iPad mini(A20 Pro)レビュー! OLEDと高音質スピーカーで「見る・聴く・作る」が楽しい1台に

ink_pen 2026/11/3
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iPad mini(A20 Pro)レビュー! OLEDと高音質スピーカーで「見る・聴く・作る」が楽しい1台に
リンクマン
りんくまん
リンクマン

コンテンツクリエイター。YouTubeを中心とするテックメディア「Gadgetouch」編集長。テクノロジー分野の製品や企業を取材し、多角的に情報発信している。

新型iPad mini(A20 Pro)が11月6日に発売されます。今回はひと足先に触ることができたので、先行レビューをお届けしたいと思います。

iPad miniとしては2年ぶりのアップデートで、今回はデザインを含めたメジャーアップデートとなっています。ディスプレイは8.3インチの液晶から8.5インチのOLED(有機EL)になり、本体の厚さは6.3mmから5.4mm、重さはWi-Fiモデルで293gから255gへ。薄くなり、そしてかなり軽くなりました。

チップはA17 ProからA20 Proに変わり、通信はApple N1チップとC2モデムに、そしてiPadでは初めてIP67等級の防水・防塵性能がつきました。

今回は、旧iPad mini(A17 Pro)と新型の比較を、外観から順に見ていきたいと思います。

薄く、軽くなったうえに画面が広がった本体

まず外観から見ていきます。本体サイズは、旧型の高さ195.4mm、幅134.8mmに対して、新型は高さ195.3mm、幅132.6mm。つまり縦はほぼ同じで、幅が2.2mmだけ短くなっています。その状態で画面が8.3インチから8.5インチに広がったのは、ベゼルが一世代前より24%細くなったからで、並べてみると、本体はほぼそのままで画面だけが広がった、という見え方です。

↑上が新型、下が旧型。新型はベゼルが少し細くなったのがわかります

厚さは6.3mmから5.4mmへ、重さはWi-Fiモデルで293gから255g、Wi-Fi + Cellularモデルで297gから263gになりました。今回のレビュー機はWi-Fi + Cellularモデルで、箱から出して手に持ったときから、この軽さと薄さは実感できます。数字でいえば0.9mm、38gの差なのですが、明らかにその違いに気づくと思います。

↑左が新型、右が旧型。立てて並べると厚みの差がわかります

認証のためのTouch ID、音量ボタン、USB-Cという構成は変わらず、USB 3で最大10Gbpsという速度も同じです。

ただ、同じUSB-Cでも使い道はひとつ増えていて、外部ディスプレイにつないだときに画面をそのまま映すミラーリングだけだった旧型に対し、新型は拡張ディスプレイモードに対応しました。iPad miniの画面と外部ディスプレイを別々のワークスペースとして使い、ウインドウ表示のアプリを大きい画面側に置けるようになったわけです。

↑フロントカメラは長辺側、赤枠で囲ったところに移動

もうひとつ変わったのがフロントカメラの位置で、12MPのセンターフレームカメラが長辺側、つまり横向きに持ったときの上に配置されるようになりました。最近のiPadはどのモデルも横向きになっていて、iPad miniが今回そろえたことで、ようやく全モデルが横向きカメラになったことになります。

背面の12MPカメラにはアダプティブTrue Toneフラッシュが付き、カメラアプリが書類を自動で認識して影のないスキャンができるようになったので、取材先でもらった資料をその場で取り込むという使い方がしやすくなっています。

音質をワンランク上げ、IP67の防水・防塵対応にも一役買ったスピーカー周り

そして、外観でいちばん大きな変化がスピーカーです。新型は「Acoustic Display」という新しい仕組みを採用していて、ツイーターをガラスとアルミの筐体の間に隠し、ウーファーはディスプレイ越しに鳴らす、2Way構成になりました。旧型では上下の縁にあったスピーカーの穴が、新型にはありません。

2基のマイクそのものもIP67対応になり、前面のマイクは横向きカメラの隣に移って、使っているカメラ側のマイクが自動で有効になるようになっています。

↑今回から上部にも底面にもスピーカーの穴がなくなっています

これは音質の変更という意味合いもありますが、スピーカーの穴をなくして筐体を密閉できたために、iPad miniはIP67等級の防水・防塵性能を実現したという側面も持ち合わせています。

