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インテリア
2023/2/28 19:00

黒でくすみカラーを引き締め! ブラックインテリアを成功させる秘訣

ここ数年、北欧インテリアの人気が定着するなか、 “くすみカラー” をベースとした、明るく柔らかな配色が主流となっています。淡い色は部屋全体を広く見せる効果があり、清潔感もあるのですが、どこか間延びしてしまい、ぼんやりとした印象を感じることも。そこでアクセントとなるのが、「ブラック」です。黒は、やわらかなくすみカラーの印象をうまく引き締めるのに効果的。 数多くの空間コーディネートを手がけるインテリアコーディネーターの荒井詩万さんに、部屋全体を黒で引き締める「ブラックインテリア」のコツを伺いました。

 

インテリアのトレンドカラーは?

2020年頃からのくすみカラー人気は、現在も継続中なのだとか。

 

「2022年9月にパリで行われた、インテリアの展示会『MAISON & OBJET PARIS 2022』でも、グレーをベースとした “くすみカラー” が引き続き多く見られました。また、3年ほど前から海外を中心に存在感を増している、モスグリーン、マスタード、テラコッタなどの、 “ベイクドカラー” も人気があります。ベイクドカラーとは、ベイク=焼くという意味から、焼いた菓子のように深みのあるくすんだ色のこと。かわいさもあるくすみカラーよりも、一段落ち着いたインテリアになります。インテリアの配色のトレンドとしては、彩度が低めのライトグレイッシュトーンの色味です」(インテリアコーディネーター・荒井詩万さん、以下同)

 

空間に黒をプラスする効果とは?

引き続き明るめの色味がインテリアのトレンドの流れである中、黒で空間を引き締めることにはどのような効果があるのでしょうか?

 

「リビングにはたいていの場合テレビがあると思いますが、テレビは電源を入れていない状態では画面の広範囲が真っ黒で、部屋の中ではどうしても浮いてしまいます。そのため、テレビ以外にも黒を取り入れていくことで空間につながりを持たせ、一体感を出すことができます
また、最近の住宅のレイアウトはリビングダイニングとつながったオープンキッチンが人気です。一昔前は、キッチンは白一色というのが主流でしたが、ここにきてセラミック調の色合いの扉材が流行しているのを受けて、キッチンメーカーが黒い取っ手や水栓、レンジフードを出し始め、スタイリッシュなキッチンが増えてきています。黒を配色したオープンキッチンとの一体感を演出するために、リビングダイニングにも黒を取り入れる傾向が出てきました。昨今の黒色キッチン家電の流行の背景には、キッチンのスタイル変化も影響しているのではないでしょうか」

 

センスよく黒を効かせるインテリアアイテムの選び方

空間に黒を引き締めアイテムとしてプラスする上でポイントとなってくるのが、黒の分量とアイテム選びです。

 

「3年ほど前までは、黒を基調とした無骨でヴィンテージ感のある、いわゆる男前インテリアが流行っていました。しかし、今は黒の分量は控えめに。あくまでアクセントとして部分的に取り入れるのがトレンドです。さらに、細いラインで品よく取り入れていくのもポイントになります。
色の配色は基本的には3色くらいに抑え、インテリアに同じ色を反復させながら調和を作るのがポイントです。ベースになる白を6割、茶色やグレーなどのその他の色を3割、引き締めの黒を1割程度に抑えることでまとまりのある配色になります。そのうえで、バランスをみながら他の色も入れていくのがいいでしょう。
具体的には、以下のアイテムがおすすめです」

 

1.照明器具

「ペンダントの傘が黒い塊だと重すぎてしまうので、傘のデザインがラインで入っているものを選ぶようにしましょう。フロアライトの脚も華奢なラインだとぐっとスタイリッシュに見えます」

 

2.サイドテーブル

「サイドテーブルはソファの横に置くことの多いと思います。ここにテーブルの脚など細いライン程度の少量で黒を入れてくると前面に配置されたテレビとの相性もよく、黒でつながり、一体感が演出できます。マットなアイアン素材を選ぶと、グッと洗練された印象になります。」

 

3.フレーム

「絵や写真を飾るフレームを黒で統一すると、壁の白に程よいアクセントが生まれます。また、家族写真もモノクロにするというのもおすすめです。アート作品のように、かっこいい雰囲気になります」

