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2021/2/4 6:00

72%の精度で政治的立場を予測する「顔認証技術」の可能性と危険性

スマートフォンやパソコンといったデバイスのロック解除から飛行機の搭乗手続きまで、顔認証技術は活用の場をどんどん広げています。最近では性格や感情までも読み取ることが可能になってきている模様。そんな顔認証技術の可能性と危険性を示唆する研究が最近、発表されました。

↑顔認証技術も2つの顔を持つ

 

アメリカのスタンフォード大学の研究チームは、顔認証技術の危険性について研究を行うため、人物の顔写真からその人の政治的立場を予測する技術について実験を行いました。

 

研究チームはアメリカ、カナダ、イギリスの3か国から合計108万5795人を対象に、デートサイトやFacebookに掲載されたプロフィール用顔写真を集め、さらに本人から政治的な志向、年齢、性別などの情報を収集。プロフィール写真からは人物の顔以外のパーツは排除し、オープンソースの顔認証アルゴリズムを使ってリベラル派か保守派か予測しました。

 

すると、アメリカのデートサイトのユーザー86万2770人の政治的志向は72%という確率で予測が当たりました。そのほかの結果はカナダのデートサイトの精度が68%、イギリスのデートサイトが67%、Facebookのサンプルが71%。その一方で人間の精度はわずか55%だったので、顔認証技術のほうが顔写真からより正確に政治的立場を予測することができると判明したわけです。

 

この結果は顔認証技術の驚異的な能力を示す反面、政治的立場といったプライベートな情報も比較的に高い確率で予測することが可能であり、プライバシーや言論の自由を脅かす危険性を伴っていることを示しています。もちろん顔認証技術にはメリットもあり、例えばアメリカでは指紋で身元を割り出せなかった事件でも顔認証技術によって容疑者の特定につながったケースがあります。遺伝子工学と同じように、顔認証技術も倫理的な側面からもっと慎重に議論されるべきでしょう。

 

【出典】Kosinski, M. (2021). Facial recognition technology can expose political orientation from naturalistic facial images. Scientific Reports 11, 100. https://doi.org/10.1038/s41598-020-79310-1