高画素機や高感度機がそろうソニーのα7シリーズの上位モデルとして、高速連写に重点を置いた「α9」が登場した。高速データ読み出しが可能な「メモリー内蔵積層型CMOSセンサー」採用で、電子式シャッター使用時に約20コマ/秒での連写が可能。しかも、連写中に画面がブラックアウトすることもない。画面の約93%をカバーする693点の像面位相差AFにも対応し、被写体を追従しながら連写できる。
こうした連写性能は、従来のミラーレス一眼だけでなく一眼レフでも実現が難しく、「写真やカメラの時代を変える1台」として注目を集めている。ここでは、そうしたα9の連写性能などを実現した技術を詳細に解説する。
![↑約20コマ/秒の高速連写に対応したことで、プロのスポーツカメラマンなどからも注目を集めるα9.2020年の東京オリンピックで使用される可能性も高い!?](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_001-1.jpg)
連写性能に加えて常用ISO感度も最高51200と高め
撮像素子は2420万画素と、α7IIの2430万画素とほぼ同等だが、連写速度はα7IIの約5コマ/秒に対し、α9は約20コマ/秒と差は圧倒的だ。ただし、α9も機械式シャッター使用時は約5コマ/秒となる。とはいえ、α7IIに電子式シャッターは採用されておらず、ブラックアウトなしで撮れるα9なら、プロスポーツの撮影などにも対応できるほど。さらに、常用ISO感度も最高51200と高めで、4K動画撮影時もISO51200が使える。
ドライブモードダイヤルの新設で素早く連写を利用可能
α7シリーズと基本デザインは同じだが、ボディの左手側天面にドライブモードダイヤルやAFモードダイヤルを新設。連写設定がより素早く行える。背面には、AFエリア選択が行える「マルチセレクタージョイスティック」が配置され、AFエリアの選択もスピーディに行えるようになった。
![↑α7RII(左)とα9(右)。ドライブモードダイヤルの追加のほか、カスタムボタンや動画撮影ボタンなどの配置が変更されているが、基本的なレイアウトは従来機同様。背面のコントロールホイールが大きくなり、操作しやすくなっている。](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_004.jpg)
![↑電子シャッター使用時の連写は「H」で約20コマ/秒、「M」で約10コマ/ 秒、「L」約5コマ/ 秒](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_005.jpg)
![↑動画ボタンが背面に移設され、動画撮影も行いやすい](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_006.jpg)
メモリー内蔵の新型センサーで光を絶え間なく捉え続ける
撮影直後のブラックアウトなしでの約20コマ/ 秒連写は、新型撮像素子「Exmor RS CMOSセンサー」の採用によるところが大きい。これは、メモリー内蔵積層型CMOSセンサーという構造で、データを一時的に蓄えるメモリーを撮像素子と一体化することで、撮像素子からのデータを途切れなく映像化できる仕組みになっている。さらに像面位相差AFも採用し、連写中の高速AFも実現している。
![↑従来型センサーは、画像データを直接、画像処理エンジンに送るため、エンジンの負担が増えると画面表示がブラックアウトした。新型は、メモリーにデータを蓄えることでエンジンの負担が軽減されている](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_b.jpg)
フルサイズセンサーを裏面照射型にして低ノイズでの高感度撮影を実現
α9の撮像素子は「裏面照射型」と呼ばれる構造が採用され、多くの光が撮像面に届くようになっている。さらに従来はアルミだった配線を、情報伝達が速くて伝達率にも優れた銅配線とすることで、高速かつ低ノイズ化を進めている。これらの工夫により、高感度でも高い画質が得られる。
![↑従来型のセンサーは、集光レンズと受光面の間に配線があり、光が遮られていた。裏面照射型では撮像面の裏に配線が置かれ、より多くの光が撮像面に届くようになった](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_c.jpg)
プロの使用にも耐える堅牢ボディ+豊富なオプションで撮影シーンを選ばない
α9は、オリンピックなどでの本格的なスポーツ撮影まで意識した、プロ仕様の一眼だ。ボディの堅牢性や耐久性、撮影したデータの確実な保存などに配慮した仕様となっている。マグネシウム合金ボディや防塵・防滴構造の採用はもちろんのこと、SD/MSカードのデュアルスロット搭載で、画像の転送もWi-FiやBluetoothに加えて、有線LAN接続にも対応。さらに、縦位置グリップなどのオプションも豊富に用意されている。
![↑パーツの繋ぎ目にはシーリングが施され、雨天時などでも安心して撮影できる](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_008.jpg)
![↑ボディシェルはマグネシウム合金製で堅牢性が高い。マウント部も強化され、重量級のレンズを装着しても安心感がある](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_009.jpg)
![↑メモリーカードスロットは、SD/MSカード両対応のデュアルスロットを採用している。SDカードは、高速なUHS-IIにも対応](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_010.jpg)
![↑縦位置グリップは、専用のVG-C3EM(参考価格/ 3万6990 円)を用意。バッテリーを2 本挿入でき、長時間撮影に対応可能だ](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_011.jpg)
α9で使いたいGマスターシリーズの超望遠ズームも登場
高画質設計レンズの「Gマスター」シリーズに100~400ミリレンズが登場。特殊低分散ガラス3枚を採用することで収差が少なく、ズーム全域で高い解像力を保つ。ボケ描写が美しく、ナノARコーティングでフレアやゴーストも発生しにくい。α9や高画素なα7RIIと組み合わせたいレンズだ。
![↑ソニー FE 100~400ミリ F4.5-5.6 GM OSS 発売予定/ 5月26日 参考価格/ 53万8790円](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_012.jpg)
【α9外観】
![正面](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_001.jpg)
![背面](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_002.jpg)
![天面](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/05/20170530_kohno_003.jpg)