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2019/1/25 18:00

【ガチ語り】芸能界をひとつの武器で渡り歩く! ダンディ坂野&スギちゃんの“一本槍”芸人論

新しい槍を探すより、“一本槍”にサビ止めスプレーをかけろ

──そうやってお二人とも“一本槍”を手に入れました。今に至るまで、どのようにこの槍を磨いてきたのでしょう。

 

ダンディ:2004、5年は「次のギャグ、何かないんですか?」ってよく聞かれたんです。2002、3年に三瓶くんが出て、テツ&トモさんが出て、僕が出て、はなわくんが出た。こういう流れの最初のほうだったので、「新しいギャグをやってくださいよ」って言われて。でも、やったとしてもマスコミではあまり取り上げられません。なおかつ、それだけ流行ったもののすぐ後に、面白いものなんて作れるわけないんです。だから、その時期はちょっと嫌でした。

 

でも、2005年になると髭男爵やヒロシくんが出てきて、みんな同じ目に遭っていたんですね。それを見ていたら、「これはしょうがないものなんだ」とわかってきて。それならこっちはこっちで楽しくやろうと思い、そこからはずっと“一本槍”でやり続けています。

 

──「ゲッツ!」で行こうという覚悟ができたのでしょうか。

 

ダンディ:器用じゃないので、ほかのことはできませんから。それに「ゲッツ!」をやっているのが大好きなんですよ。大好きなことをやって売れたのでいいかな、と。あとは歌って踊りたいですね。

 

──と言いますと?

 

ダンディ:歌って踊って、いつかはコンサートをやりたい。そういう野望があるんです。

 

 

スギちゃん:ずっとトシちゃんみたいになりたいんだもんね。昔からやりたいことの本質が変わってないから、ドシッとしてるんでしょう。俺たち後輩はそこまでのドッシリ感を持てないから、フラフラしちゃうところはありますね。

 

──まだダンディさんの域には達していない?

 

スギちゃん:いや、もう達しましたけどね!

 

ダンディ:すごいねー(笑)。でもサンミュージックって、自分のキャラを大事にする人が多い事務所なんです。「なにか面白いキャラを確立すればいけるぞ」って子ばっかり集まってくる。

 

──そういう後輩の方々に、お二人が助言することはありますか?

 

ダンディ:助言ねぇ……。我々の人生、ラッキーが9割ですから。

 

スギちゃん:俺なんて10割ですよ(笑)。助言はできないけど、「絶対にチャンスは訪れる」とは言いますね。「続けていたらチャンスは来る。人生に三度来る」「三度のうちに結果を出さないとヤバいよ」って。

 

ダンディ:俺は1回だったよ(笑)。

 

スギちゃん:私は3度目のチャンスをつかみましたね。

 

──1、2回目は?

 

スギちゃん:1回目は、メカドッグというコンビ時代に出演した『雷波少年』(1998年~2002年に放送されたバラエティ番組。『進ぬ!電波少年』から派生)のゴミ生活の旅。『電波少年』『雷波少年』で旅から帰って来たら、フィーチャーされるじゃないですか。でも俺たちが旅に出たのは遅すぎて、帰ってきてもほとんど仕事がなくて。チャンスを逃してしまいました。

 

2回目はテレビ東京の深夜番組『イツザイ』(2007年~2009年)。「おっぱい先生」として人気が出かけたんですよ。みんなからチヤホヤされて、それでもダメだった。あと1回しかないので焦りましたね、「これがダメだったら俺はもう終わりだ」って。それでつかんだチャンスが、「ワイルドだろぉ?」だったんです。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の「山-1グランプリ」に出て、たまたま復活した『爆笑レッドカーペット』に出て、そこから『R-1ぐらんぷり』に出場したのがよかったんでしょうね。

 

ダンディ:共同通信杯に勝って、次の大きいレースに勝って、G1レースに勝つ、みたいな。

 

スギちゃん:『R-1』がなかったら、もう1番組ぐらい出て、それで終わってたと思いますよ。『R-1』前はほとんど仕事の電話なんてありませんでしたから。でも『R-1』準優勝って肩書ができた瞬間、仕事の電話がバンバンかかってきました。(事務所のスタッフに向かって)そうですよね?

 

スタッフ:(無言)

 

スギちゃん:……違ったみたいです。

 

ダンディ:でも、ブレイクする時は波が来るよね。

 

スギちゃん:後輩に助言するとしたら「波が来たら乗れ」しかないですね。それでダメだったら諦めたほうがいい。また一からやるしかないんです。

 

ダンディ:ほんと、偶然の積み重ねですよ。

 

スギちゃん:こうやって長くやらせてもらっているのも、武器を持ってずっと同じことやっているから。そうすると、周りの人たちが「あの“一本槍”、どう使おうか」って考えてくれるんです。俺たちは必死に槍を突いてるわけじゃなく、ただ槍を持って立ってるだけ(笑)。

 

ダンディ:武器を変えないことで、槍を使ってもらいやすいようにしてるんです。

 

スギちゃん:あと、俺らは人よりちょっと長い槍を持ってるんですよ。だから「誰を使おう」って周りを見回した時、「なんか長い槍持ってるヤツいるな」となる(笑)。

 

ダンディ:長いから目立つんだね。

 

スギちゃん:それぐらいのレベルですね、多分。

 

──あえて武器を変えずにいると、周りが使いどころを考えてくれるんですね。

 

