Vol.162-4
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はいよいよ日本でも発売となるMetaのAIグラスの話題。AIをグラス型デバイスで活用する利便性と使用に当たっての課題を探る。
今月の注目アイテム
Ray-Ban Meta Optics (Gen 2)
8万2500円(度付きレンズ別売)
度付きレンズの使用に最適化された「Ray-Ban Meta Optics Styles」。従来のモデルよりも軽量でスリムな形状が採用された。会話をリアルタイムで翻訳する機能が2026年夏より日本語、韓国語、中国語などを含む20言語に拡大される。

現在のスマートグラスの中心は、カメラとスピーカー、マイクをメガネに搭載した「ディスプレイなし」のものだ。
いわゆるヘッドマウント・ディスプレイはスマートグラスとは別のものとして扱うべきだし、ケーブルでスマートフォンやPCをつなぐ「XREAL One Pro」のような製品は「サングラス型ディスプレイ」として扱うもので、やはり、スマートグラスとは違うものだ。
常にメガネとしてかけ続けられるものが、「AIと連携するスマートグラス」と言うべきだろう。
そうすると、冒頭で述べたように、現状の主力商品は「ディスプレイなし」になる。小型で消費電力が低いディスプレイがまだ少ないことや、その中でどう表示すべきかの方法論もまだでき上がっていないことなどが理由だ。
Metaは2025年秋にアメリカで「Meta Ray-Ban Display」を発売した。しかし生産数量を増やせず、現状ではアメリカ以外への発売には漕ぎ着けていない。表示方法や機能などに改善の余地があるようにも思える。
Googleも2025年5月のGoogle I/Oでディスプレイ付きスマートグラスをデモしているものの、現状では“製品化前のプロトタイプ”という状況で、発売はディスプレイなしのモデルが先になる。
他方、中国系のEven RealitiesやRokid、日本のJig.jpとCelidなどが手がけているのが、緑色のみの「マイクロLED」を使ったスマートグラスだ。カラーではなく解像度も低いが、長時間動作して発熱も少なく、現時点でも実用性が担保されている。
翻訳や写真撮影にしても、ディスプレイがあったほうが実用的だ。ただし、現状では緑色のマイクロLEDにしてもカラーにしても、価格と消費電力の問題がついて回る。また、搭載しても視界いっぱいに画像を出すのは難しい。視野のごく一部に映像が重なる感覚になる。
ドルで言えば1000ドル、日本円では16万円を超えるような高価なデバイスは売れにくい。通訳や翻訳など、仕事上必要な人に向けた機能を中心としたデバイスとしての販売がまず主軸になるだろう。
一般向けの製品としては、まずディスプレイなしのものが普及し、ディスプレイありは当面、マイクロLEDタイプが主流だろう。そして、カラータイプは数年かけて世に出ていくことになる。
さらに、その頃にはディスプレイ技術が進化しているので、いままではヘッドマウント・ディスプレイ型だったXR機器も、別のデザインで作ることが可能になるだろう。その時期は2028年から2029年と考えられるので、スマートグラスとXR機器は交差して進化していく時代がやってくるだろう。
週刊GetNavi、バックナンバーはこちら