「仕事帰り、夜ご飯に何を食べるのか決めるのが一番のストレス」――そんなビジネスパーソンの救世主が現れた。
その人物は、SNS総フォロワー300万人超、低温調理器のボニークを愛用し、オリジナルAIデータベースでレシピを管理する超理系脳・料理クリエイターのぴーきちさんだ。そんな彼が新著『ぴーきちの革命的に旨い! 夜ごはん食堂』で掲げたのは、あえての「包丁・フライパン・まな板・ボウルへのこだわり」という原点回帰だった。家電とAIを駆使した超効率的な日々の裏側から、究極のタイパ定食まで、理系クッキングの全貌に迫る!

ぴーきち
料理インフルエンサー。SNS総フォロワー数は300万人を超える。妻ぴー子さん、子ちびきちくん、愛犬ジルちゃんと暮らしている。仕事終わりにパパっと作れる料理レシピの発信が人気で、多くの支持を得ている。
「低温調理器」と「AIデータベース」を駆使する理系脳クッキング
――ぴーきちさんの動画を見ていると、手際の良さと品数の多さに目を奪われます。そのカギは調理器具にあると思うのですが、特に重宝しているアイテムを教えていただけますか?
「定番家電ではありますが、やはり電子レンジです。火加減不要で時短になりますし、夏場などコンロの熱さを回避できるのがありがたいですね。
僕の料理動画では、一度に10品くらい大量に作ることが多い。だからこそ、耐熱ボウルに食材と調味料を入れてチンしている間に、別の調理や洗い物を並行できる電子レンジは、本当に大活躍しています。超効率主義なので、いかに効率よく物事を進められるかをいつも追求しているんですよ。
あとは、去年の誕生日に妻からプレゼントしてもらって以来、週3〜4回使っているのが『ボニーク』の低温調理器です」
――低温調理器はまだ使ったことがない読者も多そうですが、どんなところに魅力を感じていますか?
「袋に食材と調味料、油などを入れてポンとセットするだけで、プロの厨房と同じ火入れが自宅で再現できるところが最高です。定番のサラダチキンやローストビーフはもちろん、玉子焼きを作ると信じられないほどプルプルに。カルボナーラなどのパスタソースも絶品に仕上げることができますよ。
『プロと素人の差は、火を入れるタイミングと火加減』とよく言われますが、そこを完全にお任せできるのが、低温調理器の最大のメリットですね。工程の手軽さ以上に、『最高の火入れ状態でおいしい料理が作れる』点が激推しポイントです。もう手放せないかもしれません」

――調理家電だけでなく、AIもかなり活用されていると聞きました。
「サラリーマン時代はIT畑にずっといたので、かなり高頻度でAIを使っていると思いますし、かなり課金もしています(笑)。ただ、『AIに今日のおすすめレシピを考えてもらう』といった使い方ではなく、自分が考案したレシピをすべてデータ化して、独自のデータベースを作っているんです。
たとえば、『今日は卵料理の気分だな』と思ったら、“ぴーきちデータベース”の中から数秒で卵レシピをピックアップでき、買い物リストも一発。新しいレシピやタレの配合も、このデータベースの掛け合わせから生まれます。AIのおかげで、効率良く日々の調理やレシピ開発ができています」
料理には驚きと感動を。目指すは「居酒屋メニューのワクワク感」
――これだけ家電とAIハックを活用するぴーきちさんですが、今回のレシピ本では、あえてどの家庭にもある道具(まな板や包丁、フライパン、ボウルなど)にこだわられています。その理由は?
「フォロワーの皆さんの最大の悩みは、調理のテクニックではなく、仕事帰りに疲れた頭で『今日は何を作ろうか』と悩む時間そのものだと思うんです。どんなに便利な調理器具や特別な調味料があっても、『献立を考える・探しに行く』という手間が残っていたら、どうしたって毎日の心理的な負担は減らないじゃないですか。
だから、『あれこれ悩む暇なく、この本を開けば今日の献立が一秒で決まる』という本を作りたかった。冷蔵庫にあるもので家族みんなが笑顔になれる、そんなレシピにこだわりました」
――たしかに、ページを開くだけで、メイン・副菜・汁物がセットでスパッと決まるのはありがたいですね。表紙のハンバーグ、中から半熟卵があふれて出てきて、食べるときに歓声が上がりそうです。

