文房具に対して、文房具好きと一般ユーザーとの間には、さまざまな“認識の違い”というものがある。文房具好きならば家に備えていて当然と感じているものが、一般的な家庭にはなかったり。そういった類いのことだ。
そして以前、筆者が一般ユーザーに分類される知人のお宅にお邪魔して、「え! うそ! ないの?」と驚いたのが、ペン立てである。
「オフィスでは、ボールペンとかマーカーとかあれこれ使うからペン立てを使ってるけど、家庭内ではそんなにペンもないし。あるだけ邪魔だわ」ということらしい。なるほど、そのご意見も確かにごもっとも。当時はそう納得したのである。
とはいえ、昨今のテレワークの機会増加で、自宅でも文房具を使う機会が増えた人も多いはず。仕事がノートPCだけで完結するなら問題ないが、まだまだ紙の書類や資料を手にすることはあるだろう。
ただ、それなら家で仕事するスペースにも、ペン立てさえあればイイ……となるわけではないのが、難しいところだ。なにしろそこは、仕事をしていない時は普通のリビングテービルだったりコタツだったりする確率が非常に高い。つまり、ペン立てを常備すると邪魔になる率も高いわけで。
ということならやっぱり、“持ち運びができてペン立てにもなる自立型ペンケース”が便利だと思うのである。
そこで今回は、最近発売されたばかりの最新自立型ペンケースを2点紹介したい。
絶対に倒れない! 不動のシリコンペンケース「エアピタ」
クツワ初の自立型ペンケースとなる「エアピタ」は、ツルツルしたシリコン製のボディに巨大ながま口がついて、見た目は相当にファニーだ。しかし、使ってみると意外なほどに実用的なのである。
クツワ
エアピタ
1400円(税別)
件の巨大がま口には金属製のフレームが入っているので、カパッと開けると、そのままスムーズに大きく開口する。
ボディの半分程度が開く構造なので、中に入っている筆記具などが丸見え。中身の一覧性はペンケースの使いやすさに直結するが、これはまず申し分ないレベルと言えるだろう。開口部は、下端の高さが約95mmとそれなりに低いので、ペン型ハサミなどもだいたいのものは頭が出るはずだ。
ただし、他の自立型ペンケースでは定番機能になっている“消しゴムやふせん類を分けて収納できるポケット”がないのは、ちょっと残念なポイントと言える。
最大に開いたがま口のフタ側は、受け皿として機能するので、ここに一時的にストックしておきたい小物などを置いておくことが可能。さらにスマホを立てかけておくこともできるので、Zoom会議やビデオ通話にも使いやすい。シリコンゴムの摩擦とがま口の口金を使えば、縦置き・横置きどちらでも大丈夫だ。
そしてもっとも特徴的なのが、なにをどうやっても倒れない、という点。
自立型ペンケースは、機構上どうしてもタテに細長く、接地する面積が狭い。“狭い場所にも置ける”というのが最大のメリットなので仕方ないのだが、それは同時に、倒れやすいというデメリットも含んでしまう。
ペンケースの中身がザラザラとこぼれてしまうと、もうそれ以降テンションはダダ下がり。しかし「エアピタ」は、トンと置くだけで自動的に底面の吸盤が机にピタッとくっついて安定し、倒れないのだ。
この吸盤が本当にやたらと高性能で、一度ツルツルの面に吸着したら、逆さにしたって剥がれ落ちないレベル。これなら手が当たろうが、ノートPCのカドがゴン! と当たろうが(筆者がよくやるミス)、まず倒れることはないはず。試しに無理矢理倒そうとすると、先にペンケース本体がぐにゃっと曲がってしまった。
他社製の自立型ペンケースにも底面吸盤を備えたものはあるが、吸着強度は圧倒的にこちらの勝ちと言える。
そんな強力な吸盤、剥がすときはいったいどうするの? という話なのだが、正面底に見える「PUSH」と表記されたパーツを軽く押しつつ持ち上げれば、スルッと取れる仕組みになっている。こういった取り扱いのラクさも、実用的だと感じるポイントのひとつだ。