走行距離が読める商用車こそEV向き!「ワーキングEV」が増えている理由

ink_pen 2026/10/24
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走行距離が読める商用車こそEV向き!「ワーキングEV」が増えている理由
GetNavi編集部
げっとなびへんしゅうぶ
GetNavi編集部

1999年創刊。「新しくていいモノ」を吟味して取り上げる月刊の新製品情報誌。生活家電とIT・デジタルガジェットを中心に、モビリティ・雑貨日用品・グルメ・お酒まで、モノ好きの「欲しい!」に結論を出す、がコンセプト。

キーワードからEVの現在、そしてこれからを見通す「EV事典」。今回は、EVの特性をうまく活用するワーキングEVの話題。EVは航続距離や充電時間といった制約があるが、走行距離がほぼ一定のワーキングEVは充電管理もしやすく、増加傾向にあるのだ。

走行距離が明確な商用車はEV導入のハードルが低い

昨今、小型商用車のEV普及率が急速に上がっている。乗用車目線だと航続距離や充電時間といった面がクローズアップされがちだが、それは長距離のドライブも考慮されるから。一方、商用車は集配や回収と用途が明確で、その走行ルートも多くが固定されている。つまり1回での走行距離が予想しやすい。

↑1947年に東京電気自動車(のちのプリンス自動車)が手がけた「たま」。GHQの統制下でのガソリン不足を背景に誕生。トラックもラインナップしEV商用車の元祖的存在だ。

日本自動車工業会の2024年の調査によると、小型トラック(軽貨物含む)の1日あたりの走行距離は、多くても200km程度という。この距離ならばEVでも十分走行できる数値であり、かつ配送などが終われば充電時間に当てられ、クルマ自体の稼働時間を減らさずに済む。そして充電場所としての営業所や車両置き場に充電器を設置しておくことで充電管理もしやすくなり、業務の途中で、充電のためにストップする必要もないのだ。

またクルマの用途上、毎日使われるため、CO2の排出がゼロのEVは環境に貢献できることも大きい。加えてEVトラックの導入は企業イメージの向上、ドライバーの運転負担軽減、待機停車時の騒音問題改善にも効果が期待される。さらに車両や充電設備の初期投資さえすれば、エンジンオイルなどの消耗品が少なくなるので、長いスパンで考えると維持管理費の軽減も望めるのだ。

EVらしい走りは現場でも有効

実際の現場でも効果は大きい。乗用車同様にバッテリー位置は荷台の下になるため、荷物を載せたときでも重心は低く、安定した走行が可能。そしてモーター駆動特有のトルクフルな性格は積載時でもスムーズに加速できて、登り坂での失速もなくなるなど強みが大きい。

↑ヤマト運輸が業界に先駆けて導入した、ドイツポストDHL傘下のストリートスクーター製の輸入車で、都市圏に配属。現在はほぼ退役し、その座を三菱ふそうのe-Canterが担う。

もちろん住宅街では一般的なエンジン搭載車に対して圧倒的に静かで、メカニカルな騒音は皆無。配送などでゴーストップを繰り返す商用車こそEVのメリットが光る。

しかしデメリット面もある。それが最大積載量だ。一充電での航続距離を伸ばそうとすると多くのバッテリーが必要になる。バッテリーを多く積むと車重が増え、最大積載量が減ってしまう。つまり荷物が少なくなってしまう。だが、バッテリーの技術がさらに向上していけば、決められた休憩時間を充電に当てられるため、中・長距離の物流にも期待されている。

一方、定期ルート運行ならばバスにも当てはまる。最近見る機会が増えてきたEVバスも前述のような理由から導入が加速中だ。メーカーは中国のBYD製のものが多く、その国内シェアは約7割と言われている。一方、国内メーカーではいすゞも大型路線バスの「エルガ」にEV仕様をラインナップ。こちらは屋外で電気を使えるV2Lに対応し、非常時にも使えるバスになっている。日野は小型コミュニティバスの「ポンチョ」にEV仕様を導入する。

↑立山黒部アルペンルートは同所観光の代名詞的存在のトロリーバスが走っていた。しかし修繕パーツの入手が難しくなり、2025年よりBYDのEVバスに置き換えられた。

EVバスで見逃せないのは、モビリティショーなどでトヨタが展示していた「e-パレット」。2025年には発売が開始されている。EVも用途を見極めれば、ハードな商用ユースにも十分使える時代だ。

ディーゼル車と共通のプラットフォームを採用

いすゞ
エルフ EV
リース販売のみ

17年ぶりにフルモデルチェンジした小型トラック、エルフのEVモデル。積載量は3.5t未満から7.5tまで幅広く、配送用途だけでなく高所作業車、塵芥収集など幅広い用途に対応できる。用途に応じて電池容量も選択可能だ。

SPEC【バン・標準タイプ】●ホイールベース:2500mm●最大積載量:2000kg●バッテリーパック個数:2●総電力量:44kWh●最高出力:110kW●最大トルク:370Nm

↑モーターは車両中央に搭載され、ディーゼルエンジン車と変わらない出力を誇る。ディーゼルユニットよりも発進時のトルクがある分、運転がしやすく積載時の走行性能も向上。
↑EV特有の操作を極力減らし、従来のディーゼル車から乗り換えても違和感のないインパネ。そのこだわりは始動時にキーを回すように操作する、スタータースイッチにまで及ぶ。

1日の業務で安心な257kmの航続距離を実現

ダイハツ
e-アトレー
346万5000円〜

ダイハツとしては初のEVで、ベース車両は車名の通り。アトレーは商用、乗用兼用モデルといった立ち位置になる。貨物用としても乗用としても快適志向のリアサスは専用設計という手の込んだもので、航続距離は258km。

SPEC【RS】●全長×全幅×全高:3395×1475×1890mm●車両重量:1300kg●総電力量:160Ah●最高出力:47kW●最大トルク:126Nm●一充電走行距離:257km(WLTCモード)

↑搭載されるのは薄型の大容量バッテリー。床面をフラットにでき、荷物の積み下ろしがしやすいのも特徴。バッテリーはシンプルな空冷式。充電は急速と普通の両方に対応する。

店舗やサービス空間としても使えるマルチユースなEV

トヨタ
e-Palette
受注生産

イベントなどで注目の次世代モビリティ。“マルチな使い方の提供”がコンセプトで、バスや移動販売車、エンターテインメント空間として活躍が期待される。2027年にはレベル4に準拠した自動運転システム搭載を目指す。

SPEC●全長×全幅×全高:4950×2080×2650mm●車両重量:2950kg●定員:17人●最高出力:150Kw●最大トルク:266Nm

↑低床と大開口のスライドドアでバリアフリー化を実現した車内は、運転席合わせて定員は17人。最高時速80km、一充電航続距離250kmと実用的で、国の補助金対象車でもある。

※「GetNavi」2026年6月号に掲載された記事を再編集したものです。
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