである。
そこでポイントになるのは“いかに人を助けてくれる機能を実装するのか”ということだ。目の前のものが何かを答えてもらってもさほど役に立たないかもしれないが、“目の前のものが何かを理解し、それを覚えておいてもらう”となると話は別になる。
Meta AIでは、ホテルの部屋番号や駐車場の番号などを覚えておいてもらうことができる。また、製品などを手にとって「これを覚えておいて」とお願いすれば、あとから「覚えておいたものについて詳細を教えて」といえば、答えてくれるようになっている。これは、単に“答えてくれる”ことよりずっと価値を持っている。そのうえで、いかに認識の精度を高めるかという点が重要になってくるだろう。
さらに別の観点として、単に1つの作業をするのではなく、「お願いをすると、その作業を代わりにやってくれる」要素が重要になる。「エージェンティックAI」と呼ばれるもので、AIサービスの中では重要なトレンドになっている。Androidの次期バージョンである「Android 17」にも、Gemini Intelligenceとして搭載される。
そのこともあってか、Googleは今秋発売のスマートグラスで「AIに話しかけ、コーヒーを注文する」デモを行った。話すとAIがスマホの中でウェブにアクセスし、コーヒーを注文し、決済する。今なら自分でアプリやウェブにアクセスして作業することを、AIが代わりにやってくれるようになるのがエージェンティックAIだ。スマホでもPCでもできることだが、「声でAIと応対する」デバイスでは特に有用なものだろう。
Meta AIにエージェンティックAIの機能はまだ搭載されていない一方、これから製品を発売するGoogleは、エージェンティックAIを強くアピールしてきた。こうした部分でのAI開発競争は、どんどん激しくなっていくことだろう。
MetaにしろGoogleにしろ、まず主力となるのはディスプレイを搭載しないタイプのスマートグラスだ。だからこそ、AIとの連携も音声によるものが中心であり、音声で便利に使えることが求められる。 では、ディスプレイ付きスマートグラスはどうなるのだろうか? その点は次回解説する。
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