ルノー グランカングーに感じる道具としての美学! 家族も趣味も積めるフレンチミニバンだ

ink_pen 2026/5/21
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ルノー グランカングーに感じる道具としての美学! 家族も趣味も積めるフレンチミニバンだ
会田 肇
あいだはじめ
会田 肇

カーライフアドバイザー。カーナビやドライブレコーダーなど身近な車載ITグッズのレポートを行う他、最近はその発展系であるインフォテイメント系の執筆も増えている。海外で開かれるモーターショーや家電ショーにも足を運び、グローバルな視点でのレポートに役立てている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

「ミニバンと商用バンのいいとこ取り」として人気の高いルノー・カングーに、新たに3列7人乗りのロングボディ仕様「グランカングー」が登場しました。本レポートでは、その使い勝手や走行性能について試乗を通じてチェックしていきます。

カングーの魅力を拡張した7人乗りモデル

ルノーではこのグランカングーを、輸入車初となるCセグメントの本格的な7シーターとしています。ベースモデルの全長4490mmに対し、グランカングーは4910mmへと大幅に延長。特にホイールベースは2715mmから3100mmへと拡大され、7人乗りとしての快適性と実用性を徹底的に高めています。

↑2026年2月に発売された限定車「ルノー・グランカングー クルール」。価格は459万円(税込)で、5月には2色の限定カラーモデルが発売される予定だ。
↑ボディの全長は4910mmでホイールベースは3100mmと、いずれもベースモデルよりも大幅に延長されている。最小回転半径は6.2m。

注目すべきはバックドアをほかのカングーと同様、180度開く観音開き式「ダブルバックドア」としている点です。フランス本国でカングーのバックドアは、すでに跳ね上げ式へ移行していますが、日本ではこのスタイルが高く支持されており、この状況を知ったルノー本社が日本仕様として特別にダブルバックドアを採用。グランカングーでもその方針は踏襲されたというわけです。これは日本のカングーファンにとって、うれしいポイントといえるでしょう。

大きいのに威圧感なし。絶妙なデザインバランス

実車を前にした第一印象は、「思ったより大きい」というものですが、不思議と威圧感はありません。これは丸みを帯びたボディラインが柔らかな印象を演出しているからだと思われます。また、ブラックバンパーやスチールホイールといった実用的な装いも特徴ですが、商用車的な無骨さは控えめで、フランス車らしい洒落た雰囲気が漂います。

↑前後の無塗装バンパーなど、いかにも“道具”として地味な振る舞いのグランカングー クルール。車体は大柄ながら不思議と威圧感がないのがいい。
↑ブラック塗装された鉄ホイールに履かせたタイヤはミシュラン製2025/60R16のオールシーズンタイヤ。カングーよりも1インチ小さい。

特に横から見たシルエットは絶妙で、「仕事にも遊びにも似合う」このバランス感が本当にうまいなぁと思わせます。

何よりも気に入ったのは、国産ミニバンにありがちな“押しの強さ”がグランカングーには一切ないこと。そのおかげで、街並みにも自然になじんでくれます。ミニバンは欲しいけど、国産ミニバンのような“これ見よがし”のスタイルは嫌! グランカングーはそんな人にぴったりなクルマと言えるでしょう。

広い車内は3列目も閉塞感がなく、圧倒的な積載能力も

車内に乗り込むと、とにかく広さを実感します。見逃せないのは各シートが完全独立していること。特に後席は2列目だけでなく3列目も充分な広さが確保されており、それだけに3列目は“緊急用”となっているミニバンが多い中で、グランカングーでは大人2人がちゃんと座れます。これこそがグランカングーにゆとりある座り心地をもたらしている理由なのです。

↑フロントシートはパワーシートこそ装備されないものの、たっぷりとしたサイズで身体をしっかりサポートしてくれる。
↑2列目シート。それぞれが専用シートとなっていて、隣に影響されずにゆったりと座れる。ひとつずつ取り外しも可能。

