照明器具の「定番」となることを目指して2009年に発売され、20年近くにわたって人気を集め続けてきた、パナソニックEWの「MODIFY」(モディファイ)。改良・修正といった意味を持つこのシリーズは、既存の照明器具の問題をデザイン性と技術によって解決したことで、業界としても珍しい、ロングセラー製品となっている。
今年6月、そのMODIFYに新たなバリエーションが登場する。新色やつや加工を施したモデルが追加され、新たなサイズ展開、光源の高機能化も図られる。
そのラインナップ拡充に先駆け、パナソニックEWはMODIFYの魅力を体感できるインスタレーションイベント「MODIFY In Lights」を開催した。会場での展示の様子や、MODIFY自体とイベントの監修を手掛けた深澤直人氏によるメディア向けトークセッションの模様をリポートする。
独創的な展示で、MODIFYならではの魅力を体感
MODIFYの照明には、真球、半球、円錐台の3形状がある。イベントではそのうち、真球・半球の2つが主に展示された。真球の照明は、会場のメインスペースに用いられたほか、目線の高さに多灯吊りした展示がなされた。
この照明は球の上部に金属製の部品を用いていないため、より真球に近い形状に見えるのが大きな特徴のひとつだ。だが、照明が高い位置に吊られていると上部が見えず、その特徴を体感するのが難しい。そこで今回の展示では、あえて低い位置に照明を配置することで、長所がはっきりとわかるようになっていた。

またメインスペースの照明は、会場の窓に反射し、温かみのある雰囲気を醸し出していた。MODIFYは、天井から伸びるコードを可能な限り細くするよう設計しており、窓に映る真球の照明は、まるで宙に浮いているように映った。照明が放つ光はもちろん、反射まで含めて空間を演出できる点は、MODIFYならではの強みだ。

新色のアルミニウムグレーをまとった半球照明を多数並べる展示も見ることができた。この照明を下からのぞき込むと、乳白色のパネルで覆われていて内部の構造を見せないシンプルな外観となっている。そこに柔和な光も実現した。
展示では、数多くの半球照明が、間隔を詰めて均等に並べられていた。スペースの中央がほぼ均一に明るく見えた一方で、壁際ではやわらかな光のコントラストができているのが印象的だった。この光がもたらす柔和な雰囲気は、現在主流のダウンライトやシーリングライトでは実現できないものだ。

照明は、部屋を照らす明るさばかりに注目が集まりやすい。一方で、その光のもたらす効果によって、部屋の雰囲気を大きく変える存在でもある。イベントの展示では、MODIFYが明るさをもたらすことに加えて、上質な空間を演出する製品であることを十分に体感できた。

深澤氏が語る、MODIFYの「思想」
深澤氏によるメディア向けトークセッションでは、MODIFYの思想や、今年6月のラインナップ拡充の意図が語られた。深澤氏によれば、MODIFYは「従来の照明でできなかったことをやろう」として開発された製品だという。
真球も、半球も、円錐台も、古くからあった照明の形状だ。だが、たとえば真球では上部に金具が必要で完全な球体をつくることは不可能だったし、細いコードで吊ることもできなかった。深澤氏曰く「完全な真球照明は、ヨーロッパにもなかった」そうだ。
だがMODIFYでは、パナソニックの技術力によってそういった課題を乗り越えた。これこそ、MODIFYの言葉が意味する「改良・修正」の正体だ。

半球の照明は、空間に溶け込む光にこだわった。「照明の内部が見えてしまうと、外観が損なわれる。だからそこをパネルで覆った」と深澤氏は語る。照明の光で内部部品の影を落とさないよう、構造にも工夫を施している。影なく、やわらかく広がるその光について深澤氏は「砂浜に自分の足跡を残さず、写真を撮るようなもの」と表現した。
製品のカラーバリエーション増加は「いまの時代の定番には、この色が必要であったから」だ。半球照明の2つの新色がいずれもグレー系統なのは、近年増えたコンクリート打ちっぱなしの部屋や、インテリアのカラーリングの変化に対応するため。「我々が若いころはねずみ色と呼ばれ、いわゆるおじさん色だったが、いまではおしゃれな色になっている」と深澤氏は述べた。

深澤氏は「製品の選択肢が多いことは、消費者にとって決していいことではない」と語る。どれを選べばいいかわからないことを苦痛に感じる人もいるからだ。これを買えば間違いないという製品があれば、消費者は迷うこともない。それこそMODIFYが目指す定番である。
時代の流れによって、定番のあり方も変化する。今回のラインナップ拡充は、20年近い期間売られているMODIFYが、これからの時代でも定番であり続けるための策といえよう。
パナソニックがMODIFYを売り出す意義
トークセッションとは別に、深澤氏に話を聞く機会を得た。そこで語られたのは、MODIFYをパナソニックが売り出していることの意義だ。

「パナソニックは電気器具から創業した会社。いまでも照明器具のど真ん中を走っており、その企業からこの製品を出すことに意味がある。MODIFYは、世界のスタンダードになるものを作れたという自信がある。自分の歴史の中心に残るような製品なので、多くの人に届いてほしい」
さらに深澤氏は「住宅はもちろん、オフィス、カフェ、駅など、MODIFYを使える場所はこれから増えてくる」と語る。実際、刷新されたMODIFYのカタログは、数多の写真で、多種多様な使用シーンを表現している。それも合成などではなく、すべてロケ撮影することにこだわったという。そこにあるような上質な空間を、体験できる機会が今後増えていきそうだ。