「週刊GetNavi」Vol.41-3
現在、デジタル放送では4つの録画ルールがある。「ダビング10」「コピーワンス」「コピーフリー」そして「ネバーコピー」だ。今回、4K録画において問題になっているのは一番最後の「ネバーコピー」だが、これ、現在もルールとしては存在する。ただし、4K録画で議論されている部分とは、適合範囲が異なっている。
現在のデジタル録画においては、有料放送と無料放送、正確には「ペイ・パー・ビュー」「月額制の有料放送」「広告ベースの無料放送」「スクランブル(暗号化)のかかっていない放送」の4種類があり、それぞれで録画のルールが異なっており、前述の「ダビング10」「コピーワンス」「コピーフリー」「ネバーコピー」の4種類が使われている、という状況だ。
一見複雑に見えるが、実際にはそこまでひどくない(そこまで、ということは、それなりに複雑、ということではあるが、その問題はとりあえずおいておく)。
ペイ・パー・ビューは、基本的に「ネバーコピー」。これは、市販ディスクのダビングが許されていないのと同じ理由だ。一切録画できないと利便性が落ちるので、「コピーワンス」運用される場合もある。
有料放送は基本「コピーワンス」。録画してのタイムシフトは許すが、複数個ダビングは許可しない、という形だ。
無料放送は、基本的には「ダビング10」。有料放送ほどのプレミアムはないが、無限にコピーが増えるのは防ぎたい、との意見から、ダビング10が生まれた。もともと、デジタル放送はすべてこれだったが、さすがにそれは不便との意見が多く、規制が緩和された経緯がある。
デジタル放送は、有料放送も無料放送も「スクランブル」がかけられている。上記のような録画ルールに従っていて、日本国内にある機器でのみ視聴可能にするためだ。だが、どこの誰にでも見て欲しいもの、例えば衛星放送の宣伝チャンネルやショッピングチャンネルなどは、スクランブル(暗号化)をかけないで放送されている。同様に、重大な災害が起きた時には、周知のためにスクランブルが解除される。事実、東日本大震災の時には、NHKがスクランブルを解除して放送した。スクランブルされていない放送は、そもそも暗号化されていないから、録画も自由だ。
今回、4K以上の高度放送を導入するにあたり、これらの運用ルールに見直しをかけようというのが問題の発端だ。具体的に言えば、ダビング10までだった広告ベースの無料放送に「ネバーコピー」での放送も認めさせよう、ということである。前回のウェブ版で述べたように、4Kに地上波はまだないので、「地上波の録画ができなくなる」わけではない。また、ダビング10などのルールがなくなるわけではなく、「4Kはまったく録画できなくなる」わけではない。放送業界からは「ネットは騒ぎすぎだ」との声もある。筆者も、反対意見が少々感情的になりすぎている、との意見には同意する。
それでも、今回の件が問題とされる理由はいくつもある。4Kの無料放送に「ネバーコピー」を導入すべきではない、とも思う。
それがなぜかは、次回のウェブ版にて。
「Vol.41-4」は4/18(月)更新予定です。
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