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2018/1/24 17:00

自転車はロシアでもう古い? キックスケーターの進化系が「バターの上を滑っているようだ」と大人気

世界一大きい国ロシア。当地では、距離の感覚が日本人とはまったく違います。ロシア人の感覚でいう「徒歩圏内」は日本人の感覚からすると徒歩圏内ではないことが多々。たとえば、以前に駅近と紹介されたアパートは実際には駅から徒歩25分の距離にあったことがあります。ロシア人との感覚の違いをひしひしと感じた出来事でした。

 

そんな徒歩圏内の感覚が広いロシアで、筆者が自転車の購入を検討する際に知ったのが大人用キックスクーター(またはキックスケーター)。最近、自転車を上回る勢いで普及しているというのです。子どもの遊び道具だったキックスクーターが進化して、大人にとっても便利な形で進化しているそう。

 

調べてみると、通勤・通学だけでなく、企業がレストランのデリバリーサービス、メッセンジャーサービスなどにキックスクーターを取り入れ始めているようです。今回はロシアでホットな大人用キックスクーター人気の秘訣に迫ります。

 

ちょっとそこまでスクーターで!

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子どもの乗り物だと思っていたキックスクーターですが、街中で大人が乗りこなしているのを最近よく見かけるようになりました。アルミニウム製の車体は、一部にプラスチックを使用している子ども用のスクーターとは明らかに異なり、大人が使用するのにふさわしいスマートな外観。直径20センチの頑丈な車輪は、道路の凹凸に左右されることなく、ひと蹴りでスイスイ運んでくれます。ロシアのクチコミサイトでは、その走行感覚は「まるでバターの上を滑っているようだ」とまで書かれていました。

 

重さは約5キロと女性でも扱いやすい軽量サイズ。大きなホイールは安定感があり、ハンドルの高さは3段階から4段階で調整できます。移動時にさっと肩からかけられるよう、ショルダーホルダーがついているのも扱いやすい理由の1つのようです。後輪を足で踏んでブレーキをかける足踏み式ブレーキが基本ですが、最近は自転車のような手動ブレーキが付いている機種も出てきています。

 

キックスクーターの細長い本体は、自転車のように場所を取らず、アパートの限られた収納場所でも収納可能です。また、地下鉄や電車などの公共交通機関での移動の際にも、軽いので階段などの昇降や持ち運びしやすくなっています。さらに、電動アシストがついたり、折りたたみ式が出たり、大人のスマートなシティライフに合わせて、どんどん改良されています。

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モスクワでも渋滞は悩みの種で、個人だけではなく企業もキックスクーターに注目しているそうです。実際、モスクワの街中ではデリバリーサービスの配達や書類を届けるメッセンジャーたちがスクーターを使用している様子を見かけます。公共交通機関+キックスクーターで渋滞知らずというのが大きなメリットとなっているようです。

 

子育て中のママたちにもキックスクーターは人気です。保育園の登園時、近距離でも子どもとの徒歩移動は大変なもの。筆者の子どもが通っている保育園にも、たくさんの子どもたちがキックスクーターで登園してきますが、子どもが全力でこぐキックスクーターの横をダッシュで追いかけているのが親です……(かくいう私も子どものキックスクーターの横をダッシュしている1人)。

 

ある日、母親と子どもが並んでキックスクーターで登園してくる様子を見たときは衝撃を受けました。普段は子どもを追うことに精一杯で周りをあまり気にしていませんでしたが、注意してみると親子でキックスケーター登園が多いことに驚かされました。確かに同じ速度で横並びになり走行できるというのは、子どもへの安全面でも良いのかもしれません。

 

気になるキックスクーターの価格は2,500ルーブル(日本円で5,000円)から。自転車の相場6,000ルーブル(日本円で12,000円)と比べると半額以下となっています。また、使われている部品が自転車よりも少ないため、あまり壊れることがなく長く使え、いざ修理となっても修理費がかさむことがありません。まさにコスト面でもスマートな乗り物といえるでしょう。

 

次世代の移動はキックスクーターで決まり!

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都会の主な移動手段であったタクシーは、コストがかかる割に渋滞などにつかまってしまい、なかなか到着時間の予測がつかないのが難点です。また、自転車はその大きさから収納場所に困ります。乗り換えの多い公共交通機関との相性が悪いのも難点。自動車や自転車とは異なり、コンパクトでスマートな大人のシティライフにふさわしい次世代の移動手段がキックスクーターなのです。

 

収納場所に困らないこと、移動の負担が軽くなること、女性でも扱いやすいこと、維持費がほとんどかからないこと、公共交通機関との相性が良いことなど、メリットが多いキックスターター。モスクワでの移動で最もネックであった渋滞を回避できることもあり、一般消費者と企業の両方から支持を得ています。モスクワに来たら、この乗り物に注目してみてください。