グルメ
2023/10/23 20:15

意外と知らない「きのこ」の残念な食べ方・おいしい食べ方

秋の味覚「きのこ」は、ビタミンやミネラル、食物繊維など栄養たっぷり含まれる食材です。種類によって見た目、味、食感も多彩なので食べ飽きることもなく、使い勝手も抜群。そんな魅力満載のきのこですが、下ごしらえや調理の仕方を間違えると、うまみも栄養も逃がしてしまうことに……!

 

今回は、日本きのこ学会代議員、日本きのこマイスター協会の講師でもあり、ご長寿料理番組「キユーピー 3分クッキング」の番組制作ディレクターでもあった料理研究家の木田マリさんに、きのこの誤った食べ方や正しい調理方法について教えていただきました。

 

後編では、もっとも扱いやすい基本の3種をつかったそれぞれのレシピを教えていただきます。

 

ビタミン、ミネラル、食物繊維がたっぷり!

食べ応えがあり、低カロリー。ダイエットにも適した食材きのこには、どんな栄養があるのでしょうか?

 

「実は90%ほどが水分。ゆえに低カロリーです。しいたけ3個で約7kcalほど。糖質の代謝を助けるビタミンB₁や、糖質、脂質、タンパク質の代謝を助けるビタミンB₂、骨の成長促進を行うビタミンD、塩分を排出するカリウム、食物繊維などが含まれています。

近年では、免疫を整える効果のあるβ-グルカンという食物繊維が注目を集めています。古くから中国漢方の材料にもなり、薬効豊かとされてきたきのこですが、その健康効果は最新の科学で続々と解明されており、今後も注目です!

また、水溶性と不溶性食物繊維は腸内環境をよくし、老廃物を排出する効果があるため、美肌にも良いといわれています」(料理研究家・木田マリさん、以下同)

 

実は間違い! おいしさや栄養も失われてしまう
きのこの誤った食べ方 5選

知らないうちに、ついついやってしまっている“やらかしがち”な調理方法。実は、その方法は間違い。そんなNGな調理方法と正解を解説します。

NG → 使う前に洗う

OK → 風味が失われてしまうので、洗わなくてOK

「きのこは、洗う? 洗わない? とはよく聞かれる質問ですが、“洗わない”のが正解です。洗うことで傷みやすく、きのこらしい香りや風味が落ちてしまいます。一般に販売されているきのこは菌床のため、清潔な場所で栽培されています。天然物でほこりや泥がついている場合や、きのこに水気がある場合にはキッチンペーパーなどで拭くとよいでしょう。なめこは、軽くさっと水洗いする程度でOKです」

 

NG → 根元や軸をざっくり切って処分する

OK → ギリギリまで食べられる

「えのきたけは、菌床カップのふちのあとがついた線で切り落とす、しいたけは、軸を捨ててしまうなど、食べられる部分を捨ててしまう間違いがよくあります。えのきたけは、おがくずがついている部分をギリギリまで食べられますし、しいたけは、石づきを取り除けば、軸も食べられます。えのきたけのぎゅっと固まった部分は、手で割くと良いですね。実はしいたけの軸はうま味がとっても豊富。スープや煮込み料理の出汁として使うのも良いでしょう」

 

NG → きのこを動かしながら焼く

OK → 触らずじっくりと焼く

「きのこは水分が多いため、加熱時に動かしすぎると水分が出て水っぽくなり、うまみや栄養も抜けてしまいます。そのため、ソテーするときは、触らずじっくりと焼きましょう。動かすのは、裏返すときの1回程度でOK。焼くときは、火の通りにムラが出てしまうので重ねずに、フライパンに広げて焼きましょう」

 

NG → 袋のまま、まるごと冷凍保存する

OK → 食べやすい大きさにカットしたり、ほぐしたりして冷凍保存する

「最近ではよく知られるようになったきのこの冷凍保存ですが、買ってきた袋のまま、冷凍する方がいます。大きいままだと凍るまでに時間がかかり、食感が悪くなりますし、冷凍されたきのこをカットするのは至難の業。冷凍前に食べやすい大きさにカットしたり、ほぐしておくことが大切です。短時間で冷凍できると、食感や香りをキープしたまま、すぐに調理に取りかかれます」

 

正しい冷凍方法

1.使いやすいサイズにカットする

「小分けにして冷凍保存しましょう。使う料理が決まっていたら、その料理に合わせてカットすると良いでしょう。小分けにしておけば、みそ汁の具や炒め物など、そのまま鍋に投入できます」

2.素早く冷凍させる

「新鮮なうちに冷凍すれば鮮度が落ちにくく、長く保存できます。また、凍るまでの時間が短い方が霜や匂いがつきづらく、おいしさをキープできます。カットしたきのこを保存袋に入れ、熱伝導の良い金属製のバットに広げて冷凍する方法がおすすめです」

3. 凍ったまま使う

「冷凍きのこは凍った状態のまま、加熱するのが鉄則です。解凍すると、水分と一緒にうま味が抜けてしまい、食感も悪くなってしまいます。」

 

NG → 野菜室に保存する

OK → 鮮度を保つには、野菜室より温度の低い冷蔵室がベター

「きのこを保存するには、野菜室より温度の低い冷蔵室が適しています。水分を多く含むきのこですが、実は水けが苦手。包装パッケージに入れたままだと水滴がつくため、ペーパーに包むとよいでしょう」

 

保存方法に、プラスワン!

きのこは、新鮮なうちに食べきるのが一番。でもたくさん買った時に、もうひとつのおすすめの保存方法が天日干しです。

「しいたけを太陽の光に当てることで、ビタミンD量が増えるという実験結果があります。30分でも天日干すだけで、ビタミンDも増えはじめ、うまみもアップ、水分が抜け食感も変わり、味の染みこみも良くなります。しいたけをザル等に重ならないように広げ、ベランダや軒先など、日光がよく当たる場所に置きましょう。思いついたときにすぐ始められるので、気軽に干してみてください。30分~2時間ほど、干せると良いでしょう」

 

後編では、もっとも扱いやすい基本の3種をつかったそれぞれのレシピを教えていただきます。

 

Profile

料理研究家 / 木田マリ

テレビ料理番組「キューピー3分クッキング」のディレクターを経て、料理研究家・フードコーディネーターに転身。女子栄養大学非常勤講師。さまざまなジャンルの料理のレパートリーを持つ。なかでもきのこ料理に詳しく、日本きのこ学会代議員、日本きのこマイスター協会の講師としても活躍している。フードコーディネーターとして、テレビ、雑誌、広告などにも広く関わっている。

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」