 

4.クッション

「クッションなどのファブリック類はアイテムとしての面積が大きいため、黒一色ではなく黒が織り混ざった柄を選ぶとよいでしょう。ボリュームのあるソファーは柔らかいグレーやアイボリーを選び、アクセントに黒の量が半分ほど入ったクッションを置くくらいの分量がちょうどいいです」

 

黒を効果的に配置したインテリア事例

実際に荒井さんがコーディネートされた黒を効かせたインテリアの事例をご紹介していただきました。

 

■ ニューヨーク・マンハッタンのアパートメントをイメージ

「リモートワークが広がり、室内窓で部屋を緩やかに区切る住宅が増えています。室内窓は白と黒が主流で、そのなかでも黒の室内窓はとくに人気があります。室内窓に合わせて、カーテンレール、タッセルなどの細い線で黒を取り入れると今っぽい部屋になります。その他にも、この空間ではダイニングテーブルの脚、壁面に飾ったアートのフレーム、床には黒のサイドテーブルに、黒の菱形を模様にしたベニワレン風ラグを敷き、一体感を演出しています。カジュアルでハンサムスタイルな空間にも黒は効果的です」

 

■注目のジャパンディスタイルにも黒をプラスして

「一昨年あたりから注目を集め始めている日本と北欧のスカンジナビアをミックスしたジャパンディスタイル。ラタンや木を使った天然素材のアイテムが多いなか、こちらのお部屋でもアクセントとして黒を入れて引き締めています。レンジフード、照明やファブクリックアート、ダイニングの椅子を黒にして、つながりのある空間にしました。また、オープンキッチンでは家電にも黒を取り入れています」

 

■ ギャラリーのようなリビング空間に

「この部屋で初めに決めたのが壁に飾った女性のポスターでした。こちらを起点として、青と赤を空間に反復しながら配置していきました。とてもカラフルな配色のインテリアではありますが、テーブルの脚やペンダントライトに黒を入れることにより、きりっとした印象になりました。この空間にテレビが入ってきたとしても違和感なく置くことができます。セラミック調のキッチン扉に黒の取っ手もこの空間にとてもよく似合っています」

 

プロがおすすめするブラック家電とインテリアアイテム7選

続いて、黒を使ったインテリアが初めての方でも取り入れやすいおすすめの家電やインテリアアイテムを荒井さんにピックアップしていただきました。

 

1.アンティーク調のデザインで空間にもなじみやすいドリップケトル

アイリスオーヤマ「ドリップケトル温度調節付ブラックIKE-C600T-B
オープン価格(実質価格1万1362円前後・税込)

 

おしゃれな黒色家電の豊富な品揃えに定評のあるアイリスオーヤマ。こちらのケトルは60℃から100℃まで5℃刻みで希望の温度設定にしてお湯を沸かすことができる優れもの。マットなブラックがお部屋にもしっくりと馴染みます。細いノズルはコーヒーや紅茶を入れる際の、量や速度を調整するのに適したデザインです。

 

「マットな質感で見た目にも落ち着いたデザインです。サイズも使いやすい大きさで、さっと注げるノズルも使いやすいのが特徴。ケトルは生活の中でもよく使い、目に入る頻度の高いキッチンアイテムですので、ぜひお気に入りを見つけてください」

 

2.シンプルにスタンダードな存在をコンセプトとするオーブンレンジ

象印マホービン「STAN.オーブンレンジ ES-SA26
オープン価格(実質価格7万3700円前後・税込)

 

マットな質感と余計な装飾のないシンプルなルックスが流行りのセラミック調のキッチンにもよく合います。独自の専用皿を使うことにより、食材を庫内で浮かせて調理する機能を搭載。それにより温めによる食材の温度のムラを抑えることができるようになりました。

 

「今の暮らしにちょうど良いシンプルなデザインを提案してくれる象印のSTAN.シリーズ。今回ご紹介したオーブンレンジのほかキッチンに置かれているさまざまな家電もシリーズとして揃っていて、一つずつ揃えていけば統一感が生まれ、センスよくまとまります」

 

3.もっともおいしいご飯をたくことを目指した技術が光るライスポット

バーミキュラ「バーミキュラライスポット/RP23Aシリーズ
オープン価格(実質価格9万6580円前後・税込)

 

