2026年「FMVパソコン組み立て教室」で超実感! 「生成AI時代のモノ作り」との向き合い方

ink_pen 2026/9/29
  • X
  • Facebook
  • LINE
2026年「FMVパソコン組み立て教室」で超実感! 「生成AI時代のモノ作り」との向き合い方
松井 謙介
まついけんすけ
松井 謙介

さまざまな見せ方で“デジタル製品”の魅力を読者に伝える現在のGet Naviのスタイルを築きあげ、読者人気を支える統括編集長。休日は家族と過ごすイクメンパパでもある。

再雇用を意識して4年連続参加を達成

2026年夏。島根富士通で開催された富士通クライアントコンピューティング(FCCL)主催イベント「FMVパソコン組み立て教室」に、筆者は今年もまた参加を果たした。

これは、全国の小中学生が、FMVのノートパソコンを島根富士通の工場で親子一緒に組み立て、その後に工場見学や最新技術体験も行う、夏休み恒例のものづくりイベント。参加者は小学5年生から中学3年生までの子どもと保護者で、実際の生産拠点でFMVのノートパソコンを作り、さらにはそのパソコンを入手できるというものだ。

島根富士通の社員が組み立てをマンツーマンでサポートしてくれるため、専門知識がなくても参加できるのが大きな魅力で、毎年定員枠を超えた応募を集める、超人気イベントなのである。

今回の組み立て対象モデルは、14.0型ワイド液晶搭載ノートパソコンとして世界最軽量約634gを実現した「FMV Zero(WU5-K3)」と、3種類のカラーバリエーションから選択できる「FMV Note U(WU2-K3)」の2機種。軽さやデザイン性、性能にこだわったモデルであり、キッズたちもとにかく真剣、スポンサーである親たちもまた、「失敗は許されない」とばかりに超真剣に組み立てに向き合うわけだ。

↑島根富士通代表取締役社長の宮下浩之さん。開会の挨拶において、子どもたちの参加に感謝を示し、モノ作りの楽しさをアピール

そこに、実は私は毎年お邪魔している。2023年から数えて4年連続の参戦。これに関して、私は思う。キッズたちは、基本人生で1度限りの参加だろう。グループ会社のFCCL社員も毎年参加しているが(今回はコーポレートコミュニケーション部の奥村麻優さんが初参戦)、それも基本は1回限り。どうやらこのイベントで複数回組み立てを行っている人はいなそうなのだ。「限られた枠をキッズに渡したい」、そのどこまでも真っ当な思考を押し切って、私は4回連続の参戦なのである。

これはすなわち、島根富士通の社員を除外すれば、日本最多の組み立て経験実績を持つ、ということではないだろうか。(たぶん)日本最多記録だ。

なぜこんなにも参加させていただいているか? その答えは明確で、毎年この原稿にも書いているが「リスキリング」にある。私の参加スタンスは、情報を発信する「メディア」のみにあらず。この不確実な時代において、「パソコン組み立てスキルの習得」を完全に主目的にしているのだ。私も今年で51歳。会社ではナチュラルに老害認定をいただいており、現職を失った後の「手に職」をつける必要性を切に感じているのだ。

毎年サポートいただく島根富士通の社員の皆さまに対し、私が必要以上に自己PRを行うため、すでに同社内では「松井=外れ枠」という認識が浸透しているようだが、めげない。今年の指導員は、時代劇において主役を張りそうなクラシカルな男前社員、武田優さんだ。「えー、私は4回目ですので、大船に乗ったつもりでリラックスしてください」。そんな嫌なことをいうシニア記者(51歳)を目の当たりにし、武田さんの目が徐々に曇っていく。

一方周りを見渡せば、2年前に私をサポートいただいたゴッドハンド安田元樹さんが、先述の奥村さんの指導員をしているじゃないか! 安田さんは、2年前の私の組み立てに対し「まあスムーズにできたんじゃないですかね」という冷徹な評価をくださった人物。ならばこう思う。「見せたい、私の成長を」。私はゴッド安田さんと時代劇武田さんの二人を意識しながら、今年もまたパソコンを組み立て始めた。