肝心の音質ですが、これは結構びっくりで、かなり迫力のある音が画面全体から出てくる印象です。低域から高域までクッキリと解像感高く再生され、特に前モデルに比べて中低音域に締まりがあるので、映画なども相当迫力のあるサウンドで楽しむことができそうです。個人的には視聴体験をグッと変えるぐらいの、想像以上の音質だと感じました。

また、IP67等級の防水・防塵性能は、自分のように出張や取材で持ち出す人には大きい変化だと思います。最大水深1mで最大30分という試験条件なので、水に沈めて使うものではありませんが、雨の日に屋外で仕事をする人や、キッチンで料理をしながら動画などを楽しみたい人にとっては、多少濡れても大丈夫という安心感があり、旧型に比べて使い勝手が上がるでしょう。

↑テックウーブンのSmart Folioは手触りがとてもいい

ケースは、テックウーブン素材の新しいSmart Folioが発売されます。これまでの3つ折りから2つ折りに変更されていて、マグネットで2段階にパチっとくっつくのでスタンドとしての機能はかなり使いやすくなっています。肌触りもよく、常につけていたくなるような質感ですし、角度を変えたい場面が多い人ほど恩恵があるケースだと思います。

↑カバーは3つ折りから2つ折りになって、角度も調整できる

旧型と見比べると明らかに差がわかるほどディスプレイが進化

筆者はiPad miniの使い方をかなり模索してきました。持ってはいるのですが、用途は限定されていて、寝る前に「少年ジャンプ+」を読むか、動画や映画を見るか、あとは出張のときにたまにSidecarというMacの機能を使ってディスプレイを拡張するためにバッグに入れて行くくらいです。

普段の仕事はMacとiPhoneで回っていたので、iPad miniは読んだり見たりするための端末、という位置づけでした。

だからディスプレイの違いが体験に直結するのは当然です。ディスプレイは8.5インチのSuper Retina XDRで、解像度は2,316×1,512ピクセル。旧型の2,266×1,488ピクセルから画面が広がった分だけ増えていて、326ppiという密度は同じです。

輝度はSDRで最大600ニト、HDRコンテンツのピークで1,200ニトまで上がり、逆に最小は1ニトまで落ちます。旧型に対して明るいほうも暗いほうも幅が広がった形です。

↑左が新型iPad mini、右が旧型iPad mini。写真だとわかりづらいかもしれませんが、肉眼では明らかに新型のほうがきれいです

実際に見比べてみると、明らかにディスプレイのきれいさがわかります。黒い部分と明るい部分のコントラストが鮮やかで、一度見てしまうと旧型にはもう戻れないといっていいでしょう。寝転がって読むときの持ちやすさも、薄く軽くなった新型は快適で、寝ながらのコンテンツ消費がはかどりそうです。

↑夜景の写真は、OLEDの得意なところ

ひとつ残念なのは、今回もリフレッシュレートが60Hzのままなことで、iPad Proの120HzのProMotionディスプレイと比較するとスムーズさには欠けます。ここまでのスペックを積んできたので、できたらProMotionディスプレイに対応してほしかったのが本音です。

A20 Proになって、iPad miniで「作る」のが楽しく実用的になった

ここからが本題です。自分がiPad miniを読む・見るための端末にしてきた理由のひとつはチップ性能でした。A17 Proも決して遅いチップではないのですが、ちょっとしたことをやろうというときに、どこかでアプリが引っかかって、結局Macか大きいiPadを開くことになる、というのがこれまでの印象でした。

新型のiPad mini(A20 Pro)は、128GBと256GBのモデルが5コアCPUと7コアGPU、そして16コアNeural Engineを搭載。512GBのモデルは6コアCPUに7コアGPU、デュアル16コアNeural Engineという構成で、容量によってチップの中身が違います。

旧型のA17 Proは6コアCPUと5コアGPUだったので、CPUのコア数だけ見ると差がないように感じますが、AppleはCPUで最大1.6倍、GPUで最大2.7倍、メモリー帯域幅は2倍としています。今回のレビュー機は512GBモデルで、ベンチマークの数字ではなく、実際に「作る」側のアプリを動かして確かめてみました。