高気密の鋳物ホーロー鍋と鍋に最適な火入れができる専用の熱源、ポットヒーターを合わせることにより、お米本来のおいしさを引き出した粒立ちの良いごはんが炊き上がります。炊飯機能のほか、食材を焼く、炒めることや火加減が難しい料理も美味しく作ることができます。キッチンカウンターに敢えて置いておきたくなる美しいデザインです。

 

「一般的な炊飯器のイメージを超える美しいデザインはカウンターの上におきたくなるほどです。鋳物ホーロー鍋はポットヒーターから取り外すことができるので、炊き上げたご飯や料理をそのまま食卓に並べることも可能。食卓を楽しく彩ってくれます」

 

4.ワイヤーのランプシェードがぬけ感を演出してくれるペンダントライト

APROZ「GEOEGIA」(FLYMEe)
3万800円(税込)

 

職人が1本1本溶接して作られたメイドインジャパンのランプシェード。点灯するとワイヤーの隙間から灯りが通り、空間に陰影を演出することができます。黒でありながらも抜け感のあるデザインなので、ダイニングテーブルの上でも圧迫感がないことが特徴です。

 

「日本製の高い品質とデザインがおすすめのアプロスの照明。照明自体、比較的目立つインテリアですので照明に黒を入れることで空間がグッと落ち着いた雰囲気になります。中の電球の色味を変えることで印象がまた違ってくるのも魅力的です」

 

5.華奢なアイアンの脚が空間に馴染むトレイテーブル

HAY「TRAY TABLE M」(FLYMEe)
3万3000円(税込)

 

天板部分は取り外すことができ、トレーとして使うことも可能に。縁があることにより小物の転落防止にもなります。ソファの前に置くことで部屋全体をすっきりと落ち着いた印象に。

 

「細い脚が今年らしいデザインで気に入っています。とてもシンプルなデザインですので、どんなお部屋にもマッチする頼もしいアイテムです。大小サイズの展開があるので、間取りや用途に合わせて組み合わせて使えばさらに便利です」

 

6.重たい印象にならないように黒を交えた配色のクッション

Artek「Rivi Cushion Cover(リヴィ クッションカバー)40×40」(FLYMEe)
5280円(税込)

 

商品名の「Rivi」とはフィンランド語で「列」や「行」を意味します。このファブリックはデザイナーが手描きにてラインを描いているため、規則性がありながらも温もりのあるデザイン。カラーバリエーションもあるので色の組み合わせも楽しめます。

 

「黒の分量をおさえた手書きのデザインが柔らかさを持ったテキスタイルです。クッションを選ぶ際には、触り心地や、素材、質感によっても雰囲気が変わってくるのでお部屋との相性を考えて選びたいですね」

 

7.気軽に取り入れたい細枠フレーム

MOEBE「フレーム ブラック」(アクタス)
5500円〜(税込)

 

アルミ製の細くシンプルなデザインが特徴のフレーム。背面が透明になっており、2枚のアクリル板で作品を挟み、フレームの4本の枠材の外にゴムバンドをかけて固定する構造。飾る場所によって表情が変わります。余白を活かしたり、押し花を挟んだりと想像力を掻き立てられるフレームです。

 

「フレームを構成するアイテムがとても少なく、不要なディテールを可能なかぎりなくしたデザインが気に入っています。壁にフレームを飾ることによって、空間に奥行きが生まれます。フレームは比較的取り入れやすいインテリアアイテムですのでトライしてみてください」

 

柔らかな色調で揃えていった部屋に何となく間延びした印象や物足りなさを感じているのであれば、空間に黒をプラスしてみてはいかがでしょうか。黒のポイント使いが、洗練された空間をつくります。まずはご紹介したような小物から取り入れてみましょう。

 

プロフィール

インテリアコーディネーター / 荒井詩万(あらいしま)

「CHIC INTERIOR PLANNING」代表。戸建住宅・マンションのインテリアコーディネート、リフォームなどを数多く手掛ける。住まう人に寄り添う心地よい空間づくりが人気。大妻女子大学短期大学部非常勤講師、町田ひろ子アカデミー講師。 NHK教育テレビ「資格☆はばたく」、テレビ東京「インテリア日和」、日本テレビ「スッキリ!」「ヒルナンデス!」などTV出演多数。
HP

 

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」