乗り物
2018/3/1 18:00

コンコルドの二の舞を回避する! 3Dプリンターを使ってコストを抑えた超音速旅客機を開発する「Boom Technology」

先日、スペースXがファルコン・ベビーの打ち上げに成功しました。スペースXはロケット打ち上げのコストを大幅に抑え、ロケットは高いものだという業界常識を打破した点が画期的です。

 

ジャンルは異なりますが、「超音速機は商業的に成功しない」という航空業界の常識を打破しそうな会社が、今回ご紹介するBoomTechnologyです(以下Boom)。驚くべきは、社員数が55人(2018年1月)というスタートアップ企業である点。設計技術の進化が航空業界への参入を容易にしている側面がありそうです。

 

同社には日本航空(JAL)が既に1000万ドルを投資しており、20機も予約注文していることから、かなり有望視されていることが伺えます。

 

米国ロサンゼルスで2月4~7日に開催されたSOLIDWORKS WORLD 2018では、BoomのCEO、Blake Scholl氏(写真下)が登壇しました。

20180228_kubo02

超音速旅客機のコンコルドの失敗は記憶に新しいです。巡航速度時速2146キロメートルのコンコルドは燃費効率の悪さ、高額な整備費で運航コストがかさみ、全席の料金は約2万ドルとファーストクラス以上の料金設定になってしまいました。そのため、搭乗できる乗客は富裕層に限られていました。

 

また、超音速で飛行する際のソニックブームという衝撃音があまりにもうるさいと問題視されていました。さらに、2000年に起きた墜落事故で不人気に拍車がかかり、2003年についに運航停止に。

 

コンコルドの失敗もあって航空業界では「超音速旅客機はコストがかさむし、商業的に成功しない」という考えが常識となりました。

20180228_kubo04

しかし、異業種出身の起業家Blake氏が航空業界に参入したことで、この常識が打破されそうなのです。Blake氏は高校時代より航空機を操縦してきた経験はあったそうですが、元々航空業界で働いていたわけではありません。

 

Blake氏はコンピューターサイエンスを大学で終了後、Amazonのマーケティングオートメーションシステムを開発したり、モバイルEコマースのスタートアップKima Labsを創業したりしてきました。

 

Blake氏はグルーポンにKima Labsを売却した後、次の起業計画を検討。そこで、旧態依然として変化のない航空業界と、コンコルド失敗後に目立ったプレイヤーがあまり存在しなかった超音速機の可能性に目を付け、新たに企業を立ち上げたのです。

 

元々コンコルドは50年前に設計されたのと同じ設計のままでした。この間、超音速飛行のための航空技術は進歩していましたが、それはコンコルドに導入されていなかったのです。

 

そこでBoomは最新の航空技術と設計技術を導入し、超音速旅客機を再設計したのです。

20180228_kubo05

同社は炭素繊維を使って機体を軽量化することで、燃費効率をコンコルドと比較して75%改善しました。

 

また、翼の形状もコンコルドと比べてシャープで、ソニックブームの発生を抑えるように設計されています。コンコルドはソニックブームによる騒音に悩まされましたが、Boomの場合は騒音を30分の1以下に抑えることができるそうです。

 

さらに、同社 は3Ⅾ‐CADソフトの「SolidWorks」を使って、すべての部品の設計を行い、3Ⅾプリンターで部品のプロトタイプを制作しています。最新の設計技術を導入することで、開発コストも抑えることができたのです。

 

Boomの超音速旅客機は座席55席を擁し、巡航速度はマッハ2.2(時速2335km)に達します。これによって、これまで11時間かかった東京―サンフランシスコ間のフライトが5時間半に短縮される見込み。運賃は5000ドルほどとビジネスクラスの料金設定になる見通しです。

 

Boomの3分の1スケールの試作機「XB-1」は2016年11月に公開されており、2018年以降の飛行を予定しています。フルスケールのBoomは2020年に飛行予定。最新技術を駆使して困難に挑むBoomが超音速旅客機の歴史を変えられるかどうか、世界が注目しています。

 

 

 

TAG
SHARE ON