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2021/11/22 20:00

ヨーロッパ主導で始まり新世代によって変貌を遂げる「南アフリカワイン」の歴史と注目ワイナリー

2. ケープタウン
− 南アフリカの都市型ワイナリー −

「優れたワインはテーブルマウンテンの見える畑から」という格言があるほどに、南アフリカのワインのほとんどはウエスタン・ケープ州のブドウから造られます。ケープタウンの中心にそびえ立つテーブルマウンテンの広大な敷地は、世界一花の種類が豊富な南アフリカの大自然の象徴であり、自然保護区として豊かな植物多様性を残していることから、世界遺産に登録されています。ケープタウンは南アフリカの初期から発展した都市で、前述の通り、現在は3つある首都のひとつ。規模としては南アフリカ第2の都市ですが、そういった豊かな自然環境に囲まれたワイン産業の中心としても位置付けることができるのです。

 

そんなケープタウンのワインに関する近年のトピックに、“アーバン・ワイナリー”の増加が挙げられます。アーバン・ワイナリーとは、畑と隣接せず都市部に醸造所を構え、持ち込んだブドウからワインを造る都市型ワイナリーのこと。21世紀に入りアメリカで生まれたといわれるこのスタイルは世界中に広がり、日本でも東京や大阪に近年続々と設立されて、話題を集めています。アーバン・ワイナリーは、都市部は交通の便がいいので輸送がしやすい、情報発信が容易である、人が集まりやすいなどのメリットのほか、何より多額の建設費を抑え小規模での開業が可能であるということが挙げられ、意欲ある若手が参入しやすい形態なのです。

 

ダンカン・サヴェージ氏は、ケープ・ポイント・ヴィンヤーズの醸造責任者として評価を高めたのち、ケープタウンの街中の倉庫街に醸造所を設け、自身のワイナリーを立ち上げました。この四半世紀に起きた南アフリカワインの変化の大きな要因は、1994年にアパルトヘイトと孤立主義政策が撤廃された後、若いワイン生産者が世界中のワインを知り、各地の技術を吸収し、自由なワイン造りを始めたことが第一に挙げられます。アーバン・ワイナリーは、そういった意欲ある新進の造り手が自身の思いを表現する手段として、これからも世界中で広まっていくことでしょう。

 

Savege(サヴェージ)
「Savage Red Syrah2017(サヴェージ・レッド・シラー2017)」
4800円
輸入元=ラフィネ

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