ネット完結の時代になぜ? エミレーツ航空があえて大手町にリアル店舗を出した理由

ink_pen 2026/10/26
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ネット完結の時代になぜ? エミレーツ航空があえて大手町にリアル店舗を出した理由
会田 肇
あいだはじめ
会田 肇

カーライフアドバイザー。カーナビやドライブレコーダーなど身近な車載ITグッズのレポートを行うほか、最近はその発展系であるインフォテイメント系の執筆も増えている。海外で開かれるモーターショーや家電ショーにも足を運び、グローバルな視点でのレポートに役立て、最近はその経験を活かして旅行系のレポートも執筆している。

航空券の予約から搭乗手続きまで、スマートフォンで手軽に済ませられる時代となりました。その一方で、複雑な旅程や乗り継ぎになるときは、スタッフと直接話しながら決めたいと感じることもあります。

そんな要望に応える拠点として、エミレーツ航空は10月14日、東京・大手町に「エミレーツ・トラベル・ストア東京」を正式にオープンしました。航空券の相談に加え、機内シートの体験や旅先を背景にした記念撮影も楽しめる、旅への期待を膨らませてくれる場所となりそうです。

10月14日に開催されたオープニングイベントには、エミレーツ航空のオルハン・アッバース極東地区商業担当上級副社長や、シハブ・アハマド・アル・ファヒーム駐日UAE大使、国土交通省 航空局国際航空課長の森哲也氏らが出席。日本の利用者が、より便利に安心して旅を計画できる環境を整えるという開設の狙いが示されました。

↑東京・大手町のOtemachi Oneにオープンしたエミレーツ・トラベル・ストア東京。関係者によるテープカットで、新たな旅の相談拠点の誕生を祝った
↑開店を記念したケーキカットには、エミレーツ航空のオルハン・アッバース氏(右から3番目)や同社日本支社長 サティシュ・セティ氏(右から2番目)、国土交通省の森哲也氏(左から3番目)らが参加した

大手町駅に直結。気軽に立ち寄れる明るい路面店

新店舗があるのは、大手町の複合施設「Otemachi One」の1階。大手町駅のC4・C5出口に直結し、地下鉄からもアクセスしやすい立地です。ビジネス街にありながら、周囲が大きなガラスに囲まれた店内はとても明るく、外からでも様子がはっきりわかるほどです。

↑エミレーツ・トラベル・ストア東京の外観。大きなガラス越しに店内が見渡せ、航空券の相談はもちろん、シート体験などにも立ち寄りやすい雰囲気だ
↑エミレーツ・トラベル・ストア東京のOtemachi One側からの入口。大手町駅のC4・C5出口に直結するOtemachi One 1階に立地する

航空会社のストアというと、予約や発券の用事がなければ訪れにくい印象がありますが、ここに限っては、気軽に立ち寄れそうな開放感があります。

東京での対面窓口は、従来の六本木エリアから移転したもの。スタッフによれば、以前よりも店舗が広くなり、路面店になったことで来店しやすくなったといいます。今回、トラベル・ストアとして正式にお披露目され、昨年開設された大阪に続く国内2店舗目の拠点となりました。

ストア内にはラウンジを思わせるソファやチェアが並び、相談用のカウンターが設けられています。取材時の説明では、主に3つのカウンターで接客し、待っている人の相談内容によっては別のスペースでも対応するとのこと。座って落ち着いて話せる空間からは、機内で提供するサービスを地上でも身近に感じてもらおうという姿勢が伝わってきます。

↑白を基調とした空間に、赤いチェアと曲線的な相談カウンターを配置。高い天井や印象的な照明が、ラウンジのような落ち着きと開放感を演出している ※AIで一部補正しています
↑窓際には、ゆったりと話せるテーブル席も用意。相談カウンターに加え、来店者の相談内容に応じて別のスペースでも対応するとのことだ

実物のビジネスクラスシートに座って、長距離フライトをイメージ

店内でひときわ目を引くのが、エミレーツ航空のボーイング777型機に採用されているビジネスクラスシートです。写真や映像で紹介されることの多い上級クラスの設備を、実際に座って確かめられるのは、このストアならではの大きな魅力でしょう。

↑ボーイング777型機に採用されているビジネスクラスシートを展示。実際に座り、座席周辺の広さや設備の配置を確かめられる

展示されたシートはフルフラット仕様で、実際に横になって足を伸ばすことも可能です。背もたれを倒すと身体をどのように支えてくれるのか、寝たときに周囲との位置関係がどうなるのか。こうした感覚は、Webサイトの写真だけではつかみにくいものです。長距離フライトで休息を重視する人にとっては、航空券を選ぶ際の参考にもなります。

↑展示シートはフルフラットにすることも可能。横になったときの身体の収まりや足元の広さなど、写真だけではわかりにくい感覚を体験できる

展示ではモニターなど一部の機能は再現されていませんが、シートの動きや寝姿勢を体験しながら、実際のサービスについてスタッフに質問することもできるそうです。また、機内ではシートの上にマットレスを敷き、寝心地を高めているとの説明もありました。