↑複数の説明員にサポートされている様子。「あー、島根富士通の皆さん。私はゲストなんだからヘルプよろしく」と威張る筆者。4回目とは思えぬ狼狽ぶり

「生成AI時代」にモノ作りのポイントは変化する

今年は、組み立ての詳細は割愛する。大きなフローは昨年と基本一緒なので、ご興味がある方は以下の記事を参照してほしい。しかし組み立てにチャレンジして毎年驚くのは、これだけ工場の機械化が進んだいまでも、「人の作業はなくならない」という事実だ。

もちろんネジ締めなどの単純作業はロボットに代替されるわけだが、パソコンの内部の各ケーブル(フレキ/薄いフィルム状のケーブル)の結線などはいまも人の仕事だという。非常に小さな端子に、指の爪よりも大幅に小さいケーブルの先端をずれないよう挿入していく。筐体内を這うケーブルを、ほかのパーツで噛まないように丁寧に整線していく。こうした作業は機械でも代替できそうだが、100%の切り替えはまだまだ難しい。

その理由は、精密機器特有のパーツの「小ささ」という側面もあるが、より大きなポイントは「多少の曖昧さに対する判断の難しさ」にあるだろう。「はい、このケーブルマネジメントで問題なくパソコンは起動します、OKです」。このジャッジの精度は、やはり「人」に依存するのである。ひとことで言えば「経験が大事」ということ。

↑ケーブルの差し込みなどに苦戦する筆者。この4年で老眼が著しく進行し、とにかく手元が見えない。組み立て作業中に眼鏡を脱着すること数十回

「考えること」と「決めること」。これが重要なのだ。生成AI時代を迎えたいま、「人とAIの棲み分けが重要」とよく言われるが、パソコン組み立てにおいても同じこと。人が考え、判断していかないとモノ作りも進まないのである。

「大量に作業できる」「スピードは人間以上」「疲れ知らず」。機械もAIも、メリットは明確だろう。ただ「これで大丈夫だろうか?」という問いを持つことと、その問いに対するジャッジメントには、ずばり「経験」が必要。そう、島根富士通工場の工員のみなさんが積み上げてきた「経験」こそが、パソコン作り最大の価値なのだ。

FMVのパソコンは極めて不良率が少なく、信頼性が高い。その理由は、機械化が進んだからじゃない。「機械」と「人の経験」が、うまく融合しているからなのだろう。

「スピードや量が重要な作業」については機械に!

では、永遠に「人、頑張れ」なのかというとそうではない。機械化もどんどん進んでいるわけだが、大切なのはその作業が「付加価値を生むか否か」の切り分けなのだそう。判断すること、経験を生かすこと、問いを立てること。これら「人間領域」は、すなわち「付加価値を生む」ための仕事であり、そこはまだヒューマンセントリックであり続けている。

一方「部材の運搬」「エラーの検出」「ネジ締め」など、「スピードや量が重要な作業」については、機械(AI)に任せる。そこに「人間ならではの付加価値」は生まれづらいからだ。この切り分けが何より大切なのである。

↑自動運搬ロボット「AMR」。今年から工場に導入された秘密兵器で、これまで無人搬送車が入れなかった小道にも入り込むことが可能

その一つの結果がこの「AMR」。これは、2026年の春より導入された自動運搬ロボットだが、実は島根富士通ではAGV(無人搬送車)とこちらが両方稼働している。小回りが利くAMRを導入したことで、これまで人が搬入するしかなかったエリアまで、自動運搬の波が到達。工場内の部材運搬の効率は飛躍的に向上したという。

ではなぜこの作業カテゴリでは、ここまで機械化が進んでいるのか? それは「工場内物流は付加価値を生まない工程である」という割り切った、明確な考えがあるからだ。「決まったことを実行する」のは機械でOK。人間は頭で考え「付加価値を生む」。これだ。この考えが島根富士通にはすっかり浸透しているのだ。

