【西田宗千佳連載】iPhone Duoは想像以上に「アップルらしい」製品

ink_pen 2026/11/1
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【西田宗千佳連載】iPhone Duoは想像以上に「アップルらしい」製品
西田宗千佳
にしだむねちか
西田宗千佳

モバイル機器、PC、家電などに精通するフリージャーナリスト。取材記事を雑誌や新聞などに寄稿するほか、テレビ番組などの監修も手がける。ツイッターアカウントは@mnishi41。

Vol.167-1

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はアップル初の折りたたみ型スマホとなった「iPhone Duo」の話題。先行する折りたたみ型スマホと異なる点は何かを探る。

今月の注目アイテム

アップル

iPhone Duo

364,800円~

↑長らく登場が噂されていた、アップル初の折りたたみ型iPhone。広げるとiPhone 18 Pro Maxより50%大きいディスプレイを駆使できる。グレード5チタニウムのフレームとヒンジカバーを採用し、開閉時の耐久性を高めている。

他の折りたたみ型と違う体験ができるスマホ

アップルは10月23日に、同社として初となる折りたたみのスマホである「iPhone Duo」を発売した。

価格は36万円以上と、想像以上に高価な製品だ。興味はあるが購入は……と迷っている人もいそうだ。この記事を書いているのは10月初旬で、製品発売前。筆者は短時間ではあるが、実機を試すことができている。その時に受けた感覚から、私は買うことを決めた。

iPhone Duoをスペックで判断しても、新しいところや他よりも優れている部分はあまりない。これはスタンダードなiPhoneもそうなので、特別なことではない。重要なのは、“使ってみた体験が他の折りたたみスマホと大きく違う”ということであり、“その上で、折りたたみのiPhoneであることに特化している”という点だ。

体験の違いとして挙げられることが多いのは「開くときのエフェクト」だ。表側のディスプレイが擦りガラスのような効果になり、内側のディスプレイに映っているものが透けて見えるようなイメージになっている。

ここにエフェクトを追加したからといって、使い勝手自体が大きく変わるわけではない。だが、使ってみたときに、より驚きや自然さを感じられる。アプリの切り替えや画面分割、アンテナのピクトグラム表記に至るまで、細かく“折りたたみスマホならどうあるべきか”を考えた工夫をしており、ハードウェア面についても、ヒンジやインカメラ、内側のディスプレイをカバーするフィルムなど、多くの点にコストをかけた製品になっている。

だから他社の折りたたみスマホより高いのだが、そんな“体験重視の作り込みによる価格上昇を許容しうるか”という点が、どの製品を選ぶかという意味では分かれ目になってくる。

また、使い勝手として“折りたたみではあるが、あくまでスマホである”という割り切りも見える。他社のスマホは、アプリを3つ以上同時に立ち上げ、さらに画面内での分割比率も自由に変えられる。PCのように自由に使えるコンピューターと考えるなら、そのほうがいい。

アップルが考える折りたたみを体現

だがiPhone Duoは、“スマホであるなら複雑さはマイナス”と考えたのか、“同時に並べられるアプリは2つまで”“画面分割比率は1:1に限定”としている。複雑なことができない代わりに、日常の使い方をシンプルな形に留めている……と考えられる。“できることに制約がある”と捉えることもできるが、別の視点から見れば“シンプルさを維持した”ということになる。

折りたたみスマホはいろいろなことができるが、純粋にスマホとして考えた場合、使う機能の範囲は限られる。iPadともAndroidスマホとも自由度を変更した設計にすることで、“アップルの考える折りたたみスマホとはどんな存在か”という、強い思想性があるのだ。

一方で、“もっとなんでもしたい”と考える層には、Androidスマホの方が好ましく思えるだろう。この発想から見れば、iPhone Duoは実にアップルらしい製品だ。

ではなぜここまで高価なのか? どのくらい売れるのか? その分析は次回以降で解説する。


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