おしゃれなレストランのデザートは、ケーキ一つであっても、色とりどりのフルーツやソースが美しく盛り付けられて出てくるもの。でも最近のニューヨークでは、それなりの店であっても、シンプルなアイスクリームやソフトクリームがデザートメニューにあるというのです。
例えば、ニューヨークのある中東料理店で最近人気になっているというのが、ヘーゼルナッツやザクロをトッピングしたアイスクリーム。ガラスの皿にうず巻き状にアイスクリームを盛り付け、上からトッピングをのせただけのシンプルなメニューですが、これがウケているのだとか。
その背景にあるのは、米国の物価高。食材も人件費も上がるなか、レストランの料理価格だって、当然のようにどんどん上がっています。ただ、デザートは“食事のオプション”のようなもの。あまりにも価格が高ければ、客は食事だけ食べて、デザートは注文せず帰ってしまうかもしれません。上述の中東料理店のエグゼクティブシェフは「ペストリー部門を持つことは、以前のレストランほど儲からない」と語っています。
そこで注目されているのが、シンプルなアイスクリームやソフトクリームの存在。パティシエを雇って、きれいに皿に盛り付ける必要がなく、ホールのスタッフでもアイスクリームの機械から自分で盛り付けられるため、スタッフの手間がかかりません。そのため、価格を抑えられて、店側にとっても客側にとってもうれしい結果になるのです。
この傾向は、ニューヨークだけでなく、全米各地に広がっているとのこと。ただし、店側もリカー入りのアイスや、トリュフの香りのアイスなど、味などに店のこだわりや工夫を施しているようです。
アイスクリームは世代を問わず、多くの人に愛されるデザート。高いお金を払っておしゃれなデザートを注文するより、「安くてシンプルなアイスがいい」と思うのは、当然のことなのかもしれません。
【主な参考記事】
New York Post. NYC’s top restaurants dishing out fancy soft-serve ice cream as a cost-cutting dessert option. April 30 2024