「GetNavi」本誌で毎月お馴染みの、山﨑晴太郎さん。アートディレクターとしてビジネスパートナーと、セイタロウデザインの社長としてスタッフたちと、そして家に帰ればパパとして3児と――多くの人に囲まれて過ごす毎日だ。そんな日々における「ひとりで過ごす時間」と、そこで「フレグランス」が果たす役割とは? 愛用品とともに教えてもらった。

【Profile】
デザイナー・山﨑晴太郎さん
企業のデザイン戦略とブランディングを軸に、サービス設計やプロモーションなど幅広くディレクションを手がける。「GetNavi」ではMakuakeで注目される作り手との対談企画「NEXT CREATORS」を連載中。
香りは自分を「座標ゼロ」に戻すモノ
自身にとってのひとり時間を「自分を座標ゼロに戻す時間」と定義づける山﨑さん。
「日常を生きていると、自分という存在が社会に持っていかれる感覚があるんです。自分を自分として戻していく、自分を『座標ゼロ』にする。それが僕にとってのひとり時間ですね」そのリセットのスイッチが、香りだ。山﨑さんは、香りを“眼鏡”に例える。
「香りをつけていないと世の中がぼやける感覚がある。眼鏡が必要なのにつけていない状態と同じで、香りをつけていないと落ち着かないし、きちんとやれない気がして。つけ忘れて出かけたら家に戻るほど(笑)」。
目の前には、ズラリと並ぶフレグランス。いったどのように選ぶのか?
香りを“聞く”ことで内省的な情景が浮かぶ
学生時代から好きだったとはいえ、香りへの向き合い方を深めたのは、アルゼンチン発のフレグランスブランド「Fueguia 1833(フエギア 1833)」との出会いだという。同ブランドだけで、今では20本以上のボトルを所有するが、その選び方は極めて感覚的。
「古来の香道に『香りを語るのではなく聞く』という言葉がありますが、僕もその感覚に近い。良い香りを聞くと、そこに風景が立ち上がるんです。お店で買う時は、『重力がない感じ』とか『雪の粒が大きい風景』といった言葉や色、情景で自分の気分を伝えます」
実際に香道のワークショップで、順番に出される香りを当てる遊びをした際、全問正解したのは山﨑さんと家元だけだったという。

「香りを風景として覚える。だからイメージしやすいのかもしれません」
ひとりの時間につけるのは、そんな内面に深く沈殿する香り。
「人と会うときにつける香りとは違って、心を沈殿させる内省的な香りを選びます。そうして“感覚のメッシュ”を細かくしていくと、一括りに“ウッディ”だと思っていたものが、言語化できない微細な感覚として立ち上がってくる。その感覚の深化が面白い」
香りの“選択肢”が日常を豊かにする
そんな香り・フレグランスの世界に耽溺する山﨑さんから、読者へのアドバイスをもらおう。香りに関心はあるがハードルを感じている人に対し、山﨑さんは「まず2種類の香りを持つこと」をすすめる。
「1種類では日常になってしまうけれど、2本あれば、毎朝“香りの選択肢”が生まれますよね。この『今日はこの気分かな』と選ぶ行為が楽しいし、自分の内面を豊かにさえしてくれると思います。いわば、パレットの絵の具を増やすようなもの。香りの種類を増やせば、日常の風景にも広がりが出るんじゃないでしょうか」
【初心者の香らせポイント】
■膝の裏につけてほのかに香らせる
■お腹のあたりに吹きかけて立ち上らせる
■手首の内側と手の甲につけ常に身近で香らせる

①「フエギア 1833」
「ひとりの時間を充実させる時には、『Oud Prachin』や『Oud Burma』のようなウッディで自然の深い息吹を感じさせる香りを。日常的に使うのは、爽やかな『Pampa Húmeda』や、自分の香りを強く引き出してくれる『Muskara Phero J.』も好きですね」ヴィンテージ香水としても人気のフエギア。天然原料のため、ワインのように熟成した香りを楽しめるものもある。
②ドルセー
「オルファクトリーコラム」
オフィスに着いたら、まずはアロマをひと吹きするという。使っているフレグランスオブジェは、コルク製。視覚にも嗅覚にも訴えかけるデザインが特徴的だ。
③クッカ
「ピローミスト」
山﨑さんのQOLを爆上がりさせたというのが、枕に吹きかけるフレグランス。オーガニックオイルを使用。使い終わったら一輪挿しにもなる容器も魅力で、ギフトにもおすすめだ
④バロン
「アロマバスソルト」
今日は贅沢するぞ、というバスタイムに欠かせない。「ちょっと窓を開けて、アロマキャンドルとバスソルトを入れて露天風呂気分を味わっています」と山﨑さん。
Other fragrances
モルトンブラウン
「ピンクペッパー バス&シャワージェル」
もうひとつバスタイムに欠かせないのがモルトンブラウンのシャワージェル。爽やかさとスパイシーさを感じさせる香り。

ルラボ
「ROSE 31」
「BERGAMOTE 22」
性別問わず人気のLE LABOは、華やかなこの2種類がお気に入り。さりげなく香る薔薇の「ROSE 31」は、男性ファンも多い。フレグランス上級者を感じさせる一本だ。
LE LABO「ROSE 31/BERGAMOTE 22」各4万5650円(100ml)
※「GetNavi」2026年6月号に掲載された記事を再編集したものです。
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