消しゴムの性能は、主に「消字率」という数値で表されるのが一般的だ。これは、専用の測定機に消しゴムを取り付けて一定の速度と圧力で鉛筆の筆跡をこすり、どれくらい消えたかを測定したもので、国産の消しゴムは80%以上が基準とされている。
消しゴムの2大ブランドであるSEEDの「Radar」とトンボ鉛筆の「MONO消しゴム」はどちらも消字率97%以上で、さすが圧倒的な性能である。
定番製品がここまで高性能だと、新製品が性能面でこれに拮抗しても何もインパクトがない……というのは、消しゴム業界全体が抱える難題と言えるだろう。であれば、文字を消す以外の点で+αのアピールポイントが必要となる。
そこで、今回は消しゴムとしての性能の高さは当然として、さらにユニークな+αを備えた消しゴムの新製品2点を紹介したい。

TOUCH Radar
タブレット操作ができる変わりダネ
まず取り上げるのは、SEEDの「TOUCH Radar」。冒頭でも述べた国産トップブランド「Radar」シリーズの最新アイテムである。
Radarは細長い四角柱のスリムタイプと呼ばれるもので、細かい修正をしやすい形状が特徴だ。

そしてなにより、TOUCH Radarは消しゴムなのに“書く”ことができるのが最大のポイントである。
とはいっても紙に書けるわけではなく、タブレットやスマホ用の静電容量式タッチペンとして機能するというものだ。
使う際は、消しゴムの丸まっている先端を画面に対して垂直に押し当てるだけ。これで普通にタッチペンとして使うことができた。

タッチペン化の秘密
プラスチック消しゴムの素材であるPVC(塩化ビニル樹脂)やエラストマーは電気絶縁性があるため、本来であれば静電容量式タッチペンとして使うことはできない。
では、なぜタッチペンになるか? その秘密は四角柱のちょうど中央に芯のように入っている導電体にある(公表はされていないが、おそらくはエラストマーにカーボンを練り込んだ導電性エラストマー)。この導電性の芯を通して手からの静電気が画面に伝わり、タッチペンとして機能するという仕組みだと思われる。

小学生から高校生のタブレット学習ではタッチペンを使うことも多いが、そうすると鉛筆やシャープペンシルに加えて、もう1本ペンケースに入れて持ち歩くことになってしまう。
それならと既存の文房具にタッチペン機能を持たせるのはスマートな解決法と言えそうだ。
消しゴムとタッチペンの見事な統一
なによりアイデアとしてよくできているなと感じたのは、消しゴムとしてカドから使っていくと先端が尖っていくため、よりタッチペンとして使いやすくなるということ。
消しゴムの機能とタッチペンの機能が食い合うことなく、むしろタッチペンを育てる感覚で消しゴムを使えるというわけだ。


ちなみに、消しゴムとしての消字性能は、さすがにRadarブランドだけあって間違いないレベルだ。 消し味はやや柔らかめで、学童用の2B以上の濃い鉛筆にもしっかり対応し、実用的な消しゴムとして申し分ない。
エアイン 文字消~モジケシ
使うほどに“精神”がすり減る
もう1つ紹介したいのは、プラス「エアイン 文字消~モジケシ」。
プラスのエアインといえば、これもまた「MONO」「Radar」と並ぶ消しゴムのトップブランド。生地に多孔質セラミックスパウダーを内包することで、軽い消し味と抜群の消字性能を発揮する、人気の消しゴムだ。

ただ、この製品に関してなにより特徴的なのがそのフォルムだ。
正面から見ると、それぞれ「精神」「神経」「性格」「無駄」といった漢字2文字の言葉になっている。


ウケ狙い性能は抜群?
実はこれらの言葉にはそれぞれ消しゴム化する意味が含まれている。
例えば、精神の消しゴムを使って誤字を直していくと、次第に精神がすり減っていく、という感じだ。ほかにも、無駄を削ぎ落としたり、神経を尖らせたり、性格が丸くなったり……という具合である。
つまり、消しゴムが削れて減っていく様子がそのまま慣用句的表現になっているというわけ。「だからどうした?」と言われると困るが、消しゴムが文字になっているインパクトや、消しゴムとして使うほどに意味が出るというあたりは、他人に見せつつ説明すると、なかなかウケそうである。

文字として隙間がある分、消し味は通常のエアインよりもフニャッと柔らかいものになっているが、それでも消字性能はまったく不満なし。サラッと軽く筆跡を撫でるぐらいの感じできれいに消せて、とても使いやすい。
面白さ優先に見えて、実は実用性も高い優秀な消しゴムなのである。