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2017/3/10 19:30

バーボンの時代がやってきた!? 角ハイで文化をつくったサントリーがビームハイボールを激推しする理由

2016年春からサントリーが積極展開している「ビームハイボール」。これは世界一の売上を誇るバーボン「ジムビーム」を使ったハイボールのことで、実際に店などで飲んだ人も多いように絶好調です。この動きはより強めていくとのことですが、その背景や狙いを探るべくサントリーの戦略をひも解いていきましょう!

 

ジムビーム躍進の主役は意外にも若者だった!?

まずは基本的なおさらいから。角ハイボールのベースとなる角瓶は、モルトウイスキーとグレーンウイスキーがバランスよくブレンドしたジャパニーズウイスキー。一方でジムビームは、穀物の原料にトウモロコシを51%以上使うなど、アメリカの厳しい基準で認められたバーボンウイスキー(アメリカンウイスキーの一部)です。でも、サントリーにはすでに定番の角ハイボールがあるにも関わらず、なぜいまになってビームハイボールなのでしょうか?

 

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大きな理由として、いま世界的にバーボン市場が伸びているからです。市場規模は2005年の2000万ケースに比べ、2015年は2800万ケースと1.4倍。傾向として、2000年以降に成人や社会人となった若者が、仲間と一緒に楽しみながら飲むシーンが増えているとか。また、一方ではプレミアム礼賛のトレンドがバーボンにもあり、特にクラフトバーボンと呼ばれるストーリー性のあるブランドが台頭してきているのです。

 

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日本でも2008年ごろからバーボン市場が活性化。ジムビームに関しては、2013年から勢いよく伸びていまに至ります。しかも、2016年は国内バーボンの半分以上をジムビームがシェアするまでに! そう、つまりこの勢いをより加速させたいというのがサントリーの狙いでもあります。

 

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しかも、このトレンドで注目すべきは20代のバーボン経験値が大きく上昇していること。また、その主な飲用シーンはにぎやかな料飲店で楽しむ外飲みだとか。昨年からのビームハイボール戦略は、若者が利用しやすい大衆酒場や居酒屋をメインターゲットに展開されてきましたが、まさに功を奏したといえます。

 

そして、いまの若者は数年後の40~50代。今後の酒のメインの消費者になりうるということです。酒を覚え、慣れていく時期にバーボンに触れているということは、長期的に見ても未来が明るいといえるでしょう。

 

CM内のローラが笑顔でメンチカツを食べるワケ

ということで、これまで以上にジムビームはハイボールで気軽に。なおかつ、仲間と一緒にワイワイガヤガヤした店で楽しむシーンを狙ったブランディングが進められていくようです。その最たる例はCMにもありました。

 ↑これから放送される「メンチカツ編」のひとコマ
↑これから放送される「メンチカツ編」のひとコマ

 

そう、最近のジムビームのCMといえばローラさん。起用されてから約2年が経ちますが、最初とは少し世界観が違ってきているのをご存知でしょうか? 以前はホワイトやシルバーをベースに、クールさやスタイリッシュさを前面に押し出していましたが、最近のCMはカジュアルで親しみやすい。テーマカラーはレッド系で、元気でキュートなローラさんの笑顔も印象的です。

 

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CMのロケーションは賑やかな料飲店で、しかも手にはメンチカツが。そして2月16日~25日(以後も継続的にイベントを実施予定)にはビームハイボールボールと限定セットメニューを楽しめる「渋谷ビームハイボールボール横丁」がオープンしました。その開会式にはローラさん自身が登場するなど、フルスロットルでビームハイボール推しなのです。

 

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最近の外食トレンドのひとつにフードコートの居酒屋版のような「横丁」がありますが、ビームハイボールのターゲットとしてはまさにこれ。サントリーとしては「ビームハイボール酒場」を2017年末に前年比2倍の1500店、取扱店も前年比175%増しの7万店に拡大する目標とか。

 

なお、なかには角ハイボールが既存にありながら、ビームハイボールを導入している店もあるそう。そこではシェアを奪い合っているのではという懸念がありますが、実際のところ角ハイボールのオーダー数は変わらず、ビームハイボールはプラスで飲まれているケースが多いそうです。

 

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この背景には味の違いもあるのかもしれません。角瓶は厚みのあるコクとドライな後口が特徴ですが、ビームハイボールは角瓶に比べてバーボン特有の甘い香りや後味のキレがあるため、ソースで食べる揚げ物やタレ系の料理にはより合うような気がします。つまりはメンチカツといったフライや焼鳥などですね。

 

角瓶とソーダでハイボールの文化を日本に根付かせたといえる、サントリーの新たな一手となるビームハイボール。ということで、この動きからはしばらく目が離せません。プレミアムやクラフト系のバーボンの動向とともに、注目していきたいと思います!