「手軽に誰でも作れることとあわせて、“ワクワク感”も僕がこだわっている部分です。盛り付けで驚かせたり、味付けで『お!』と思わせたりと、いろいろ工夫しています。たとえば、チキン南蛮のソースにしば漬けを混ぜ込んでみたら、チキン南蛮好きな妻も大絶賛してくれました」
――そのアイデアの源泉はどこにあるのでしょう?
「居酒屋のメニューですね。お酒が好きで、もともとおつまみをベースに料理動画を始めたこともあって、居酒屋で出会ったおもしろい食材の組み合わせや味付けは、写真やメモに残して自宅でアレンジしています。
たとえば、しょうゆ×コチュジャン、マヨネーズ×ワサビ……もちろん、それらもすべて“ぴーきちデータベース”に蓄積され、さらに新しいタレに進化しています」

究極のジューシーチキン南蛮
【材料】2人分
- 鶏もも肉…2枚(500~600g)
- A 塩、こしょう…各少々
- 小麦粉…適量
- 溶き卵…2個分
- 揚げ油…適量
- B しょうゆ、酢、砂糖…各大さじ3
(好みで)赤とうがらしの小口切り…少々 - C ゆで卵…2個
玉ねぎ…1/4個
しば漬け(またはいぶりがっこ)…30g
マヨネーズ…大さじ4
トマトケチャップ、レモン汁…各小さじ1
粗びき黒こしょう…適量 - (好みで)フリルレタス…適量
- B しょうゆ、酢、砂糖…各大さじ3
【作り方】
1.鶏肉は1枚を4~6等分に切り、Aをふって小麦粉をまぶす。Cのゆで卵は粗みじん切りに、しば漬けはみじん切りにする。玉ねぎはみじん切りにして水にさらし、水気をしぼる。
2.鍋にBを入れて中火にかけ、ひと煮立ちさせる。Cは混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やしておく。
3.別の鍋に油を多めに入れて170℃に熱し、鶏肉を溶き卵にくぐらせてから入れ、片面3分ずつじっくり揚げる。
4.熱いうちにすぐにBに浸す。フリルレタスとともに器に盛り、Cをかける。
【POINT】
鶏もも肉は厚みがあるので、中まで火を通すために加熱は焦らずじっくりと。仕上げに少し火を強めて加熱すると、カリっとこうばしく仕上がります。
塩分の「数値化」で健康的&家族みんなにやさしい設計
――今回ぴーきちさんの本を担当した編集スタッフが、お子さんと一緒に「牛肉だし巻き玉子」を作ったと報告してくれました。だしの味がしっかり効いていて、子どもの食育にも繋がる! と喜んでいたのが印象的でした。
「うれしいですね。今回の本のキャッチコピーは『家族が笑顔になる定食ごはん』なんですよ。『今日これ作って!』とリクエストされることが、この本のひとつのゴールです」
――味の濃さや塩分バランスも意識されているとか?
「その通りです。最近はレシピを作るときに、塩分バランスを細かく計算しています。おつまみ系はお酒と一緒に楽しむので、塩分濃度を1.2%前後に設計しています。一方、今回のレシピ本は日々の定食として家族みんなで楽しんでほしいので、少し塩分をおさえた万人受けするレシピ設計。安心してお子さんと一緒に食べてほしいです」
――なんとなくの目分量ではなく、データや数値でコントロールするからこそ、誰が作ってもブレない。理系クッキングの真骨頂ですね。本日はありがとうございました!

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撮影/内山めぐみ