しかもシアターレイアウトにより前方視界も良好で、3列目に座っても閉じ込められた感はほとんどなし! これならロングドライブでも快適に過ごすことができそうです。

↑3列目シート。一般的には緊急利用が多いところ、脱着可能な専用シートを採用した。2列目シートをスライドさせるだけでアクセスできる。

さらにグランカングーでは、ベースモデルよりもスライドドアの開口部が180mm広くなっており、乗降性にも大きなプラスとなっています。これはミニバンとしての使い勝手を高めるうえでうれしいポイントとなるでしょう。

なお、パワースライドドアは非搭載ですが、これは“道具としての使いやすさ”を重視したカングーらしい選択と言えます。

グランカングーならではのもうひとつの魅力は、ロングボディが生み出す広大なユーティリティスペースにあります。

2列目/3列目のシートは脱着式となっており、これを取り外せば最大3,050Lもの広大なカーゴスペースに変身するのです。ただし、シートの取り外しは比較的簡単なものの、再装着にはややコツが必要。慣れが求められる点は少し気になるところです。

↑すべてのシートを装着した状態でのカーゴスペースはあまり広くない。シートを一席外すなどの工夫が必要になりそう。
↑3列目シートを取り外し、2列目シートを前方に折りたたんだ状態。2列目も取り外せるが、この使い方がもっとも現実的な使い方かもしれない。
↑ダッシュボードは必要充分な装備をそろえ、基本的なつくりはベース車のカングーと変わらない。液晶式メーターは2025年モデルと同じ最新式となっている。
↑ダッシュボードにはスマートフォンを固定できるホルダーが用意されていて、カーナビ用アプリを使ったときは2画面での利用も可能となる。

1.3Lエンジン+7速EDCが軽快な走りを発揮

走りはロングボディから想像する以上に軽快でした。最初はターボチャージャー付きとはいえ、1.3Lエンジンで1.5トンを超える巨体を動かすのは大丈夫か? と思いましたが、実際に走ってみればそんなことはまったくありません。

トランスミッションに7速EDC(デュアルクラッチ)を組み合わせたこともあり、アクセルの踏み込みに対しても自然に反応してくれるのです。そのため、街中などの低速域でも充分に扱いやすいと実感しました。

↑パワーユニットは1.3リッター直列4ターボ付きガソリン。最高出力は131PS(96kw)/5000rpm、最大トルクは240N/m(24.5kgf・m)/1600rpmを実現した。
↑トランスミッションはデュアルクラッチ式の電子制御7速AT(7EDC)を組み合わせており、これが優れた反応を見せる。

運転席からの視界もきわめて良好で、ボンネットの両端も把握しやすいために、5m近いボディとは思えない取り回しの良さを発揮します。おかげで路地に入り込んでもそれほど苦労することなく通過できました。

一方で、大人が4人乗って高速道路を走ると、「もう少しパワーが欲しいかなぁ」と思ったりはしました。それでも、グランカングーの高速走行時での直進性は素晴らしく、しっとりとした乗り味も心地よさを伝えてきます。

その意味では、安定した制御のアダプティブクルーズコントロール(ACC)をうまく使いこなしながら、あくせくすることなく、家族や仲間と一緒にロングドライブをゆったり楽しむ。このスタイルこそがグランカングーには相応しいといえるのではないでしょうか。

↑アダプティブクルーズコントロール(ACC)のスイッチはステアリングの左側にある。制御が自然で、雨の日でも安定した走りを見せた。
↑ステアリングの右側には、オーディオをコントロールできるサテライトスイッチが装備されている。

グランカングーは“わかる人に刺さる”一台

価格は459万円(税込)と、決して安価ではありませんが、装備や見た目はシンプルで、むしろ商用車のようにも見えます。その意味では、同価格帯に豪華装備の国産ミニバンが数多く存在する状況下で、利便性や華やかさを求める人には向かないかもしれません。

しかし、道具としての機能美やフランス車ならではの遊び心に魅力を感じる人にとっては、唯一無二の存在です。グランカングーは、単なるミニバンではありません。使い勝手、デザイン、走りのバランスに加え、“道具としての美学”がしっかりと息づいています。家族も趣味も大切にしたい人、そしてクルマに個性を求める人にこそ、ぜひ体感して欲しい一台です。

↑大人7人がしっかり座れて、移動を楽しむための“道具”としてつくり込まれたグランカングー。

写真/宮越孝政

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