↑Notionで録音しながら別の作業をすることはよくあります

自分の実際の取材時は、NotionのAIミーティングノートで音声を録って文字起こしを走らせながら、隣にメモアプリを開いてApple Pencil Proで気になったことを書き留めていく、という使い方です。

文字起こしはあとで読めばいいので、メモには話の流れと自分の感想だけを書く。この組み合わせは、Macだと手書きのメモが取れないのでこれまでは大きいiPadでやっていたのですが、iPad mini(A20 Pro)はスペックに余裕があるのか引っかかることもなく安定して使うことができました。こういったマルチタスクも、より安定して動くようになっていると感じます。

↑iPad miniで現像というワークフローが、ディスプレイの高品質化で現実的に

そのほかにも、撮った写真のRAWデータをその場でLightroomに読み込んで選別し、簡単なレタッチをして書き出す作業もやってみました。結果としてはまったく問題なく、サクサクLightroomが動いていました

iPadOS 27では外部USBドライブとのファイル転送が最大5倍速くなったとされていて、カードリーダーからの読み込みはチップに加えてOS側の改善も効果を発揮しています。たとえば、撮影帰りの電車で写真を仕上げてしまう、というのはMacや大きいiPadだとあまりやらなかったことなのですが、これだけディスプレイとチップのクオリティが上がると、現像も問題なくできそうなのでワークフローが改善されるのではないでしょうか。

↑iPad miniの画面を拡張ディスプレイとしてStudio Displayに表示

そして、デスクに戻ったら外部ディスプレイにつないで作業を続ける。新型はディスプレイを別のワークスペースとして使えるので、現像の続きをここでやってもいいし、取材で書いたメモと文字起こしを大きい画面に表示させて、キーボードで原稿に起こしていく、ということもできます。

こうして試してみると、OSは同じでもハードウェアの性能が向上すると一気に実用的になる、ということは確かにあるのだと感じました。「ちょっと作る」を小さい端末で諦めていた人ほど、A20 Proチップの恩恵は大きく感じるはずです。

Siri AIは、小さい端末と相性がいい

Siri AIも試しました。iPad miniのカメラで目の前のものを撮ったり、すでにある写真を開いたりして、Apple Pencil Proでスクリーンショットを撮り、気になる部分を丸く囲んで質問すると答えが返ってきます。片手で構えて撮ってすぐ聞けるのは、このサイズならではです。

↑写真の中の人を尋ねたらAppleのジョン・ターナスCEOと一発で返してくれました

ちなみにSiri AIの表現力のある声は、iPadではM4以降かつメモリー12GB以上が条件ですが、iPad mini(A20 Pro)は対象に入っています。いちばん小さいiPadが上位モデルと同じAI機能を使える、というのがA20 Proを載せた意味です。

なお、Siri AIはiPadOS 27.2で日本語に対応していますが、ベータ版という扱いで、サーバー側の処理を使う機能には1日の使用回数の制限があります。

iPad mini(A20 Pro)はいますぐ買うべきと断言できる完成度

数日使ってみての自分の結論は、いまiPad miniの購入を考えている人も、すでにiPad miniを持っている人も、いますぐ買っていい、というものです。

なぜそこまで言い切れるかというと、やはり今回のアップデートは目を見張るものがあるからです。OLED採用によるディスプレイの美しさはいままでのiPad miniのイメージにはないクオリティですし、薄く・軽くなった本体は、カバーをつけたとしてもそのメリットが損なわれることはないと思います。

iPadを買った人がその後に悩むこととして、買ったはいいものの全然活用できない、という声をよく聞きますが、このiPad miniは多くの人が楽しむであろう動画やアニメ、読書などのエンタメに最適なデバイスです。楽しむためだけでも十分に活用できたと思えるでしょう。それほど、今回のディスプレイやスピーカーの音質は高く、満足感があります。

もちろんすでにiPad AirやiPad Proを仕事に使っている人が、代わりにこのiPad miniで同じことをしようとすると画面の小ささが目立つので、あまりオススメしませんが、まさに自分専用のデバイスとして、このiPad miniは非常に完成度の高い1台といえます。

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