スギちゃん:3、4本槍を持ってたら鬱陶しいでしょう? 「あいつなんかいろんなもん推してくるな」って。

 

ダンディ:「この人はコレ!」ってわかりやすいほうがいいよね。

 

スギちゃん:それを磨くか磨かないかの違いだよね。新しい槍を持つんじゃなくて、サビ止めのスプレーをかけることが大事。

 

ダンディ:メンテナンスは大事だね。

 

──では今後も、“一本槍”を磨き続けていくのでしょうか。

 

スギちゃん:長さや色は変えるかもしれないけれど、それ以外は無理ですもん。違う槍を試してみようかとなっても、「それ槍?」っていう短い武器しかできなくて。結局、使い慣れた大きい槍を持っちゃう(笑)。

 

ダンディ:やっぱり手に馴染むんだよね。

 

↑槍の長さを表現する2人

 

──お二人は、お手本にしている“一本槍”の芸人さんはいますか?

 

ダンディ:お手本とは違うかもしれないけれど、ルー大柴さんが大好きです。昔から海パン一丁でロケに出て、「海パン一丁でクネクネクネクネ。レッツトゥギャザー」ってやってたんですよ。会えばいまだに「ダンディちゃん、久しぶりだね。トゥギャザーしてるの?」って言ってくる。いつ会っても、あの人はルー大柴さんなんです。とても素敵だなと思います。

 

スギちゃん:俺はダンディさんを見てますね。安心感があるんですよ。ダンディさんという先輩がいなくて“一本槍”のまま戦ってたら、果たしてこんな心理状態でいられるか。

 

ダンディ:「あいつがまだ死んでないから、俺も大丈夫」ってこと(笑)?

 

スギちゃん:「ワイルド一本でやり続けるぞ」って意識をこんなに持ち続けていられるだろうかと思いますね。このおじさんを見てるから、不安もあるけど安心感を持てているのかもしれないです。

 

ダンディ:おい、「おじさん」って言ったぞ。

 

スギちゃん:でも、ダンディさんから続く流れはこの辺でストップしてほしいですね。希少価値の高いものにしたいので。逆に、新しい人たちが出てきたらそこに俺が乗っかりたい。

 

ダンディ:あなた、言ってることめちゃめちゃじゃない(笑)。

 

──結局、人に乗っかりたいという結論に。

 

スギちゃん:自分がないんです。いまだに人の意見を聞きますから。それが俺の“一本槍”です!

 

二人が今「ゲッツ!」したい「ワイルド」なモノは?

──では、お話を変えて。「Get Navi」はモノを扱う雑誌ですが、今お二人が「ゲッツ!」したいモノ、「ワイルド」だと思うモノはありますか?

 

ダンディ:火鍋に使うような、仕切りのある鍋をゲッツしたいですね。僕は辛いのが好きなんですけど、家族は食べられません。今は手鍋で僕の分だけ辛くしてもらってますけど、辛いのと辛くないのを仕切れる鍋が欲しいな、と。仕切りが高いほうが辛い汁が飛ばないらしくて、そういうのを探してるんです。スギちゃんだったら「両方火鍋にしちゃうぞ。ワイルドだろぉ?」って言うかもしれないけど(笑)。

 

スギちゃん:俺がリアルに欲しいのはチェーンソーかな。

 

ダンディ:ワイルドでいいじゃない。

 

スギちゃん:『テレビチャンピオン』のロケで、チェンソーアートを目の前で見たんですよ。それがかっこよくて、家でも動画を見るようになって。丸太1本をチェンソーで切って、パパッと椅子とか作っちゃうんですよ。しかも、僕は愛知県出身なんですけど、チェンソーアートも愛知発祥らしくて。

 

ダンディ:チェンソーアートをやるとなると丸太も必要だね。

 

スギちゃん:そう。あとは土地もね(笑)。

 

 

──最後に『モンスターストライク』と『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』のコラボのお話を。TM NETWORKの名曲『Get Wild』に登場されていますが。

 

スギちゃん:これも“一本槍”だから来たコラボですからね。「ワイルド」って言わずに2年経ったとしなさいよ。絶対このコラボの話は来なかったでしょう?

 

ダンディ:言い続けてたから、“一本槍”が目についたんでしょうね。

 

──コラボCMをご覧になった感想は?

 

ダンディ:素晴らしい技術ですよね。感動しました!

 

スギちゃん:普通「合成したな」って感じが出ますよね? でも、今回の映像は合成感が全然ない。

 

ダンディ:風合いが一緒ですよね。Twitterでも「パッと見た時、黄色いスーツを着た人が誰だかわからなかった」って書かれてました。それぐらい溶け込んでいたんです。

 

スギちゃん:カラオケで「Get Wild」を歌ってた世代ですからね。当時の自分は、まさかこんなコラボに参加できるとは思えずに歌ってましたから。本当に“一本鎗”を続けてよかった!

 

長くて強い“一本槍”をブレずに使い続けたからこそ、今のポジションを勝ち取ったお二人。「チャンスは人生に三度来る」「使われやすいよう“一本槍”を磨き続ける」など、お笑い芸人以外にも役立ちそうな名言も。『モンスト』コラボを遊びながら、みなさんも自分にとっての“一本槍”を考えてみては?

 

 

『モンスターストライク』×『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』特設サイトはこちら!

 

撮影/我妻慶一

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