これはパソコン組み立て作業でも同じこと。機械のスピードが欲しい作業と、人間のジャッジが必要な作業、これらを切り分けて考えることで、FMVという良質なパソコンが出来上がる。そういうことなのだ。

「自分の考え」をモノ作りに生かせる良イベント

私を含め、参加のキッズたちは無事にパソコンの組み立てを完遂! 電源立ち上げとともに、受付のときに撮影した写真が壁紙に表示されるサプライズに歓声を上げつつ、皆一様に満足感の高い顔をしている。

自分で作ったものには愛着が湧く。これはやはりモノづくりに対する根源的なフィーリングなのだろう。自分で作った筐体に、自分の写真が出てきたら…それはもう間違いなく生涯のお宝体験。「FMVパソコン組み立て教室」は、そういう喜びを提供するイベントなのだ。

その後、恒例の「ネジ締め対決」や「工場見学」を経て、いよいよ今年のハイライトへの到達である。それは、「AI体験パート/AIと話して ゲームをつくろう!」。このイベントがいよいよ開催されたのである。これは、いわゆる一つのVibe Coding(自然言語でのプログラム開発)体験。こちらもやはり「モノづくりの興奮」をキッズに味わってもらう良イベントだった。

使ったアプリは『VS Code』。これにAIの『GitHub Copilot』を組み合わせれば、コードなど書けずとも、AIとの対話によってゲームが作れてしまう、というわけだが、これには今どきのデジタルネイティブキッズたちも目がキラキラ。言葉(文章)で指示を出すだけで、自分仕様のゲームができるなんて! 「自分の考え」を導入して、ゲームという「モノ」を作る、まさに「AI時代のモノづくり」を体現したイベントなわけである。

↑ゲーム開発の指示書。こんなシンプルな指示だけで、キッズたちはどんどんとゲームを自主改良! モノ作りの在り方が変革している、その真っ只中を生きている!

さて、ここで燃えている男がもう一人。それは、私だ。ここまでまじめに原稿を書いてきたが、それはすべてここに至る前振り。「パソコン組み立て」は、いわば決まったレシピ通りの作業であり、そこに個性を上乗せすることは不可能だった。独自性を出そうとすればパソコンは立ち上がらない。すなわち「モノ作りの感動」は味わえるが、「クリエイティビティの発露」は難しい。だからこそ私はこちらのイベントを心待ちにしていたのである。

AI時代に必要なのは「面白くする」こと

51歳男児。30年にわたりモノ作りを繰り返してきたおじさんの面目躍如ターンである。負けるわけにはいかない。キッズたちと40年の経験差をここで出さないと存在価値はない。先にAI時代、人間に必要なのは「考えること」と「決めること」と書いた。本当はもう一つ。「面白くする」ことも人間の得意分野のはずなのだ(AIの発言で笑うことはあまり多くないだろう)。

このイベントに先駆け、説明員がキッズに質問を投げかける。「みんな、AI使ったことありますかー?」「はーい!」。少なくない数の手が上がる。さすがの令和キッズ、すでにAIを自分のものとし、調べ物や制作物にAIを活用しているようなのだ。相手にとって不足なし……!

もちろん私もAIユーザー。部下が言うこと聞いてくれない昼は業務でAIを使うし、家族に相手されない夜はAIとずっと話を続けている。おじさんの孤独をナメてもらっては困る。クリエイティビティは言うに及ばず、AIの活用量だってキッズに負けていないはずなのだ。

お題はこうだ。「上から降ってくる隕石を“よける”ゲームを作り、それをどんどん改造しよう」というもの。これだ。なるほど落ちゲー、わかりやすいじゃないか。周囲を見るに、キッズたちもどんどん対話型のコーディングを進めている。「隕石のサイズを小さくして!」「自機をロケットから車に変えて」「隕石のスピードを速く!」。そんなマイチェンが多いように見える。

