Vol.162-2
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はいよいよ日本でも発売となるMetaのAIグラスの話題。AIをグラス型デバイスで活用する利便性と使用に当たっての課題を探る。
今月の注目アイテム
Ray-Ban Meta Optics (Gen 2)
8万2500円(度付きレンズ別売)
度付きレンズの使用に最適化された「Ray-Ban Meta Optics Styles」。従来のモデルよりも軽量でスリムな形状が採用された。会話をリアルタイムで翻訳する機能が2026年夏より日本語、韓国語、中国語などを含む20言語に拡大される。

5月21日、Metaはアイウェア企業のエシロール・ルックスオティカと共同開発している「Ray-Ban Meta」をはじめとしたAIグラスを日本で発売した。アメリカなど他国に比べ2年ほど遅い市場投入となるが、連携して動作するAIである「Meta AI」の日本語化も行われ、日本でも問題なく使える環境が整った。
同時期に、アメリカではGoogleの開発者会議である「Google I/O 2026」が開催され、そこでは「インテリジェント・アイウェア」が発表された。グローバルでの発売は今秋を予定している。カメラとスピーカー、マイクを搭載し、iPhone・Androidと連携し、GoogleのAIであるGeminiを活用する。ハードウェアの開発はSamsungと提携して行われる。
名称こそ異なるが、MetaがAIグラスと呼ぶ製品とほぼ同じ性格のもので、市場では正面からぶつかることになりそうだ。
ほかにも、同じような「スマホ上のAIと連携するスマートグラス」を作っている企業は多い。実のところ、ハードウェアとして「カメラとマイクとスピーカーがついたメガネ状のもの」を作るだけなら、もはや難しくない。中国には他社から製造を請け負う事業者がいて、お願いすればスマートグラスは作れてしまう状況だ。
とはいえ、この種のスマートグラスは「メガネ状のもの」だけでは意味がない。カメラやイヤホンの代わりに使うことはできるが、品質の問題もある。
それ以上に大きいのは、AIをどう使うかという点だ。OpenAIなどを使って連携させることはできるが、それだけでは差別化が難しい。だからMetaもGoogleも、自社で作っているAIを軸に製品を組み立てている。
もう1つの大きな要素は「デザイン性」だ。メガネは日常的に身につけるもの。特にディスプレイを搭載しないスマートグラスは長時間使用を前提としている。だから自分の価値観に合ったものを選べるのが望ましい。
Metaが成功したのは、Ray-BanやOakleyといった著名なアイウェアブランドを傘下にもつ、エシロール・ルックスオティカと連携したからだ。たくさんのバリエーションのフレームから選べるようにしただけでなく、エシロール・ルックスオティカの販路を使って、いろいろな場所で販売した。結果として、「デザインが自分の好みに合うアイウェア」として売れたのが大きい。
それを見てか、Googleも「Gentle Monster」や「Warby Parker」といったブランドとコラボレーションして製品を作る。こうした連携ができるのは大手の強みであり、ある意味もっとも大きな差別化点であると言えそうだ。
では、肝心のAIはどうなるのだろうか? その点は次回解説することにしよう。
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