↑シート脇には収納スペースが設けられ、座り心地に加えて機内での過ごし方やサービスについてもスタッフに質問しながら体験できる

アメニティや機内での過ごし方も含め、搭乗前に具体的なイメージを持てる点は大きなメリットとなるでしょう。

展示されたシートには個室のような扉はない仕様ですが、中央席では隣り合う人との距離が近いなど、座る位置による違いについても詳しく説明されました。一人旅なのか、夫婦や家族で利用するのかなど、旅の形態によって重視する条件は変わります。体験をきっかけに、自分に合った便や座席を相談できるのも、スタッフがいる店舗のよさといえます。

世界の名所を背景に撮影し、ひと足早く旅気分

もうひとつ、ストアに滞在する楽しさを演出していたのが、世界各地の名所などを背景に撮影できるセルフポートレートのコーナーです。画面を操作して背景を選び、カメラに向かってポーズを取れば、旅先にいるような記念写真を撮影できます。

取材時に試したところ、撮影ボタンを押すと5秒のカウントダウンが始まり、タイミングを合わせて撮影する仕組みでした。撮影した画像をスマートフォンに取り込むための案内も用意されています。

↑世界各地の風景などを背景に撮影できるセルフポートレートコーナー。撮影後は画面上で好みの一枚を選び、スマートフォンへ取り込める

航空券の相談を待つ間に楽しめるうえに、次はどこへ行こうかと考えるきっかけにもなりそうです。また、店内ではオンラインストアで買えるエミレーツのオリジナルグッズも展示されていました。

↑模型飛行機や客室乗務員をモチーフにした人形など、エミレーツのオリジナルグッズを展示。商品は同社のオンラインストアで購入できる
↑エミレーツを象徴する総2階建て旅客機「エアバスA380」の模型。機体に描かれたロゴやUAE国旗をあしらった尾翼が、これから始まる空の旅を連想させる

漠然とした旅行の構想も、対面相談で具体的な計画に

もちろん、ストアの中心となるのは、旅を支える対面サービスです。航空券の予約や旅程について、経験豊富なスタッフと話しながら検討できます。行き先と日程が決まっている人はもちろん、旅行の構想を練っている段階でも相談できる点が特徴です。

↑カウンターではスタッフと向き合って、旅程や乗り継ぎ、座席選びなどの相談が可能。オンラインでは判断しにくい疑問をその場で質問できるのが魅力だ

スタッフが紹介してくれたのは、そのよさを物語るエピソードでした。正式オープン前に訪れたある利用者は、当初、来年の旅行に向けてフライトの時刻や乗り継ぎ時間を尋ねるつもりだったそうです。ところが、話を進めるうちに仮予約にまで至ったとのこと。

疑問をひとつひとつ解消することで、漠然とした旅行の構想が具体的な計画へと変わった好例といえるでしょう。

予約後の変更や、旅行中に生じたトラブルについて相談できることも重要です。日本を訪れた外国人旅行者が、天候などの影響で予定の変更を迫られた場合にも対応するとのことでした。また、日本から海外へ出掛けた際も、渡航先の都市に同社の対面窓口があれば相談できるといいます。

オンライン手続きは便利ですが、状況が複雑になるほど、どの項目を選び、何を伝えればよいのか迷いがちです。相手に事情を説明し、その場で質問できる安心感は、対面ならではのものです。旅先でも相談できる場所があることは、海外旅行に不慣れな人にも心強い支えとなるでしょう。

成田線の増便で広がる、ドバイ経由の旅の選択肢

今回のストア開設は日本路線の拡充とも重なります。エミレーツ航空は現在、ドバイと成田、羽田、関西を結んでおり、10月26日からは成田路線を増便する予定です。これにより、成田は1日2便となり、日本発着の旅客便は週28便体制になります。

ドバイを拠点とする同社は、欧州やアフリカ、南米方面へも路線を展開しています。取材では、日本市場では欧州方面への需要が多い一方、アフリカへの旅行や日系ブラジル人の移動などにもエミレーツ航空は利用されているとの説明がありました。

ドバイ経由と聞くと、直行便より時間がかかるという印象を持つ人もいるでしょう。しかし、旅程の選び方は総所要時間だけではありません。出発・到着時刻や乗り継ぎ時間に加え、ドバイで途中降機して滞在を楽しむ計画も考えられます。長距離移動の途中に休息を挟むなど、自分のペースに合った旅を組み立てる余地が生まれるのです。

そうした選択肢を、スタッフと相談しながら整理できるのが、このストアの役割です。シートに座って機内での過ごし方を想像し、世界の風景から旅先のヒントを得て、カウンターで具体的な計画に落とし込む。その流れをひとつの場所で楽しめることに、実店舗を訪れる意味があると感じました。

営業時間は平日11時から19時までで、土日祝日は休業です。大手町で仕事の合間や帰りに立ち寄れる、旅の相談拠点といえるエミレーツ・トラベル・ストア東京。画面上の情報に実物の体験とスタッフの説明が加わることで、次の旅がぐっと身近になる。そんな手応えを感じられる場所でした。

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