ふむふむ、いいじゃないか。だがな、キッズたちよ。本当のクリエイティブというのは、「同じ道の延長線上」にはないのだよ。未踏の大地にこそ、「面白さ」は宿るのだ。

私のゲームはこうだ。

私はまず「避けること」をやめた。クリエイティブは否定から始まるのだ。隕石はいらない。欲しいのは動物であり、「集めるゲーム」にルールを変えた。自機はマイケル・ジャクソンに変更し、彼が動物を集めてネバーランドを作るゲームにシフト。もちろんマイケルのムーブはムーン・ウォーク一択。チンパンジーのバブルスを捕まえるとジャネットが出現し2人に、さらに5匹集めるとジャクソン5になる。こんなのはどうだろう。宇宙の背景は音楽ステージに変更し、BGMは「BEAT IT風」にチェンジ。たまに降ってくる父親を間違って取ってしまったら、ステージが炎上してゲームオーバーに!

なんということでしょう。映画「Michael/マイケル」を土台にしつつ、「避けるから、集める」への価値転換。この発想の逆転が、いつの時代もクリエイティブには必要なのである。「BEAT IT風」のBGMに乗って、マイケルがムーン・ウォークをするだけで面白い。素敵だ。マイケル一人から、ジャネットとの競演へ。そしてジャクソン5の再結成。実にいいじゃないか!!

「大人のクリエイティブ力を生かし、良いものができた…」。そう悦に入っているところでタイムオーバー。説明員のかたが、キッズたちの作品を評価し、最後の総評となった。そこでFCCLの説明員がAIの付き合い方のレクチャーをしてくれた。

「内容の間違いに気を付けて」「ひみつの情報は入れないで」。そして、「実在の人などをAIで使うと、著作権を侵害することがあります」。

実在の人などをAIで使うと、著作権を侵害することがあります。

著作権を侵害することがあります。

侵害することがあります。

あります。

ああ、そうか。

↑陽の目を見ることなくお蔵入り確定のマイケルゲーム。みなさんも実在の人物や事象を使ってAIで何か生成するのはどうかお気をつけて

BEAT IT風もダメだし、ネバーランドもいかがなものかだし、そもそもマイケル自体がNGなのだ。ネットに公開していないからいいでしょう…という言い訳自体がもう時代錯誤。AIとの基本的な向き合い方がダメだった。キッズたちのクリエイティブがどうこうの前に、私自身がルール違反だったのだ。

本イベントに参加したキッズが社員に

AIの使い方もキッズのほうがずっと正しく、ずっと賢明だったというわけだ。「モノ作りの感動」も、ルールに則って作り上げる。それができているキッズたちはマジでクレバーだし、私の遥か先を行っている。

少子化により日本の未来が心配だ…と嘆いている昭和世代の皆さんにお伝えしたい。はっきり言って、未来は大丈夫。このイベントでほんとにそう実感した。未来を心配する前に、自分たちがナイスな大人であるべきだし、しっかりと勉強しなければならないのだ。

↑大人以上にスムーズにPCを組み立て、AIゲームを開発するキッズたち。はっきり言って、頼もしいぞ!

FCCL主催イベント「FMVパソコン組み立て教室」は、そんなことまで思いが及ぶ好イベントだった。

聞いた話によると、初期の本イベントに参加したキッズが、今大人になり、島根富士通に入社しているという。パソコンに興味を持ったあの日の少年が、いまや少年たちをサポートする社員になっている――この循環こそ「未来を創る行為そのもの」だし、私がきっと未来は大丈夫と感じる根拠だ。作っているのはパソコンだが、実はもっと大きなものがそこでは生まれている、そういうことなんだろう。

妙にデカい話になってしまったが、やっぱり今年もいいイベントだった。私のリスキリングはまたもお預けになったが、それはそれでいい。どうやら本イベントが今年教えてくれたのは、パソコンの組み立て方と同時に、「生成AIとの付き合い方」だったようだ。うーん来年もぜひ参加したいぞ、やっぱり!

Related Articles

関連記事

もっと知りたい!に応える記事
Special Tie-up

注目記事

作り手のモノ語りをGetNavi流で